Angel’s tale



君の背中には、真っ白な羽がある。


白い翼が何処までも君を飛び立たせるから、僕は。
僕は何時しかそんな君を、追いかけ。ずっと、追い続け。
何時しかこの手で、君を捕まえて。そのまま。
そのままこの腕に閉じ込められたらと、思った。


それでも君はきっと何時しか僕の腕からもすり抜けて、飛び立っていってしまうんだね。



「イザ、あたしたちずっと一緒にいれたら…いいね」
幼さを残す少女の顔で、少しだけ淋しげに君は言った。風にその杏色の髪を、靡かせながら。その髪に触れようとして指を伸ばして、けれどもその手が寸での所で止まる。
触れようとして何故か。何故か、触れることが出来なかった。この指先が何故か躊躇って。
「一緒に、いるんだろう?ずっと」
君が見せたその瞳の色を否定するように僕は強く言って、そのまま小さな身体を抱きしめた。髪に触れるよりも、もっと強い。強い思いを込めて。
「…うん、一緒に…いたいね……」
そんな僕にもう一度、君は言った。淋しさの消えない笑顔で、そう言った。



大好き、よ。貴方が、大好き。
だすらずっとね。ずっと、一緒に。
一緒にいたいの。貴方と一緒に。

それだけが、願いだった。

強くなりたいと思った。貴方の力になれるなら。
強くなって、そして。そして助けたいって思ったの。
でもね。でもそうして強さに近付けば近付くほどに。
気付いたことがあったの。気付かされたことが、あったの。


…もしかしたらあたしたち…一緒にいられないのかも…しれないねって。



「…イザ……」
笑った顔が、好き。優しいから。
「大好き。ずっとね、大好き」
優しいその顔が、一番好き。だから。
「大好き、だよ」
だからずっと、その笑顔を見たかったの。


そっと降りてくる唇に、目を閉じれば優しいキスをくれる。笑顔と同じ、優しいキス。
でもどうしてかな?こんなにも優しいキスなのに、涙が零れそうになるのは。


何時も笑顔でね、笑っていたいのに。
楽しいことだけを考えて、楽しいことだけを思って。
辛い旅も全部。全部、微笑い飛ばせるような。そんな日々を過ごしたいって。
少しでも貴方の負担にならないように。少しでも貴方の。
貴方の笑顔が多く見られるように。そんな旅をしたいって、思っているのに。


―――零れ落ちる切なさは…どうしても、止められない……



「バーバラ、僕って頼りないかな」
君の細い身体をぎゅっと抱きしめる。僕から君が零れてしまわないように、君の全てを抱きしめる。全てを、抱きしめる。
「イザ?」
「頼りない?君にこんな顔をさせてしまうほど」
そっと頬に手を掛けて君を見下ろせば、君は泣きながら微笑っている。泣かない瞳で、泣けない瞳で、君は僕に一生懸命微笑っている。
そんな顔を僕は決して、させたい訳じゃないのに。君には何時も自然に微笑っていて欲しいのに。
「…違う…あたし…あたし、元気だよ」
君の心の隙間も、君の淋しさも、見逃したくはないのに。僕が全部、君を包み込みたいのに。
「でも瞳、笑ってない」
「…イザ……」
君の手が伸びてきて僕の髪にそっと触れた。少しだけ震えている指先が切なくて、僕は。僕はそのままその手を掴むと、ぎゅっと握り締めた。


この手がずっと。ずっと、繋がっていたらいいね。
ずっと、ずっと。こうして指先が絡まっていたら。
絡まっていたら、僕に。僕に君の、切なさも苦しさも。
こうして伝わるぬくもりと一緒に、教えてくれると。

――――君の全てが指先から、伝わったなら。


「…笑ってない、かな?」
指だけじゃ足りないから、額も重ねた。
「笑ってない。でも辛いなら、ちゃんと言って欲しい」
子供みたいに額を重ねあって。そして。
「僕にだけは、全部言って欲しい」
睫毛が触れ合う距離で、見つめあった。


「君の不安も、君の淋しさも、全部僕が受け止めたいから」


僕の言葉に、君は微笑った。
子供のような顔で、微笑った。
僕が一番見たかった君の笑顔で。
君の、子供のような笑顔で。


「ハハハ、キザだよーそれっ!」
「そ、そうかな?」
「うん、なんかイザっぽくないよー。でもね、でも」



「そんな貴方が、大好き」



不安も怯えも、怖いこともいっぱいあるの。
でもそれは全部。全部貴方が関わっていることだから。

あたしの不安は貴方がいなくなること。
あたしの怯えは貴方から離れること。

…あたしの怖いことは…貴方の手が…あたしに向けられなくなること……


だからね、平気だよ。こうして。
こうして指先が繋がっているから。
こうして指先が触れ合って、そして。
そしてぬくもりを分け合えるから。


だからもう大丈夫。どんなになっても、あたしは頑張れる。




もしも君の背中の羽が、君を遠い場所まで飛び立たせたとしても。
君が遠くまで飛んでいってしまったとしても。それでも。
それでもこうして繋がった指先が。繋がっているぬくもりがある限り。



――――君はきっと、僕の元へと舞い降りてくれるから……

 

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