子供だった、あたし。でも精一杯の恋をした。あたしの全てで、貴方に恋をした。あの頃のあたしは無我夢中で貴方だけを追い掛けていた。それが若さゆえの情熱だったのかもしれない。けれども、確かにあの頃はあたしの世界の全てが貴方だった。他に何もないと思えるほどに、全てが。全てが、貴方だった。
そして今。今こうして再び貴方に出逢って、あたしはまた恋をしている。貴方に恋を、している。
髪に伸ばされた手は、以前と少しだけ違っていた。あの頃は大きな手だと思っていたけれど、今は。今は少しだけ印象が違っている。細かい傷の消えない手は、貴方の苦労の痕だと気が付いた。あの頃は見えなかったものが、こうして今は少しずつ見えてきている。それがあたしが、あの時よりも少しだけ大人になったという事だった。
「すっかりイイ女になったな」
けれどもこうしてあたしに向かって微笑う顔は変わらない。口許を少しだけ吊り上げて笑うその顔は。あたしが好きだった顔。あたしが、大好きな顔。
「でもこの匂いは、変わらんねーな…お前の髪の、匂い……」
ぱさりと音とともに、髪に結ばれていた紐が解かれる。そのまま零れた髪の房を、貴方は指先に取って口付けた。昔はこんな仕草ですらどきどきしていたのに、今は。今はひどく安堵感を覚える。貴方に触れられているという事実が。貴方が触れてくれているという事が。
「子供なのに大人の振りをしていたお前よりも…今の年相応のお前が、好きだぜ」
「うん、あたしも好き。今のあたしが好き。そしてやっぱり、貴方が好き」
逃げてきたあたしを、見つけてくれた手。暗闇から引き出してくれた手。一年前はただ純粋に絶対の手だと揺るぎ無いものだと思っていたのに、今は。今は違う。この手は違う。愛しい人の手、愛する人の手。こうして触れて絡め合って、そしてぬくもりを確かめる為の手。
「子供だったあたしを貴方が捨てた。あの時は本当にそれだけだと思っていた。けれども貴方と離れて、マギ団に入って…一年間色々なものを見てきてあたし分かった」
「俺がイイ男だって事か?」
「フフ、それもある。ううん、そうだね。貴方はあたしが踊りたくないってそう思っていると思っていたから…だから捨てた。そんな貴方の優しさに、あたし気付けたから」
貴方から離れて一年、あたしは変われたと思う。自分があの頃本当に子供だったんだと、そう気付けただけでも…変われたと思う。
ただ夢中に貴方に恋をして、必要以上に大人ぶって、そして。そして貴方の女になろうと必死になっていた子供のあたしに気が付けただけでも。
「――――騙されたよな、お前には…あれだけ色っぽい踊りをしながら、抱いたら処女だったしな」
「それはもう言わないでよ。あの頃は夢中だったの、貴方の女になりたくて」
「で、今はどうなんだ?やっぱり俺の女になりてーか?」
貴方の問いにあたしは迷わずに頷いた。想いは変わらない。けれども伝える手段は変わった。愛する気持ちは変わらない。けれども相手の事が見えるようになった。だから、今のあたしを。何も偽っていないあたしを、貴方に見てもらいたいから。
「してやるよ、今度こそ。本当にお前を俺の女に」
全部、見せたいの。あたしの全部を、貴方に見せたいの。好きだから。誰よりも貴方が、好きだから。
「少し胸が大きくなったかな?」
パーンに言われた通り、ラーラは目の前で服を脱ぎ捨てた。生まれたままの姿になって、その白い肢体をパーンの目の前に晒す。一年ぶりの身体だった。こうやって彼の目の前に見せるのは。
「…そんなじろじろ見ないでよ……」
全身を舐めるような視線に耐えきれずにラーラの頬がさぁぁっと朱に染まる。けれどもパーンは止める事無く、ラーラの若い身体を見つめた。
小ぶりだけれど形のよい白い胸。桜色の突起。普段踊りをしているせいか、色っぽく縊れた腰。その下には薄い茂みがあり、その中にはパーンが知っているまだピンク色をした性器が眠っているのだろう。初めて抱いた時貫かれた痛みで出血をし、きつくパーンの分身を締め付けた秘所が。
