Eternally



―――貴方の為に、祈っています。


金色の長い髪を持つ天使は、そっと俺のもとへと舞い降りた。
背中に無数の白い翼と、ともに。ふわりと、俺の腕の中に。

ただひとつの愛を、胸に抱いて。


降り続ける無数の矢の中。逃げる事無く、怯える事無く、立ち向かい。そして。そして真っ直ぐに俺を見つめたお前。揺るぎ無い強い視線で俺を見たお前。
『…ジャムカ……』
そして微笑う。綺麗に、微笑う。それは言葉に出来ないほど、言葉では言い表せないほどの。それは。それは俺にとって……。
『――私は貴方を信じています』
胸に手を合わせ、そして祈るお前。降り続ける矢などまるでお前には見えていないかのように。いや、お前には無意味だとでも言うように。目を閉じ、そして祈るお前。

―――俺は夢中になって…お前のもとへと、駆け出した……


白い腕が、背中に絡まる。透き通るほどの綺麗な腕が。まるで色素すら通っていないと思えるほどの。華奢で、そして真珠のような腕。それが俺の背中に必死にしがみ付いていた。
「…あっ…ジャムカ……」
やわらかな胸に顔を埋めて、そのまま尖った乳首を口に含んだ。柔らかく歯で噛みながら、舌先で何度も何度も嬲った。
「…あぁっん……」
舌で胸を辿る度に、金色の髪がふわりと揺れる。それが何よりも、綺麗だった。とても、綺麗だった。
「―――エーディン……」
胸から唇を離して、ゆっくりとその顔を見下ろした。この世のどんな綺麗なものを集めてきても、お前には叶わないだろう。誰もお前には、叶わない。
「…ジャムカ……」
甘い吐息と共に零れる俺の名前。何時でもこの瞬間が、一瞬の夢のような錯覚に陥る。本当にお前はこの腕の中にいるのかと。本当にお前は、俺のものなのかと。でもそれは腕に廻された力の強さで、これが夢ではないと伝えてくれるから。
「愛している、お前だけを」
「…私もです…ジャムカ……」
ふわりと微笑う、お前は本当に天使のようだった。地上に降りた最期の天使。俺はそんな気高いお前を、この腕に抱いている。
「…ずっと、貴方だけ…初めて出逢ったあの瞬間から……」
髪をそっと撫でて。そしてゆっくりと口付けた。そこから伝わる熱さが、ふたりの想いの熱さだと…信じて……。


―――貴方は誰よりも優しい人…
伸びた腕が、俺をそっと抱きしめた。抱きしめているは俺の筈なのに…君に抱きしめられている気がした。
―――だから信じていました。貴方はきっと…きっと…分かってくれると……
そして頬に落ちる涙。それは君の頬を伝い、俺の手のひらにぽたりと落ちた。あの矢の雨の中、あれだけ気丈にいたお前の初めて見る涙。
―――信じていました…ジャムカ……
その涙が、その瞬間。俺にとっての永遠の罪業で、そして永遠の切望となった。


「…ああっ……」
脚を広げて、お前の秘所を視界に晒した。薄く色付く花びらにそっと舌を忍び込ませる。ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めてやれば、そこからはとろりとした蜜が零れてきた。
「…あぁっん…はぁぁっ……」
がくがくと立てた両膝が震えている。それと同時に白い女体がシーツの上で波打った。まるで海を泳いでいるように。
「…ジャム…カ…あああんっ……」
花びらの奥へ、奥へと舌は掻き分けながら進んでゆく。一番感じる個所を発見すると、ソコを集中的に攻め立てた。剥き出しになったソコを。
「…ああっ…ああん…ジャムカ…ソコは…ああんっ……」
かりりと音を立てながら歯で甘噛みをした。すると耐えきれずに綺麗な背中が反りかえる。そして。
「―――あああんっ!!!」
どくんっと音がして、ソコから大量の蜜が溢れ出した。


「…ジャムカ……来て………」
「…エーディン……」
「…私…貴方をもっと…感じたい…から……」
「―――ああ…俺も……」

「…お前の中に…挿りたい……」


耳元でそっと囁けば、ほんのりと頬が上気するのが分かる。お前の口から聴く言葉は、ひどく淫らなものなのにそれを微塵も感じなかった。いつまでも清らかなままで、お前は俺を見つめて。真っ直ぐに見つめて。それでも『女』として、俺を求めてくれる。
「エーディン」
「―――ああああっ!!」
腰を抱いて、そのまま一気に引き寄せた。柔らかい媚肉の中に俺が入ってゆく。きつく締め付ける内壁を掻き分けながら。
「…あああっ…ああああ…ジャム…カ…はあああっ!!!」
熱くて蕩けそうなお前の中。何時も最上級の快楽を俺に与えてくれる。眩暈を起こすほどの快感を。
「…エーディン…エーディン……」
「…ジャムカ…あああんっ…ああんっ……」
揺れる長い髪。汗が交じり合って反射してきらきらと輝いている。透明とすら思えるその肌も、うっすらと紅い色に染まっていた。そして背中に廻された腕の力が。
――――力が、ぎゅっと強くなって……
どうしてだろう?お前を抱いている時が、一番。一番お前を近くに感じて、そして一番遠くにお前を感じる。乱れる姿に生を感じ、それでも穢れなき美しさに幻を感じる。
どちらも本物で、どちらも真実だからこそ。

…俺はきっとこの永遠の矛盾に…捕らわれてゆくのだろう……

「…あああ…あぁ…もぉ…ジャムカ…あぁぁ……」
「俺も、もう…エーディン……」
「―――あああああっ!!!」

きつくお前が俺を締め付ける。それを合図に俺はお前の中に白い欲望を吐き出した。




…ジャムカ…ずっと…ずっと私は……
私は祈っていた。貴方の為に、祈っていた。
貴方の優しさが、貴方の強さが。
誰かを傷つけても。誰かを傷つけたとしても。
貴方が傷つかないようにと。

―――私はそれだけを、祈っていた……


貴方を愛しているから。貴方だけを愛しているから。
神様よりも、大事な人だから。私は。

私はただひとつ、貴方の為に祈り続ける。




「…ジャムカ…優しい人……」
そっと手が伸びて、俺の指に絡まる。細く白いその手が。
「…誰よりも優しい人……」
指が、そっと、絡まる。
「……そんな貴方が誰よりも……」

「―――愛しています…ジャムカ……」



白い羽は空に散らばり俺を包み込み。
そして天使は舞い降りた。

―――そっと俺の前に、俺の心に。



……金色の天使が、この腕の中に………