『お前は私だけのものだから、何をしてもいいんだ』
支配者の瞳で、貴方は私にそう告げた。絶対的なカリスマと、そして上に立つ王者の瞳。それを貴方が持ち続けている以上、私にとって貴方は永遠の主君だった。
逆らう事など考えた事もない。貴方が死ねと言えばその場でこの命を差し出せる。それ程の存在だった。私にとって貴方はそれ程の、存在だった。
ただひとり、私が仕えし主君。貴方の為ならば、私はどんな事でもしよう。それが私の忠義の証だから。
何時もと変わらず自分を見下ろすミルディンの瞳に、パーシバルはただ見つめていた。その瞳に初めて逢った時から捕われ、そして無条件に全てを差し出した。彼に仕えることが自分の全てで、騎士としての全てだった。この王たる器に、自分の全てを捧げる事が。
「私以外の男でも…お前はそう言った顔をするのだな」
見上げてくるパーシバルの顎を捕らえると、そのままその表情を見つめた。額から零れる汗と、上気した肌を見下ろしながら。
「…王子…私は……」
否定しようとしてもその零れる吐息が嘘だと告げている。甘く掠れたその声が、全てを。それでも必死でパーシバルは否定しようとした。それがミルディンの望む答えならば、パーシバルはそう答えねばならない。
「まあ、いい。たまには悪くないだろう…こう言うのも」
くすりとひとつ笑い、ミルディンは背後でパーシバルを抱きかかえている男に合図を送った。その男はこくりと頷くと、剥き出しになっているパーシバルの胸に指を這わした。
「…あっ!……」
敏感になっている身体に触れられ、思わずパーシバルは甘い声を零す。それを堪えようと唇を噛み締めたら、ミルディンに顎を捕われ口を開かされた。閉じる事は許されなかった。
「…やめっ…あっ……」
その間にも背後の男の手がパーシバルの胸の果実を弄る。痛い程に張り詰めた突起を指でなぞりながら、くいっと爪を立てられた。その痛いような刺激にパーシバルの身体がびくんっと跳ねる。
「…あっ…あぁ…駄目…だっ……」
ぎゅっと指で胸を摘まれて、その刺激に耐えきれずにパーシバルは首を左右に振った。それで逃れるわけではなかったけれど、それでもそうせずにはいられなかった。背筋から沸き上がる快楽を抑え切れずに、必死になって首を振った。
「駄目なのか、パーシバル。こんなにも感じているのに」
「―――ああっ!」
ミルディンの手がパーシバル自身をすっとなぞった。閉じる事が許されず、限界まで開かされた脚の中心にあるソレを。ミルディンの眼下に丸見えにされ、微かに震えながら立ち上がっているソレを。
「いい眺めだ、パーシバル。恥ずかしい所が丸見えだ」
立ち上がりかけている自身を見下ろしながら、エルフィンは微笑った。くすりと、ひとつ。自分の手以外で感じ、変化させているソレを楽しそうに眺めながら。
「…そんな事…言わないでください……」
羞恥の為にぎゅっと目を閉じ、肌を朱に染めるパーシバルはひどく雄の劣情を誘った。普段があまりにもストイックなだけにそのギャップが堪らないものがあった。このまま激しく犯して鳴かせたいと思うほどに。
「まあいい。私以外の男でよがるお前は…ただの淫乱な雌猫でしかないがな」
「…ああっ!……」
ミルディンの言葉にさあっと頬が紅くなる。そしてその唇から否定の言葉を告げようとして、再び胸に強い刺激が与えられた。そのせいで言葉を紡ぐ事が出来ない。強く胸を甚振られて、背後の男に耳たぶを噛まれて、パーシバルは身体を小刻みに揺らす事しか出来なかった。
「…あぁっ…あぁ…止め…はぁっ……」
何度も何度も胸を甚振られ、突起は痺れるほどに痛かった。やっとソコから解放されたと思ったら、男の手が下腹部へと伸びる。けれどもその手は自身を素通りし、そのまま奥に息づく秘所へと触れた。
「…止め…あっ……」
太い指が入り口をなぞる。それは自分の知っている何時もの指ではなかった。何時もと違う指が入り口をなぞり、そのまま秘所を暴いてゆく。両の指で押し広げられ、そこをミルディンの前に晒された。ひくひくと淫らに蠢いているソレを。
「もうヒクついているぞ。パーシバル…そんなにココに挿れてほしいのか?」
「…ち、違いますっ…私は……」
舐めるように視線がパーシバルの秘所を辿ってゆく。そのたびに直接触れられた訳ではないのに、媚肉が疼いた。男の手は花びらを押し広げるだけで中に挿れられている訳でもないのに。それなのに媚肉はひくつき、内壁は刺激を求めている。
「違うののか?こんなになっているのに」
「…あっ…あぁっ……」
ミルディンの手が男の手に重なるとそのままぐいっと指を中へと突っ込んだ。それを合図に男の指がパーシバルの中を掻き乱す。ぐちゃぐちゃと濡れた音が室内に響き渡った。
「…あぁぁっ…あっ…あんっ……」