「いいじゃねーか、減るモンじゃねーし。それよりもここに座って脚を広げな」
パーンが自分の目の前を指し、ラーラを視線で呼び寄せた。その指示に少しだけ戸惑いながらも、ラーラは言われた通りパーンの目の前に座る。そうして膝を立てながら脚を広げ、一番恥ずかしい個所をその視線の前に暴いた。
「ちゃんとココはピンク色のままだな―――俺から離れていた間にあばずれになってなくて安心したぜ」
「…バカ…そんな事ある訳ないでしょっ?!……」
見られていると言うだけでラーラの身体は火照った。その視線に恥ずかしい個所が暴かれているというだけで、身体の芯が疼いた。ひくんっと蕾が鳴ったのが、自分でも分かる。
「ああ、信じていたけどな。お前はきっと俺を待っているって」
「…自惚れ屋……」
「でも事実だろう?」
パーンの言葉にラーラは頬を染めながら頷いた。本当の事だった。本当の事、だったから。ラーラはこの一年、ずっと。ずっとこの男だけを待っていた。この身体はずっと、目の前の男だけを…待っている。
「あたし、待っていた。貴方だけ、待っていた」
「だったらそれを見せてくれよ。俺に…見せてくれ……」
何時もの軽口のように言われながらも、その目だけが違っていた。自分を見つめる瞳だけが、違っていた。それにラーラは気付いたから。気付いたから、その言葉に逆らう事が出来なかった。
自分を見つめる双眸が、何時もよりもラーラの身体の熱を早めた。パーンを思って時々こうして自分で処理したことはあったが、目の前にその相手がいるのかと思うとそれだけで。それだけでじゅんっと子宮が鳴っているのが分かる。
「…はぁっんっ…あぁんっ……」
脚を広げながら、胸に手を当てた。そのままきつく揉みしだき、尖った乳首を指の腹で転がす。それだけで口からは甘い吐息が零れ、身体が小刻みに震えた。
「…あぁっ…パーン…ああ…んっ……」
何時ものように愛する人の名前を呼びながら感じる個所に触れてゆく。胸に乳首に、腰に臍に。自らの指で触れて、そして慰める。そんな淫らな姿を、目の前で見ている。愛する人が、見ている。
「…ああ…はぁっ…はぁ…ぁぁっ…パーン…っ…」
「いい眺めだ。もっと脚を広げて俺に見せな」
言われた通りにラーラは限界まで脚を広げて、ひくひくと息づく秘所をパーンの前に曝け出した。それはまだ自らの指が触れていないと言うのに、しっとりとした液体を零し始めている。とろりとした、愛液を。
「…見て…パーン…あたしのココ…ねぇ…見て…っ」
片方の手は胸を激しく揉みながら、ラーラはもう一方の手で外側の媚肉を広げた。そうして剥き出しになったクリトリスと、蠢く膣をパーンに見せつける。蜜を滴らせ濡れ始めたソコを。
「ああ、見ているぜ。濡れてきやがってる。感じているのか?俺に見られて」
「…感じて…る…身体が…痺れてる…ジンジンしてるよぉ……」
くちゅりと音とともにラーラの指が蕾に忍び込む。濡れてひくひくと蠢く膣を指で掻き乱しながら、もう一方の手でクリトリスを摘んだ。その刺激に身体が跳ね、長い髪が揺れた。
「…ココね…ココ…濡れてるの…貴方を思って…いっぱい…ね……」
「本当だな、イヤらしいくらい濡れてやがるな。―――俺が欲しいか?」
「…欲しい…欲しいよぉ…ココに…あたしのココに…貴方が…欲しい……」
ラーラの懇願にパーンはくすりと一つ笑って立ち上がると、ズボンの前を広げた。そうして充分に硬くなった自身を取り出すと、ラーラの目の前に差し出す。ラーラはその間も蕾を自らの指で慰めながら、逞しくそり返るパーンのそれに身体の芯が震えるのを堪えられなかった。
「コレが、欲しいか?」
パーンはソレを口許に近づけると、先端部分でラーラの唇をなぞった。自らの零した唾液で濡れた唇に、パーンの熱く硬いソレが当たる。その刺激だけで、ラーラの身体は疼かずにはいられない。
