大好きなの。一番、大好きだから。だからもう子供扱いしないでね。
「こらっシャニーやめろってっ!」
ディークの制止の声も聴かずにシャニーはその小柄な身体で、彼の上に乗っかって来た。そしてそのままディークを見下ろす。その目が明らかに据わっていて、更にアルコールの匂いまでしてくる。
「お前酔っ払ってるんだろう?こらっ」
自分に跨りそのまま顔を近づけてくるシャニーを、ディークは大きな手で遮った。けれどもシャニーは構わずに顔を近づけると、そのままディークの唇を奪った。
「―――っ!こ、こら何を……」
「好きなんだもん。あたし隊長が好きなんだもん」
少しだけろれつの廻らない舌でシャニーは言うと、もう一度キスをしてきた。さっきは触れるだけのキスだったけど、今度は違う。何処で覚えてきたのか、ちゃんとした大人のキスだった。ディークの唇を強引に割り、自分から舌を絡め取る。アルコールの味のするキスにディークは眉を歪めながら身体を離そうとしたが、触れてくる少女の身体の柔らかさにふと。ふと、躊躇ってしまった。力を込めたら壊れてしまうのではないかと思わせる、その華奢な身体に。
今まで気がつかなかった。本当に下手をしたら少年のように自分にまとわり付いてくる存在。男の子のような口調で、ひたすらに明るい少女。けれども今。今自分の胸の上にある身体は、柔らかい女のものだった。華奢な少女の身体だった。
「…んっ…んんっ…隊長っ…ふっ……」
下手だけど懸命なキスだった。自分の舌に自らのそれを絡ませ、必死になって吸い付いてくる。ざらついた舌の感触が、思いがけずディークの身体を熱くした。上手い女の濃厚なキスよりも、下手でも懸命にしてくる少女のキスの方が、自分には感じた。
「…好き…隊長…んんんっ…ふぅんっ……」
「…シャニー……」
酒の勢いで言っているのは分かる。けれども、それはシャニーの本当の気持ちだった。嘘偽りない想いだった。それが伝わったから、ディークは。必死になって自分に口付けをしてくる少女を拒む事は出来なかった。
ずっと、大好きだったんだから。一番、大好きだったんだから。
他の誰よりも、一番。一番、隊長が。隊長が、好きなの。だから。
だからあたしを。あたしを、子供扱いしないでね。
「気持ちは分かったから、もう休めシャニー」
「いやっ!隊長に認めてもらうまであたしは諦めないもんっ!」
唇が離れて息を乱すシャニーにディークはそっと髪を撫でてやりながら言った。けれどもシャニーは首を横に振ると、着ていた服を脱ぎ始めた。
「こらっシャニー何やって……」
ディークの声も届かないとでも言うようにシャニーは着ていた服を全て脱いでしまう。まだ発育途上の二つの胸の膨らみが、惜しげもなくディークの目の前に現れる。小ぶりだが形のいい胸だった。
「隊長、見て。あたし子供じゃないよ。ちゃんと女だよ…だから隊長、あたしを女として見て」
真剣な瞳が、ディークを見つめる。それは一途で、そして健気な瞳だった。彼女の気持ちは痛い程にディークに伝わってくる。けれどもそれを受けとめるには、まだ。まだ彼女は若すぎる。まだ子供だ。
「シャニー、誰もお前を子供扱いなんてしてねーよ。だから服着ろ」
まだ子供のはずだ。まだ少女のはずだ。まだ何も知らない無邪気な、恋に恋するような。けれども。
「しているっ!しているからそんな事言うんだ…それとも隊長…あたしの事嫌いなの?」
けれども、見つめる瞳は一途で。ぶつけてくる思いは本気で。それは下手な女との恋愛よりもずっと。ずっと純粋なもので。痛い程に真っ直ぐなもので。真っ直ぐな、もの。
「嫌いなんて言ってねーだろって、わっ!な、泣くなっ!!」
シャニーの大きな瞳から大粒の涙が零れて来た。女の涙にはただでさえ弱いディークにとって、これはかなりのダメージだった。ただでさえ弱いのに、その泣いている相手が自分にとって大切な存在なら尚更だ。そう、大切な存在ならば。
「…嫌いなんだ…あたしの事だから…だから……」
