―――貴方の強さと、そして弱さを…私は包み込みたいから。
少しだけ残る罪悪感と、それ以上の愛しい愛情。
「…ナンナ…俺は……」
腕にすっぽりと包まれる華奢な身体を抱き上げて、そっとベッドの上に下ろした。見上げてくる大きな瞳にただ。ただどうしようもない愛しさを覚えながら。
「いいのアレス…もう何も言わないで…」
背中に廻させる腕は少し震えていた。そんな彼女の震えを押さえたくてそっと髪を撫でる。でも俺はこんな時、ひどく不器用だと自分でも思う。
「アレス…好きよ…」
「―――俺もだ…ナンナ……」
何度も髪を撫でながら、そっとお前の唇に口付けた。そこから広がる甘さと切なさが、俺達の今の全てなのかと…ふと思った。
―――いいのよ、アレス…貴方はやっと自分に何が大切なのか分かったんだもの。
最期まで微笑いながら、そう言った彼女。大切な女だった。大事な女だった。それは今でも嘘じゃない。生き場のない俺を。どうしていいのか分からなかった俺を明るく照らしてくれたのはリーン…お前だった。けれども、俺は…俺は…。
―――私は平気、だから貴方は素直に自分の気持ちに生きてね。
それ以上に自分にとって護りたいものを、大切にしたい存在を、見付けてしまったから。誰よりも何よりも護りたい…この腕の中に咲く小さな花を。
―――しあわせに、アレス…あたしもしあわせになるわ……
笑って最期にふたりで指を絡めて、そして。そして俺は自分の心の求める場所へと旅だった。そしてお前も。お前も何時しか隣に誰よりも大切な存在を見つけていた。
「…んっ…ふぅ……」
唇を重ね、舌を絡め合いながらお前の服を脱がせた。俺の前に晒される身体は華奢でそして、驚くほどに白かった。普段隠れている部分の色素の薄い肌が、指を滑らせるとそっと。そっと紅く染まってゆくのが愛しかった。
「…ん…んん…はぁっ……む…」
唇が離れて、互いの瞳をみつめあった。潤んだ瞳が俺を捉え、そして。そしてそっと微笑う。
「―――怖くないか?」
指先で口許に伝う唾液を拭いながら俺は尋ねた。そんな俺にお前は首をきっぱりと横に振って。
「怖くないわ、怖いのは貴方が傍にいないことだけよ」
その一言が俺の。俺がお前を求めた全てだったのかもしれない。
そっと胸に手を這わせる。手のひらにすっぽりと収まるソレに、初めは柔らかく揉みながら、次第に力を込めてゆく。
「…あっ…あん……」
包み込むように揉みしだきながら、ぷくりと立ち上がった乳首を指で転がす。ピンク色のそれを指でぎゅっと摘めばほんのりと紅く染まっていった。
「…あぁぁ…ん……はぁ…ん……」
紅くなったそれを口に含んで、吸い上げた。その刺激に耐えきれずにお前の身体が波打つ。それを抱きしめながら、俺は胸への愛撫を続けた。舌先で乳首を突ついて、唾液でべったりになるまで吸い尽くす。そのたびにお前の金の髪てが揺れて、綺麗だった。
「…あぁ…アレ…ス…はぁぁ……」
「…ナンナ…」
胸から唇を離して、そしてもう一度口付けた。全ての想いを込めて、そっと。そっと口付けた。
私にとって、リーフ様は何よりも大切なひとでした。
父にとっても私にとってもリーフ様は護るべき人。大事に、大事に。
何よりも大切に護らなければならない人。
何時もそうやって私は生きてきたから。ずっとそうやって生きてきたから。
だから、知らなかった。だから、分からなかった。
こうやって護られると言う事が。この腕の中にいれば何も怖いものなどないと言う事が。
自分が涙を流せる場所が、自分が不安を言える場所が。
―――こんな風に手を伸ばせば届く場所にあると言う事が……
貴方といて初めて私は。私は強がらなくてもいいって、分かったの。
「…あっ!」
細い脚を広げて、薄い毛を掻き分けて、秘所に指が辿り着く。まだ男の手を知らないソコは薄いピンク色をしていた。
「…あっ…はぁ……あっ!!」
ゆっくりと指を侵入させ、絡み付く媚肉を掻き分け一番感じる場所を探した。トコに指が触れた瞬間、お前の身体が、電流が走ったようにびくんっと震えた。
「ああんっ…あぁっ…やぁっん……」
無防備なソコを執拗に攻め立てる。指でぎゅっと摘んでやれば、喉を仰け反らせて喘いだ。
「…ああっ!…アレス…アレ…ス…変に……」
「――大丈夫、俺がいるから」
指先にどろりとした蜜の感触。背中に廻された腕の強さ。それを感じながら、俺は。
「あああんっ!!」
剥き出しのソコに爪を立て、お前に大量の愛液を分泌させた。
お前が泣きたい時は、この腕の中で泣いてくれ。
お前が笑いたい時は、俺の隣で笑ってくれ。
「―――ひっ、あああっ!!」
初めて男のモノを受け入れた器官は、指で慣らしたとは言えやはり苦痛を伴わずにはいられなかったようだ。足許から血が伝って来るのが分かる。
「ナンナ、平気か?」
かと言って一端埋め込んだモノを抜く訳にも行かず、俺は汗ばむ額にキスをして宥める事しか出来なかった。けれどもお前はそれに答えるように目を開く。目尻に涙を零しながら。
「…平気…よ…アレス…だから…止めないで……」
「やめない。やっとお前とひつとになれたんだから」
「…アレ…ス……」
「愛している、ナンナ。愛している」
「…私も…アレス……」
互いの気持ちを確かめるようにキスをした。唇が痺れるまでキスをした。そして。
「…あああっ…ああああんっ!」
唇を離して俺は、腰を掴んでその身体を揺すった。華奢な身体が揺れる。白い肌からじわりと汗が零れて来る。髪の先からも、そして。そして瞳からは涙を零して。
「…ああ…アレス…アレス…ああんっ……」
「愛している…ナンナ…俺は…」
「…私も…私も…ああ…アレス……」
「―――お前だけを、愛している」
ぐいっと腰を引き付けて、そして。そしてお前の中に欲望を吐き出した。どくんどくんと、音を立てながら、お前の中に俺が入ってゆく。そして。
「――――ああああっ!!!」
―――そしてお前も限界まで喉を仰け反らせて、達した。
ねえ、アレス。私ずっと、平気な振りしていたの。
リーフ様には常に『姉』として『幼馴染』として強くなければいけなかったし。
父の前では出来のいい娘でいなければならなかったから。
私よりもリーフ様を優先しなければならなかった父に甘える事なんて出来なくて。
やっと出会えた兄も、やっぱりどうしてもずっと遠かったから。
だからど接していいのか分からなかったし。今までそうして生きてきたから。
だから甘える事も、頼る事もどうすればいいのか分からなかったの。
でもね。でも貴方だけは、そんな私に気付いて手を差し伸べてくれた。
―――俺に頼れって、俺に甘えろって、言ってくれた。
…私は貴方の腕の中で初めて…初めて…子供に戻れたの……
「これからもずっと…アレス…」
「ん?」
「…私のそばにいてくれる?……」
「ずっといるさ。ずっと一緒に」
「…私本当は…ね…」
「うん、分かってる。本当は」
「誰よりも淋しがり屋だって事を、な。俺だけが知っている」
俺の言葉にお前は微笑う。
その綺麗な顔を見つめながら、俺は。
俺は誰よりもその笑顔を護りたいと…改めて誓った。