―――――舌先から滴る甘い蜜から広がるのは、禁断の罪の味。
白い波の上に広がる紅い髪に指を絡めれば、汗で濡れた手のひらに絡みついてくる。その感触をしばらく楽しんでから、ガイアは組み敷いた相手の顔を覗き込んだ。
「…ふふ、貴方とこんな事になるなんて…人生って分からないものね」
「―――セルジュ……」
白い手が伸びてきてガイアの頬に触れる。その指先は熱を帯びてひどく熱く感じた。焼けるような熱を、感じた。
「最初は疑いの目で見ていた筈なのに、気が付けば視線が貴方ばかり追い駆けていたわ…困ったくらいにね」
夜に濡れた唇が笑みの形を作る。それはひどく妖艶で、ひどく甘美なものだった。このまま噛みついて喰らい尽してしまいたい衝動に駆られる程に。
「俺もお前を追い駆けていた。こいつは死なせちゃいけない奴だって。俺と違って帰る場所がある奴だからって」
湧き上がる衝動を堪えてもう一度その顔を覗き込めば、今度は少女のような笑みを見せていた。生まれたばかりの恋を見つめている少女のような表情。それはまるで触れてはいけないようなひどく綺麗なもののように思えて、一瞬ガイアを戸惑わせた。けれども。
「でも今は『ここ』が貴方の帰る場所よ。私の隣が貴方の場所だから」
けれどもそれ以上に告げる言葉と見つめる瞳が、全てを包み込むから。全てを包み込んで、そして。そして心を抱きしめてくれるから。
「―――ああ、そうだな。ここが…お前の腕が俺の帰る場所だな」
見つめて、見つめあって唇を重ねた。愛撫の前の淫らな口づけじゃない、ただひとつ想いを伝えるための触れるだけの優しいキスを。
ずっと独りで生きて死んでゆくものだと思っていた。所詮闇に生きる者にとって光など必要ない。遠くから見つめて叶わないものだと焦がれるだけで良かった。けれども今その光は近くにある。この手のひらにある。――――この腕の中に、在る。
――――――それだけでもう。もう、何もかもの望みが叶わなくてもいいと思った。
砂糖菓子よりも、蜂蜜よりも、もっと。もっと甘いものを俺は知ってしまった。この世のどんなものよりも甘くて柔らかくて、そして何処か罪の味がする雫を。
乳房に顔を埋めて尖った胸の果実に指を這わせれば、そこからは微かな雌の匂いが鼻孔に広がる。それを知っているのが自分だけだという事実が、ひどく欲情させた。そのままふくよかなふくらみに顔を埋め、匂いを感じながら、尖った胸に愛撫をする。
「…ぁぁっ…んっ…は…っ…ガイ…ア……」
艶やかに濡れた唇から零れる吐息と己の名前が、何よりも甘くて。このまま。このまま蕩けてしまえばいいと思う程に。
「…セルジュ…お前のココは、どんな菓子よりも甘い…」
「…ああんっ!……」
ぷくりと立ち上がったと首を口に含めば、広がるのは淫靡で甘美な舌触りだった。それを堪能するようにしゃぶれば、腕の中の身体はびくびくと跳ねる。それと同時に口から零れる甘い吐息は何処までも、何処までも美味だった。
「…あぁっ…ぁぁんっ…そんな…そんな舐め…ないでぇっ……」
ぺろぺろとざらついた舌で舐めてやればイヤイヤと首を振りながらも、無意識に舌先に胸を押し付けてくる。その仕草にガイアは目を細めると、飴をしゃぶるように胸の果実を舌で転がした。―――その甘い、甘い、果実を。
「…あぁぁんっ…ああんっ…だめょぉ…こんなっ…あぁっ……」
「どうして?こんなにも甘いモノを俺は他に知らない。いや―――」
「――――っ!!あっ!!」
ねっとりと唾液で濡れぼそるまで舐め廻した乳首から唇を離すと、ガイアはそのまま下腹部へと舌を滑らせた。脇腹から臍の窪み、そして揺れる腰を辿りそのまま奥の茂みへと。
「ああんっ!!ああ…あんっあんっ!」
茂みを掻き分け辿り着いた秘所からは既に蜜がとろりと滴っていた。それを舌で受け止め、そのままこくりと飲み干した。その瞬間口中に広がるモノはなによりも、甘い。
「ココが一番、甘いな。この蜜が」
「…だめぇ…っそんな…音を立てて…吸っちゃ…っ…やぁんっ……」
滴る雫を飲み干すために広げさせた両脚ががくがくと震えている。その反応すらもガイアにとってはどうしようもなく愛しくて、どうしようもなくそそるもので。
「美味しいぜ、お前のココ」
「…もぉっ…だめよぉ…ああんっ…あんあんっ……」
言葉とは裏腹にガイアの髪に指を絡め、もっともっととセルジュは秘所を押し付ける。それに答えるようにガイアは秘所の一番深い場所に舌を立て、そのまま剥き出しになったクリトリスをぎゅっと摘まんでやった。
「――――っ!!だめっ…もぉっ…もぉっ…イッちゃうっ!!」
「いいぜ、イケよ。ほら」
「あ、あ、あああんっ!!!ああああんっ!!」
痛い程に張り詰めたクリトリスを爪先でグイっと抉ってやれば、セルジュは耐え切れずにびくびくと身体を痙攣させ、イった……
長い髪から滴る汗が、ひどく綺麗だと思った。その髪がふわりとガイアの頬を掠めてゆく。
「…だめよ、私だけが…イっちゃうのは…」
そのまま身体を押し倒されれば、白い胸が揺れながらガイアの顔面に当たる。そのまま軽く乳首を口に含めば、柔らかい乳房を押し付けてきた。
「…セルジュ……」
「ふふ、イク時は一緒よ、ね」
艶めかしい指先がガイア自身に伸びてくる。それは既に手のひらでは包みこめないほどの強度と、巨きさになっていた。それを確認するように指先で形を辿ると、セルジュはガイアに跨り、自分の秘所にソレをあてがった。そしてそのままゆっくりと腰を落としてゆく。
「ああああっ!!!あああんっ!!!」
ずぶずぶと淫らな音を立てながら、ガイアのソレをセルジュの秘所は呑み込んでゆく。絡みつくように締め付けながら、そそり立つ肉棒を。
「…イイっ…イイっ…あああんっ!!ああああんっ!!!」
全てを飲み込むと、セルジュは本能のまま腰を振った。髪を振り乱しながら、何度も何度も。そのたびに白い胸が揺れ、髪先からは透明な雫が散らばってゆく。それが何よりも綺麗だと、思った。快楽に飲まれそうになる意識の中で、ガイアはそれだけを思った。押し寄せる快感と、溢れる悦楽の中で、ただそれだけを。
―――――何よりも甘くて、そして何よりも綺麗な恋人。俺の、ただひとつの還る場所。
「…イクっ…イッちゃうっ…ガイア…っガイアっ…わたしっ……」
「ああ、俺も。俺も…イク…セルジュ……」
「…んんっ…んんんっ…んんんんんんっ!!!!」
……唇を絡めて、上も下も繋がって、そして。そしてふたりで、イッた………
帰る場所は他にあるのに、それなのに俺を選んでくれた。俺に帰る場所を与えてくれた。共に生きる事を、共に生きてゆく事を。そして焦がれるだけの光を、手のひらに与えてくれた。この手のひらに。
「…大好きよ…ガイア…私は貴方と…生きてゆく…貴方が闇に生きる人でもいいの…私が…選んだの…私が決めたの…貴方と一緒に生きてゆくことを……」