指で押し広げられ、中を掻き回される。媚肉に爪を立てられ、一番感じる個所を探り当てられた。そこを集中的に攻めれば、パーシバルの口から悲鳴のような声が零れる。その声は切なげで、何処か男の加虐心を誘うものだった。
「…やぁっ…止め…あぁぁっ……」
何時もの細い指とは違う、太さが。何時もの動きとは違う、指先が。それがパーシバルを悩ませた。予想も付かない動きに翻弄され、無意識に腰が揺らめく。それを見下ろすミルディンの視線が、ひどく。ひどく淫らに絡みついて。直接攻められている訳ではないのに、そのまとわりつく視線に睫毛が揺れて。
「…あぁ…あぁぁ…もうっ…あぁんっ……」
何時しか限界まで立ち上がったパーシバル自身の鈴口から先走りの雫が零れていた。とろりとした液体にミルディンは目を細める。そして。
「手を離せ…この先は私だけのものだ」
パーシバルの背後にいた男に命令をした。男は名残惜しそうにしながらもミルディンの言葉に従う。離れた男の股間はパーシバルの痴態のせいで膨れ上がっていた。それに気付いたミルディンはまたひとつ微笑って。
「感じたか?お前も。こいつの中にソレをぶちこみたいか?」
ミルディンの言葉に男はこくこくと頷いた。その言葉に意識を飛ばしかけていたパーシバルは、背筋をぞくりとさせる。ミルディン以外の男に貫かれる自分など想像出来なかったからだ。そんな事を考えもしなかったからだ。けれども。
「生憎コレは私だけのものだ。その代わり」
けれどもそれは行われる事はなかった。その言葉にほっとするが、それは一瞬の事でしかなかった。そう次に告げられたミルディンの言葉のせいで。
「その代わり、この口に出させてやろう」
何時ものように抱かれるために部屋に訪れたパーシバルを迎えたのは、ミルディンともう一人の男だった。名前すら知らない筋肉の塊のような男。ただその男は口がきけなかった。口がきけないから連れてきたと、ミルディンは言った。
そしてミルディンの真意を量り兼ねる前にその男によって背後から抱きしめられて、服を脱がされた。身体を捩り逃げようとしても、抵抗は許さないという王子の命令に従うしかなかった。
そしてそのままいいように男の手によって身体を嬲られ。そして。そして今…。
「…んっ…ふっ……」
醜いグロテスクな形をした男のシンボルがパーシバルの口に捻じ込まれた。それは一瞬むわりとした匂いを立ち込めながら、口中を支配する。それに耐えきれず顔を背けようとしたら、力強い腕によって頭を抑えこまれた。こうされればもう、逃れる事は出来ない。
「…ふぅっ…んんんっ…んんっ……」
髪を掴まれ腰をぐいぐいと押し付けられた。そのたびにパーシバルの口中にソレが捻じ込まれ、喉元を抉ってゆく。あまりの大きさに噎せ返りそうになりながらも、それでも自分は奉仕する以外に他なかった。こうなれば早くこの口の中に欲望を吐き出してもらうしか、逃れる道はなかった。
「…んんんっ…んんんっ……」
綺麗な眉が苦痛に歪む。その表情に男は欲情した。パーシバルの中のソレが所々に大きくなり、とろりとしたものが口中に零れて来た。もう少しだと…もう少しだと思った。その瞬間。
「――――んんんっ!!!」
腰を掴まれたかと思った瞬間、バックからパーシバルはミルディンに貫かれた。一気に貫かれ、硬い楔がパーシバルの中に埋め込まれる。その刺激に喘ごうにも唇は男の性器に塞がれ、声を出す事が出来なかった。口にぐいぐいと捻じ込まれながら、後から腰を揺さぶられる。
「んんんっ…んんんんっ!…んぐっ!!」
両の穴を塞がれ、パーシバルの目尻から生理的な涙が零れて来た。耐えきれずに身体を捩ろうとしても頭は固定され、腰は掴まれたままだった。口を犯され、後を抉られ、ただパーシバルは甚振られるだけだった。どうする事も出来ずに、今は。今はただ、自分に欲望が注がれ開放それるのを待つしか出来なかった。それしか、出来なかった。
「顔にかけてやれ、そいつはソレが好きなんだ」
背後からミルディンが男に告げた。その言葉の意味を理解する前にパーシバルの口からソレが引き抜かれる。そしてそれと同時にパーシバルの中のミルディンの凶器が、身体の奥深い場所に一気に埋め込まれた。
「あああああっ!!!」
どくんっと弾けた音ともにパーシバルの顔に大量の精液が浴びせられる。それと同時に最奥に熱い液体が注がれた。
顔に精液をこびり付かせながら、太腿から注がれた液体を流しながら、パーシバルはその場に崩れ落ちた。意識が真っ白になり、自分がイッた事に気が付いた。そう前と後ろを塞がれながら、自分はイッたのだ。男の玩具にされながら雌猫のように喘ぎながら。
『お前は私だけのものだ。私だけがお前を自由に扱うんだ』
そして遠ざかる意識の中で聴いたミルディンの言葉にただ頷く事しか出来なかった。その通りだから、と。そして。そして意識をそのまま真っ白にさせた。