ぽろぽろと零れて来る大粒の涙。綺麗な、涙。そこには女性特有の駆け引きの涙じゃない。ただ純粋に、本当に真っ直ぐな気持ちで。嘘偽りない想いで。
「嫌いじゃねーって言ってんだろっ!」
「…だったら…だったら…抱いて…よ…あたしのことを…女として認めてよ……」
零れる涙を拭おうとはせずに、自分を見上げてくる少女。大切な少女。そう、大事だった。大事だから、だから大切にしてきた。子供扱いするのも、女として見ないようにしていたのも、本当に自分にとって大事な存在だったから。だからこんな感情で、傷つけたくなかったのだ。でも。でも今自分が、傷つけている。大事な存在を、泣かしている。それがディークにとって何よりも。何よりも辛い事、だったから。
「――――後悔…しねーか?」
受け入れない事よりも、傷つけてしまう方が、自分にとって辛い相手だった。そしてそれこそが。それこそが、目の前の彼女に対する答えでもあった。
「…しない…しないから…隊長……」
まだ瞳から涙は零れている。けれども口許は微笑ったから。だからディークはそんな彼女をそっと抱きしめて。抱きしめて、そのまま。そのまま静かにシーツに押し倒した。
胸の膨らみに手を触れれば、びくんっと細い肩が跳ねた。大きな手で包み込んでやれば、口からは零れる声は鼻に掛かった甘い声だった。
「…あっ…あぁっ……」
初めての刺激にシャニーは身体を小刻みに痙攣させる。包み込むように胸の膨らみを揉まれ、ぷくりと立ち上がった胸の突起を指で摘まれる。きゅっきゅっと乳首を捏ねられて、シャニーは耐えきれずにシーツをぎゅっと掴んだ。
「…あぁんっ…隊長っ…はっ…はぁっ…ぁ……」
開いた方の突起が暖かい舌に舐め取られる。桜色の突起を口に含まれかりりと軽く歯で噛まれた。痛いほど張り詰めたソレを、何度も舌が行き来をする。
「…隊長っ…あぁ…あ……」
胸を弄っていた指がゆっくりと下腹部へと滑ってゆく。触れられるたびにびくびくと身体が震え、指が茂みに辿り着いた頃にはシャニーの身体はしっとりと汗ばんでいた。
「―――ひゃっ!」
膝を掴み脚を広げさせると、ディークは茂みの下に息づく蕾に指で触れた。そのひんやりとした指の感触と、電流の走ったような刺激にシャニーの身体が弓なりに仰け反った。
「…ひゃあんっ…ふ…あっ…ぁぁっ……」
外側を指の腹で何度かなぞると、ひくひくと蠢く媚肉の中に指を侵入させる。異物を拒むように締め付ける内壁を掻き分けるように、ディークは中で指を掻き回した。くちゅくちゅと濡れた音を響かせながら。
「…ふぅっ…はっ…あぁ…たいちょ…うっ…熱い……」
「ん?」
「…熱いよぉ…ココ…凄く熱いよぉ…どくどく…してるっ……」
「そうだな、確かに」
熱に浮かされたような表情で自分を見上げてくるシャニーに、ディークはひとつ微笑うと汗ばむ額に唇を落とした。その柔らかい刺激ですら、シャニーの睫毛は震えた。
「―――熱ちーな、お前のココは」
「ひゃあんっ!!あぁんっ!!」
指で秘所を掻き乱しながら、もう一方の手でディークはシャニーのクリトリスを摘んだ。それは既に剥き出しになっていて、とろりとした蜜を滴らせている。それをきゅっと摘んでやれば、びくびくと組み敷いた身体が痙攣をする。
「…あぁんっ…あんっ…熱い…熱い…よぉ…溶けちゃうっ…あぁぁっ……」
「溶けちまえ、ほら」
「やぁんっ!あんっ!ああああんっ!!!」
ぐいっと潰すようにクリトリスをディークは摘んだ。その刺激に耐えきれずに、シャニーは身体を震わせて、イッた。
股に伝う液体をディークは舌で掬い上げると、丹念にそれをシャニーの密部に塗り込んだ。ぴちゃぴちゃと舌と唾液で湿らせながら。
「…あっ…はぁっ…やぁんっ……」
イッたばかりの身体はどんな刺激にも敏感に感じるようになっていた。思考が朦朧として、何も考えられなくなるほどに。ただ与えられる快楽を逃さないように必死に感じるだけで。そう与えられる刺激を感じるだけで。
「…はぁぁっ…あぁ…たいちょお…たいちょ…お……」