「…あっ…あっ……」
硬い感触が唇をなぞってゆく。そのまま耐えきれずにラーラは目の前の楔を口に咥えた。口内いっぱいに広がる肉棒に安堵を覚えながら、それを必死にむしゃぶった。濡れた音を響かせながら、押し広がる口に満足感を感じながら。
「…んんんっ…ふっ…んんんんっ!!」
喉元を貫くような大きさが、ラーラには嬉しかった。自分を感じてこうなってくれている事が嬉しかった。だから必死になって奉仕した。息苦しく目尻から涙が零れても、必死になって舌を、口を、動かし奉仕した。
その間も子宮はじゅんっと鳴っている。蕾はひくひくと淫らに蠢いている。身体は火照り、芯まで痺れて痙攣している。
「―――もういいぜ」
ぐいっと髪を引っ張られ、口からソレが離される。自分を見下ろす視線にラーラは快楽で潤んだ瞳で見上げた。そこに映った顔は、ラーラが何よりも好きな、口許を吊り上げた笑みだった。
「後はコッチの口で…楽しませろよ」
パーンの手がラーラの下腹部に降りてきて、濡れた蕾を軽くなぞった。それだけでラーラは、イッてしまいそうな自分を止められなかった。
「…はぁぁっ…ああああっ!!!」
目の前に座ったパーンの膝に乗り、そのまま一気に腰を落とした。ずぶずぶと濡れた音とともに、ラーラの中にパーンの楔が埋め込まれてゆく。濡れて蠢く秘所に、硬い楔が。
「…あああんっ…ああんっ…あんあんっ!!」
パーンの肩に手を乗せながら、ラーラは無我夢中で腰を動かした。上下に揺さぶるたびに、抜き差しされるパーンのソレが大きく硬くなってゆく。その感触にラーラは感じ、桜色の乳首が痛い程に張り詰めた。
「イイぜ、ラーラ…相変わらずお前の中はキツくてよ」
「…あぁぁっ…あぁんっ!…パーンっ…パーンっ!…ああっ!」
「熱くて、溶けそうだ。このまま溶けちまうか?」
「…溶けちゃいたい…貴方と繋がったまま…あたし…っ…あたしぃっ……」
目尻からぽたぽたと快楽の涙が零れ、パーンの頬を濡らす。その雫をペロリと舐めながら、乱れるラーラを見つめた。イイ女だった。誰よりもどんな女よりも。自分だけを想い、自分だけを見つめてくれる最高の女。今までいたどんな女よりも、自分にとって必要な女。
「…お前なら…溶けてもいい…いや…お前がいい…俺の…」
「…パーンっ…パーンっ…あぁぁ…もおっ…もぉっ…あたしっ…あぁぁぁっ……」
「―――俺の一番の…女だ……」
「ああああああっ!!!」
パーンが腰を強く引き寄せぐちゃんっと音がした瞬間、ラーラの中に欲望の証が注がれた。
「…匂い…あたしの…匂い…」
「ん?」
「…貴方の…精液の匂いで…満たして…」
「―――バーカ、何言ってんだよ」
「…お前の匂いは…お前だけのもんだ…そしてそれは…俺のもんだ……」
ラーラの髪に顔を埋めながらパーンは呟いた。そこから匂う、微かな甘い薫り。この薫りを消したくはなかった。そして誰にも知られたくしなかった。自分だけが知っている薫り。自分だけの薫り。自分だけの女。自分だけの、もの。誰にも渡さない。誰にも、渡しはしない。
伸ばされた手が、あたしの髪に触れる。そっと、触れる。その手の感触にあたしは初めて気が付いた。今、再び貴方に抱かれたこの瞬間に気が付いた。
この手はあたしを、慈しんでくれているものだと。そっと、包み込んでくれているものだと。
子供だったあたし。子供のまま夢中で貴方を追い掛けていたあたし。でも。でも今。今こうして少しだけ大人になれたあたしを、貴方が抱いてくれて。抱いてくれて、気付けた事。抱いてくれて、分かった事。
今のあたしを全て曝け出して、受け入れてくれた貴方。背伸びじゃない、無理をしていないあたしを慈しんでくれる貴方。
――――あたしはやっと辿り着けた。貴方の場所まで、辿り着けた。
「…やっと言えるな…好きだぜ…ラーラ…初めて逢った時から…俺はずっとお前だけを見ていた……」