触れられた個所から広がる熱が、じわりと体内へと侵食する。そのまま熱に飲み込まれ、意識までもが犯されてゆく。このまま隙間すらなくなるまで支配されたならば…そうしたら、全てが満たされる?
――――背中に爪を立てたかったけど、大好きなその背中に爪跡が付いたら嫌だったから我慢した。
見上げてくる視線の冷たさに瞼が震えた。けれども火照った肌は、その視線に冷まされる事はなかった。それどころかぞくりと背中が震えて、背筋からじわりと快楽が込み上げてくる。
「―――見られるだけでもうこんなか?」
冷笑とも言える口許だけの笑み。けれどもそれすらもツァイスにとっては快楽を煽るものでしかなかった。目の前の彼によってもたらされるものは全て、そうなるように身体が覚えてしまった。
「…こんなんだよ…シン…俺…もう……」
震えながら勃ち上がる自身にはまだシンの手は一度も触れていない。それどころか服すら脱いではしなかった。ツァイスだけが素肌を曝け出さされ、恋人は冷酷とも言える口調で自分に跨るように告げただけだった。
「…もう…俺我慢出来ない…っ……」
命令されたまま衣服を纏ったまま寝転がるシンの上に跨れば、剥き出しになった自身は身体の上で擦れる。それだけで、敏感なツァイスのソレは反応を寄越してしまう。
「お前は何時もそうだな。本当どうしようもない程淫乱だな」
「…違うっ…これはシンだから……」
淫乱という言葉にツァイスの耳が微かに朱に染まる。それもシンにとっては計算済みだった。そんな言葉にすら反応するように仕込んだのは他でもない自分なのだから。
「盛りのついた雌猫よりも質が悪いなお前は」
くとりとひとつ囁くように微笑えば、もうツァイスには選択肢はない。いや最初から、そんなものは奪われていた。この目の前の男を好きになった時から、そんなものはもう必要なかった。
「まあいい。俺が欲しいならどうすればいいか、分かっているな」
必要ない。自分の思うままにすればいい。自分の思うまま、この男を求めればいいのだから。
ズボンを脱がすことなくツァイスはシン自身だけを下界に晒すと、そのまま迷うことなくソレを口に含んだ。
「…んんっ…んんんっ……」
既に適度な硬度を持ったソレはすぐに口内を埋めるほどの存在感になった。こんな大きなモノが自分の中を掻き乱していると思うだけで、ツァイスの股間は熱くなる。
「―――幾らやっても下手だな」
「…ごめん…シン…っ……」
髪を掴まれ告げられた言葉にツァイスは唇に唾液を滴らせながら謝った。まるで淫乱な獣のような表情わしながら、零れる言葉は実直で。そのギャップがシンの口許に笑みを浮かばせる。
「いいから続けろ」
「…うん…俺…頑張るから…もっと巧くなってお前…悦ばすから……」
その笑みに溶かされてゆく。身体が、心が、溶かされてゆく。その顔を見る為だったらどんな事でも出来た。どんなにいやらしい事でも、どんなに恥ずかしい事でも。
「…もっと…俺で…感じてもらえるように……」
再び目の前にある肉棒を口に咥えた。それを喉の奥まで頬張って、懸命に舌を動かした。
「…んっ…ふっ…んんんっ!」
ぴちゃぴちゃと濡れた音が室内を埋める。咥えていた唇を離し、そのまま側面を舌で辿る。袋の部分を指で揉みながら、先端の割れ目を軽く噛んだ。握って擦ればソレは明らかに形を変化させる。それを感じるたびに、ツァイスのソレもどくどくと熱を帯びながら膨張してゆく。
「――――もういい、乗れ」
「…シン……」
再び髪を掴まれ引き剥がされる。けれども次に告げられた言葉そこが何よりもツァイスがして欲しかった命令だった。
「…うん、シン…俺…コレが…欲しい…欲しいよ……っ」
触れてもいないのに双丘の蕾はひくひくと蠢いている。欲しくて、シンのソレが欲しくて。熱くて硬くて巨きなソレが欲しくて……。
「あああっ!!!」
我慢が出来ずツァイスは剥き出しのシン自身に手を添え自らの蕾に充てると、そのまま一気に腰を落とした。ズプズプと濡れた音を立てながら、イヤらしい秘孔は楔を飲み込んでゆく。そこに引き裂かれる痛みはなく、ただひたすらに捻じ込まれてゆく快感だけが身体を埋めた。
「…ああっ…あああっ!!シンっ…気持ちイイっ…気持ちイイよぉっ!!」
全てを飲み込むとツァイスは喉をのけ反らせて喘いだ。そして逃さないようにときつく締めつける媚肉に逆らうように腰を上下に振った。
「…ああんっ…ああぁっ!!…イイっ…イイよぉっ…あぁぁんっ……」
抜き差しを繰り返すたびに中で巨きくなってゆくソレが。擦れ合うたびに熱くなってゆくソレが。その全てが気持ちイイ。気持よくて、もう。もう何も考えられなくて。
「…シンっ…シンっ…んんんっ!!!」
髪から頬から目尻から、汗と体液と涙が零れてくる。ぽたり、ぽたりと。それがシンの顔に当たったと思ったら被さるように口づけられた。薄く唇を開いてやれば舌が生き物のように忍び込んでくる。シンは薄く目を開いてその様子を見ていた。その顔を見ていた。自分に犯され乱れて溺れてゆくツァイスの顔を。
「―――っ!!んんんんんっ!!!!」
その表情に満足してシンはその体内に自らの欲望を吐き出した。熱い液体を、注ぎ込んだ。
熱に浮かされている。何時も微かな熱に浮かされている。お前が触れているから。俺に触れているから。だから、熱に溺れている。
「…俺だけに溺れていろ…ツァイス…俺以外何も見なくていいから……」
意識を手放したツァイスに囁かれたシンの言葉は届く事はなかった。けれども繋がった個所から伝わる熱は、決して消える事はなかった。
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