Kozmic blue

愛する貴方の為に何が出来るのでしょうか?

手を伸ばせば、貴方に触れられる。
指先が結ばれれば、貴方のぬくもりを感じられる。
唇に触れれば、貴方の吐息を奪える。

―――こんなにもそばにいるのに、貴方が遠い。


見上げてくる瞳に少しだけ壊れた光が見えた、から。それを打ち消したくてキスをした。全てを奪うような激しい口付けを。けれども瞼の裏の残像は、消えはしなかったけれど。
「…遠坂……」
何時も、そう。貴方は一瞬淋しげな瞳をする。けれどもそれは次の瞬間鏡のように反射する。見えない壁で、覆われる。その先を決して僕には見せてはくれない。
「どうして貴方は何時も……」
その壁を打ち崩したいと、その心の拒絶を壊したいと。どんなに僕がもがいても、貴方には届かない。
「何時も?」
――――届かない……
「そんな瞳をするのですか?」
壊したい、貴方の壁を。崩したい、貴方の鏡を。全部、全部剥き出しにして僕に見せて。貴方の全てを、僕に見せて。
「それは君がそんな目をするからだよ」
「どんな、目ですか?」
「…僕を……」

「…僕を憐れむような…瞳……」


僕は同情ならばいらない。
僕は憐れみならいらない。
僕が欲しいのは。
僕が欲しいものはただひとつ。
ただひとつが、手に入ればいい。

―――欲しいのは…君だけ…本物の君の心、だけ……。

君の瞳は、優しい。とても、優しくて。優し過ぎるから。
だから、僕は苦しいんだ。
だから僕は君を真っ直ぐに見られない。
君が優しくすればするほどに。
僕を憐れんでいるようにしか思えないから。
僕の脚が動かない事を。僕が歩けない事を。
君は優しくする事で、実は優位に立っているような気がして。

君の優しさが自己満足に思えてしまうのは…それだけ僕の心が擦り切れているから……


舌を絡めて、唇が痺れるまでキスをする。
互いの息を貪り合って、全てを奪うかのように。
背中に廻した腕だけが、世界の全てだったらいいのに。
抱きしめている腕の強さが、この時の全てだったらいいのに。
そうしたら、苦しくなんてない。


「貴方を愛していると、どれだけ言えば信じてくれるのですか?」
見つめ合う瞳の先の求めるものが同じだと、お互いだけが気付いていない。
「言葉は、僕は信じない」
こんなにも互いに求めているものが同じなのに。
「―――言葉で飾る事は…いくらでも出来るだろう?」
どうして、気付かないのか?


滑らかな首筋に口付けた。白い肌に紅い花びらの痕が散る。そこをきつく噛んで、衣服を剥ぎ取った。乱暴に脱がせて、その素肌に触れる。運動の出来ない身体は痩せ細り、肉が削ぎ落ちていた。哀しいほどに痩せている身体。でも、愛しい。何よりも愛しい。
「…あぁ……」
胸の飾りに指を這わし、そのまま摘み上げた。そのたびに波打つ上半身を開いている方の腕で、抱きしめる。
「…遠…坂……」
口に含んで舌で転がせば、その果実はぷくりと立ち上がる。痛い程に張り詰め、真っ赤に熟れた。
「…はぁ…あぁ……」
くしゃりと、髪を掴まれた。細い指、綺麗な指。初めて貴方を見た時、その指の細さと白さに驚かされた。こんなに華奢な指を同性が持つものなのかと。けれども今は。今はその指がこうして髪に絡まる事が何よりも嬉しい。
「―――あんっ……」
動かない脚を開かせて、ズボンを降ろした。動かす事のない脚は、まるで棒のように細かった。
「…あんま…見るな……」
貴方が脚を見せたくない事は何よりも僕が知っている。初めて貴方を抱いた時、頑なに明かりを付けさせなかったのはそのせいだ。この脚を見せたくないと。みっともないから見せたくないと。ひどく哀しく貴方が微笑ったのを僕は忘れない。
「どうして?こんなにも綺麗なのに」
「…あぁっ……」
神経のない足首に口付けて、指を一つ一つ口に含んだ。こうやっても貴方の快楽は増長されないだろう。それでも僕は一つ一つ丁寧に愛撫をした。貴方の足首に、脛に、内股に、腿に。余す所なく、全て。
―――貴方の身体を余す事無く、全て。