「――――シャニー……」
充分に湿らせるとディークは顔を上げて、シャニーを見下ろした。頬を上気させながらも名前を呼べば、視線を懸命にディークに合わせようとする。そんな所が、愛しかった。そんな所が、愛しいと思う。
「…もうガキ扱い…しねーよ…だから……」
自分を必死で見上げる瞳も。自分だけを呼ぶその声も。真っ直ぐで嘘偽りないその気持ちも。全部、全部、大切なものだから。
「…たい…ちょう……」
「だから、お前…俺にくれ」
「…うん…あげる…あげるから…言って…ねぇ…好きって…」
「―――ああ…シャニー……」
大切な存在。大切な少女。ずっと護ってやる。これから先、ずっと。ずっと護ってやるから。
「…好きだぜ、シャニー……」
引き裂かれるような痛みが全身を襲った。充分に湿らせたとはいえ、初めての侵入にシャニーの内壁が痛みで悲鳴を上げる。
「…ひっ…ひぁっ…あぁぁぁっ!……」
それでも懸命にその痛みに堪えて、シャニーはディークの背中に腕を廻した。傷だらけの背中だった。でも大事な傷だった。この傷こそが、ディークが背負ってきたものだから。彼が積み重ねてきたものだから。
今はまだ。まだこうして触れることしか出来ないけれど。何時か自分が癒せてあげられたらと、思う。この傷の分だけ、心も一緒に傷ついているはずのこの人を。
「シャニー…痛いか?……」
先端の縊れた部分までを埋め込み、しばらくディークは動きを止めた。初めの衝撃を越えらるまで待った。痛みが少しでも和らげられるにと、額にキスをしながら。
「…ふっ…痛い…痛いよぉ…でも……」
「―――でも?」
「…でも…痛いより…もっと…もっと隊長を…感じたいから…だからっ……」
「…ああ……」
ずずずっと音ともにシャニーの中にディークの肉棒が埋められてゆくのが分かる。割れ目からは処女の血が滴り太腿を濡らしたが、もう動きを止める事はしなかった。中途半端に止めてもシャニーを痛がらせるだけならば、先に進んで快楽に摩り替えた方がいい。それに何よりも、自分が限界だった。初めて雄を受け入れたシャニーの中はきつく、そして熱かった。内側から溶けてしまうほどに熱かった。
「…あぁぁっ…ひぁっ…あああっ!!」
「―――シャニー……」
名前を呼びながら身を埋めてゆく。血が潤滑油の変わりをし、ディークの侵入をスムーズにさせた。中を引き裂くように進む楔に顔を歪めながらも、何時しかその顔の中に別のものが含まれるようになっていた。別の、ものが。
「…あああ…あぁ…あぁん…あん…あんっ!…」
そして声も。声も次第に濡れてゆく。痛みよりも違うものが、シャニーの身体を支配してゆく。それはさっき感じたものだった。さっき感じた感覚だった。
「シャニー、俺のもんだ」
「…あぁぁっ…たいちょお…たいちょお…あたし…あたし…とろとろになっちゃうっ……溶けちゃうっ!」
「俺もだぜ、お前の中で」
「…溶けちゃ…っ…あああああっ!!!」
そしてその感化がシャニーの全身を襲った瞬間、体内で弾けるような音がしてシャニーの身体に熱い液体が注がれる。それと同時に、シャニーの視界が一瞬。一瞬、真っ白になった。
好きだよ。大好きだよ。一番大好きだから。
「…まだ少し…酒臭ねーな…」
だから一緒にいてね。だからちゃんと女として扱ってね。
「…むぅ…いいじゃんっ!……」
ちゃんと『恋人』として、扱ってね。大好きだから。
「よくねーよ、未成年」
誰よりも、一番。一番、大好きだから。
「…って未成年にいやらしいコトしたのは、何処のどいつかなー?……」
「っててめーっ!おめーのせいだろうか」
「…へへへ、半分、半分」
「おめーなぁ」
「半分ずっこだよ、責任は、ね。だから」
「だからちゃーんと責任取ってね、隊長」
無邪気に笑う子供のようなシャニーの顔に苦笑しながら。苦笑しながらディークは呟いた。―――しゃーねぇなぁ…と、呟いて。そして。そしてひとつ。ひとつキスをした。
…責任とってやんよ、と言いながら……