神様が、許してくれなくても。



もしも、神様が許してくれなくても。
例え誰も、許してくれないとしても。
それでも私は。私は誰よりも。

―――誰よりも貴方が…好き………


「…レナさん……」
戸惑いながら私の髪を撫でる貴方に、私はそっとその頬に触れた。手のひらに伝わる暖かさが、私の身体の体温と同じだなと思ったら少しだけ嬉しくなった。
「レナさんはやめて、ジュリアン…私達は夫婦なのだから」
「…あ、ああレナ……」
戸惑いながら名前を呼び捨てにする貴方に私からキスをした。そっとキスをしたら、貴方は少しだけ照れて、そして。
「好きだよ…レナ……」
今度は真っ直ぐ私を見つめて、貴方からキスをしてくれた。


一番大切な人を、大切にしたい。
一番大好きな人と、一緒にいたい。
例え神様に仕える身であったとしても。
それ以上に大切な人がいては。
それよりもっと傍にいたい人がいては。
いけないことなのですか?

―――神様よりも、大切な人だから……


唇を重ねて、指を絡めあった。ぎゅっと繋ぎあって、そっと唇を開いた。ぎこちない舌が忍び込んでくる。その舌に私はおずおずと絡めていった。
「…ふぅっ…ん……んん……」
ぺちゃぺちゃと不器用な音を立てながら、舌を絡み合わせてゆく。裏側を舐めて根元をぎゅっと吸い上げた。
「…はぁっ…ん……」
そっと指が解かれて、服を脱がされてゆくのが分かる。緊張の余り上手く行かないみたいだったから、私は身体を浮かせて脱がせやすい態勢を取った。
「…ジュリアン……」
離された手が少しだけ淋しくて、背中に腕を廻した。そうしたら不思議とさっきよりも安心出来た。手を絡めているよりもこうやって背中をぎゅっと抱きしめている時の方が。
「…レナ…好きだよ……」
「……私も…貴方が…大好き……」
貴方の顔を見ていたら涙が零れそうに、なった。大好きで、本当に大好きだから。ずっとずっと、大好きだから。


手先が器用な盗賊の筈なのに、こころはとても不器用で。
けれども何よりも暖かいこころを持った人。何よりも暖かい人。
私はそんな貴方を愛した事を、愛せた事を。
神様に真っ直ぐに言える、だれよりも誇りに思っていると。


「…あっ……」
素肌の上に口付けられて、私は堪えきれずに甘い息を零した。そのまま少し熱い手が胸にそっと触れる。まるで壊れ物を扱うようにそっと、胸を手のひらに包まれた。
「…あぁ…ん……」
柔らかく揉まれながら、胸の谷間を滑っていた筈の舌が、ぷくりと立ちあがった突起に触れる。そのまま口に含まれ、耐えきれずに喘いだ。
「…ああ…はぁ…ジュリ…アン……」
「…好きだ…レナが…誰よりも……」
口に突起を含まれながら零れる愛の言葉に、私は睫毛を揺らした。ぴくんぴくんっと身体を揺らしながら。
「…ジュリ…ア…ン…ああんっ……」
ぺろぺろと舌で嬲られながら、何時しか手は身体を滑ってゆく。わき腹のラインを辿り、臍の窪みをそっと掬い、そして脚の付け根を撫でた。
「…あぁ…あっ!」
ピクンッと、自分でも身体が跳ねたのが分かった。脚の付け根を行き来していた指先が私の秘所へと侵入する。
「…ああんっ…あんっ…あぁ……」
初めは優しく中を掻き乱していた指も次第に動きが激しくなる。奥へと進み、一番感じる個所を探り当てると、そのままそこを執拗に攻め立てた。
―――熱い、と思った…熱がソコからじわりと身体中に広がって、思考を奪ってゆく。
「…あああっ…はぁぁ…んっ!」
ずちゅっずちゅっと濡れた音が私の快感を伝えていた。花びらが濡れぼそっているのが自分でも分かってひどく恥ずかしかった。それでも。それでも動きを止めて欲しくはなくて。
「―――レナ…いい?」
それでも指先は無常にも外された。そして変わりに耳元で囁かれる声。どくんどくんと云う心臓の音を感じながら私はこくりと頷いた。


もしも、人を愛する事が、この行為が罪だと言うのなら。
神様私を罰して下さい。それでも私は、後悔はしない。
どんなになっても、何を言われても私は。

―――私はジュリアン…貴方を誰よりも愛しています……


「―――ひあああっ!!!」
指とは比べ物にならないモノが侵入してきて、私は耐えきれずに悲鳴を上げた。身体を真っ二つに引き裂かれるような痛み。けれども私は必死で耐えた。その背中にぎゅっとしがみ付いて。
「ごめん、痛い?」
痛みのせいで涙に濡れる瞳で、それでも私は貴方の顔を見つめた。心底心配そうに、そして何よりも私を労わる瞳で見つめる貴方。そんな貴方の顔を見ていたら…痛みなんて何処かへと行ってしまった……。
「…へい…き…だから…ジュリ…アン…もっと…中へ……」
「…レナ……」
「…中へ…入って…来て……」
―――ぐちゃんっ!液体が擦れるような音と同時に貴方の塊が私の奥へと入ってゆく。身体の中に一本の芯が今、貫かれていった。
「…あああっ…ああああっ!!!」
どくどくと脈打つ熱いモノが私の中で息づいている。私を求めて激しく。それが。それが何よりも、私にとって。
「…あぁ…あぁぁ…ジュリ…ア…ン…はぁぁっ……」
「…レナ…愛している…レナ……」
熱い吐息が絡み合う。肉が擦れ合って、そして激しい熱を生み出す。痛みは何時しか快楽へと摩り替わって、私は我を忘れて声を上げた。声を上げて、貴方の名前を呼んで。
「…ああああっ…ああ…あ……ジュリ…ア…ああああっ……」
ただひたすらに貴方の作り出す動きを、追い続けた。


神様が、許してくれなくても。
私の祈りは、信仰は変わらないし。
貴方への思いも、愛も変わらない。
それでも許してくれなくても。
それでも許されなくても。

―――私は祈り、そして愛し続けるから……


「…レナ…レナ……」
「ああああああ―――っ!!!」


どくんっと私の中で弾ける音がして、大量の熱い液体が中に注がれた。



好きと言う気持ち。愛していると言う想い。
そんな何よりも大切な事に間違えがあるなんて。
間違えなんて、ないって。

―――私は真っ直ぐに云える事が出来るから……



「…貴方を…愛しています…ジュリアン……」
「…俺も…誰よりも…レナ……」
「…神様が許してくれなくても…私は……」



「貴方だけを、愛しています」