ゆびきり


約束した事は、ひとつだけ。どんなになろうとも、君を好きでいる事。


さよならだけが、どうしても言えなかった。
色んな事を話して、たくさんの言葉を交わしてきたけれど。
でもどうしても。どうしても、その一言だけが。

―――その一言だけが…言えなかった……


身体が少しずつ、透けてゆくのが分かる。少しずつ君が、消えてゆくのが分かる。
「…イザ……」
ひとつずつ、君が。君がそっと剥がれてゆく。この時空の中から、剥がれてゆく。
「…ずっと…あたし……」
髪が透けて、肌が透けて、そして触れている筈のぬくもりが消えていって、そして。
「…あたしイザが…イザが…好きだから……」
そして君の頬から零れ落ちる涙だけが。その涙だけが、地上に残された。


大きな瞳が何時も色んな表情を僕に見せてくれた。
くるくると良く変わる表情。色々な顔。それを君は。
君は全部僕に見せてくれた。全部、見せてくれたから。
君の笑った顔、君の怒った顔、君の困った顔、君の嬉しそうな顔。
全部、全部、君と言うものをそうやって僕にくれていたね。


「…バーバラ…僕も…僕もだよ……」


ぬくもりが消える前に、その指を絡める。そっと、絡める。
君に触れた最期の暖かさがこの指ならば、僕は。
僕はただひとつの事を君に誓おう。君に、約束しよう。


君を好きだと。ずっと、君だけが好きだと。


辛い旅も、苦しい場面も。気付けば何時も君がいた。君がそばにいた。
どんな場面も何時も。何時も真っ先に思い出すのは君の瞳で。
くるくるとよく表情の変わるその大きな瞳で。

『イザ、大丈夫。絶対に大丈夫』

負けそうになった時、君の言った言葉。ずっと忘れない。絶対に忘れないから。
だから、今。今『大丈夫』の勇気を僕に与えて欲しい。その気持ちを僕に。


―――君がいないこの世界で、大丈夫だと言える強さを……


「…バーバラ……」
ゆびきりをする。ただひとつの約束のために。
「…好きだよ……」
最初で最期のゆびきりを、する。
「…ずっと…君だけが……」
約束する。約束するから、だから。


――――だから君も僕を…忘れないで……二度と出逢えなくても……



イザ、あたしね。あたし、しあわせだったよ。
ううん、しあわせだよ。誰よりもしあわせだよ。

だって貴方に出逢えたから。貴方を好きになれたから。

それがあたしの一番の誇りなの。あたしの一番大切なものなの。
どんな魔法を使いこなす事よりも。どんなに強くなるよりも。
あたしが貴方を見つけられた事が。貴方とともに過ごせた事が。

好きで、好きでどうしようもなくて。
泣いて貴方とともにいられるなら、いくらでも泣くけれど。

でもどうにもならない事があって。
どうにも出来ない事があって。それを。
それを受け入れるのもまた、運命ならば。


繋がっているよね。あたしたち、離れ離れになっても。繋がっているよね。


運命がそれを決めたならば、出会いも別れも全部。
全部それが決められた事で逃れられない事ならば。

―――出逢った事が必然で、別れが来る事も必然で。


でもね、好き。ずっと、好き。貴方だけが、好き。
どんなになっても、どんな事になっても。あたしは。
あたしは貴方だけが、好きだから。


だから憶えていてね。心の片隅でいいから、あたしの事。
あたしの事、憶えていてね。それだけで、しあわせだから。




ゆびきりをして、そっと唇を重ねようとして…君が、消えた。




床に落ちた涙だけが。ぽたりと落ちた涙だけが。
それだけが僕の世界に残された君の破片。
それだけが君がいた事を証明する唯一のもの。
けれどもそれは。それは時が経てばゆっくりと。
ゆっくりと消えてしまうもの。


でも君は僕のこころにいる。僕のこころに、在る。



「…好きだよ…バーバラ…ずっと好きだよ……」
君がくれたものがたくさん。たくさん僕の中にある限り。
「…君だけが…好きだよ……」
消えないものが在る。消せないものが、在る。


そしてそれを奪う事は、誰にも出来ないんだ。



――――だから言わないよ。さよならだけは…言わないよ……。




 

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