見つけた、道。真っ直ぐに伸びてゆく道。
そこに俺は立ち、そして。そして迷う事無く進む。
そう、真っ直ぐに進もう。お前が。
――――お前が隣で、戦い続ける限り……
何時も真っ直ぐな瞳を、向けていた。どんな時でもどんな瞬間でも迷う事無く自分の信じる道を進む瞳。前だけを、見ている瞳。そこには迷いも戸惑いも何もない。そんなお前が。そんなお前が俺にとって何よりも羨ましく、そして眩しい存在だった。
「―――アレン……」
組み敷いた身体のぬくもりを感じながらその顔を見下ろせば、微かに潤んだ瞳が俺を見上げた。その曇りない瞳を何よりも綺麗だと思いながら、そっと。そっとその唇を奪う。
「…んっ…ラン…スっ…んん……」
始めは柔らかく口付け思考を奪い、そしてそのまま激しく口中を弄った。濡れて紅く光る唇を何度も吸いながら、逃げ惑う舌を深く絡め取る。そのまま逃げられないように身体を抱きしめ、髪を撫でる。汗でべとつく前髪を掻き上げれば形良い額が覗き、ひどくお前を幼く見せた。
「…んんっ…はぁっ…ふっ……」
唇が痺れるほどに口付けをして、ゆっくりと息を解放した。その途端零れる甘い息に名残惜しげにもう一度唇を塞げば、口許から透明な唾液が伝った。
「…好きだ、アレン……」
零れる唾液を指先で拭ってやれば腕の中の身体がびくんっと跳ねる。それを確認しながら、俺は浮かび上がる鎖骨をきつく、吸い上げた。
「―――っ!」
その刺激にお前の手が俺の髪に絡みつき、引き剥がそうと引っ張られる。けれども構わずにそのまま紅い痕をそこに残した。消えないように、と。
「…ランス…止め…あっ……」
紅く充血した印に満足した俺は、そのまま舌を胸の果実まで滑らせそのまま口に含む。ぴちゃぴちゃと音を立てながら突起をしゃぶり、親指と人差し指でぎゅっと摘んでやった。それだけで敏感な身体は面白いように反応を寄越した。
「…あぁっ…あ…駄目だ…止め……」
「何時もお前は口ではそう言うけれど…身体は正直だ」
「…違っ…ああっ!」
脚の間に身体を滑りこませ、微妙に形を変化させた自身に触れる。それを手で柔らかく握ってやれば、耐えきれずに口から甘い声を零す。その反応に満足するようにひとつ微笑ったら、お前の頬がかぁぁっと朱に染まった。
「…あぁ…止めろ…ランス…あぁ…んっ……」
「嘘吐きな唇は…塞ぐからな」
「…んっ…ふっ…ん……んん!!」
再び唇を塞ぎながら、お前自身を指で弄ぶ。柔らかく撫でながら、指先で形を辿り、そのまま先端の割れ目に爪を立てた。そのたびにびくびくと震える身体が、愛しかった。
「…んっ…んん―――っ!!!」
ぐいっと強く先端を扱いてやればいとも簡単にお前の先端からは白濁とした液体が、飛び散った。
お前がいたから、前を見てゆける。お前がいるから…前に進める。
フェレ家に仕えて日も浅い俺を、お前は誰よりも仲間として受け入れてくれた。
何処か余所者だと感じていた俺を、お前はありのままで受け入れてくれた。
ひだまりのような笑顔で。眩しい太陽のような笑顔で。
――――そんなお前に俺はずっと。ずっと、心の何処かで救われていたから……
「…アレン……」
お前がいるから、戦える。
「…ラン…ス……」
お前がいるからこの場所で戦ってゆける。
「…愛している、アレン…」
お前がいるから、俺は。俺はこうして。
こうして前だけを見つめて、戦う事が出来る。
背中を預けたいと思うのも、ともに戦いたいと思うのも。戦い続けたいと、願うのも。お前がいたから。お前がいるから。こうして同じ道をともに歩んでいける…お前がいるから。
「…そんな事…言うな…照れる…から……」
頬を染め照れ隠しの為に視線を外すお前が何よりも愛しい。そのままこめかみに唇を落として、睫毛にキスをした。それだけで零れる甘い息すらも、俺にとっては。
「いいだろう、たまには想いを確認したかったんだ」
「…馬鹿……」
お前の手が伸びて、俺の髪に触れる。そして子供のようにぎゅっと。ぎゅっと俺の髪を引っ張って、そして。そしてひとつ微笑って、言う。
「…確認なんてしなくても…分かる…だろう?……」
お前がいたから。お前がいるから。
俺はこうして歩んでゆける。迷いない道を。
迷いない道をお前とともに。お前と、ともに。
――――真っ直ぐに進む事が、出来るから……
「あああっ!!!」
ひくつく入り口を楔で貫いた。熱く淫らな媚肉が俺自身を締め付ける。その熱さに内側から溶けそうになりながら。
「…あああっ…あぁぁ…あっ……」
「…アレン……」
名前を、呼ぶ。呼べばその瞳が、俺を切なげに見上げてくる。濡れた瞳で、俺を見つめる。この瞳をこのまま。このまま閉じ込めてしまいたいと思った。このまま閉じ込め自分だけのものにしたいと。自分だけのものに、したいと。
「…あぁっ…ランスっ…あぁぁ……」
鎖骨に噛み付き、歯を立てた。そこから広がる痛みが、お前の全身に伝わればと思った。そうすれば伝わるような気がしたから。俺の想いが全部、伝わるような気がしたから。
――――何よりも、かえがえのないものだと。何よりも、独りいじめしたいものだと。
これからもずっと。ずっと、お前とともに。
「…ああっ…もうっ…駄目…だ………」
お前とともに腕を磨き合い、戦い続け。
「――――ああああっ!!!」
そしてともに生きてゆきたいと、願うから。
どんな困難な道が広がっていても、お前となら乗り越えてゆけるとそう思うから。
「…ランス……」
髪を撫でる、指。そっと俺の髪を撫でる指。
「…これからも俺達は……」
快楽で縺れながらも、それでも必死に。
「…フェレ家の為に戦う騎士…だからな……」
必死に俺の髪を撫でてくれる指が。
「…ずっと俺達は…一緒に……」
何よりも、愛しく。何よりも、愛している。
「…一緒に…戦い続けるんだからな……」