僕は何処かおかしいのかもしれない。
君の唇が、舌が、指先が。僕の脚に触れる度に。
触れる度に、僕は感じるんだ。
おかしいよね、脚に感覚なんてないのに。神経なんてないのに。
でも君がここに触れていると言う事が。
それが何よりも僕を感じさせるんだ。


貫いた瞬間に、貴方の形良い眉が歪んだ。汗ばむ髪を掻きあげ、そして額にキスをする。
「…くぅ…あぁ…あ……」
細い腰を抱いて、貴方の中へと挿ってゆく。熱くて、火傷しそうな貴方の中へと。蠢く内壁がきつく僕自身を締め付ける。中を掻き乱そうにも締め付けが強くて中々動かせなかった。
「…あぁぁっ!…はぁぁんっ……」
媚肉を抉じ開け、僕は深く貴方を抉る。その抵抗感を楽しみながら、熱い貴方の身体を味わった。僕が腰を打ち付けるたびに、貴方の指が僕の背中に食い込む。深く爪を立て、そして。そしてそこからバリリと音がして、真っ赤な血が流れて来た。
「…あぁ…あぁぁん……」
「―――これで、信じてくれますか?」
「…遠坂……」
「僕がどれだけ貴方を愛しているのかと言う事を」
「…とお…さ…か……」
「貴方が信じてくれないのなら、僕は…このまま貴方を貫き殺しますよ」
「……とお……ん……」
貴方の手が僕の髪を引っ張り、強引に口付けてきた。自ら薄く唇を開いて僕の舌を中へと誘う。僕迷う事無く貴方の舌に自らのそれを絡めた。
「…んっ…んんん…ん……」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら絡まる舌、深く深く絡み合う舌。上も下も繋がって、繋がり合って、そして。そして全てが溶けてしまえたらと、思った。ひとつに溶け合ってしまえたらと。
「…ん…ふぅ…遠坂…動いて……ああっ!!」
一本の唾液の線を引きながら、唇が離れる。それを合図に僕は再び貴方の中を掻き乱す。そのリズムに合わせて貴方は動きながら再び唇に吸い付いてきた。そして。
「…んんっ―――」
「―――っ」
―――貴方は僕の舌を、噛み切った……


ぽたりと、貴方の白い肌に血が零れる。それは。
それは僕の血で、そして貴方の血。
ふたりの血が混じり合って、そして零れた。


「…抱き合っている時は…同じ……」
「……何で?……」
「…僕と君は…対等…だから…」

「……だから…このまま貫き殺して………」


今なら、信じられるから。
君の気持ちを信じられるから。
憐れみでも同情でも、上に立つものでもない。
今君の想いは、ただの『想い』だと。
信じられるから。


「―――駄目です……夏樹………」


初めて。初めて君は僕を名前で呼んだ。
今まで一度もそんな風に僕を呼んだことはなかったのに。
―――今初めて、君は。


「まだ僕は貴方へこの想いの半分も見せていない」
「…遠坂……」
「出来るなら見せたい。この胸を引き裂いてでも。僕がどれだけ貴方を愛しているか」
「…とお…さか……」
「だからまだ、駄目です。貴方に僕の想いか全て届くまで」

「―――貴方を狂うほど、僕は愛しているのだから……」


深く、貫かれる。
何度も、何度も。
感覚がなくなるまで僕は。
僕はこの身体に白い欲望を注ぎ込まれた。
意識なんてとっくに呑みこまれて。
ただ。ただ君の名前を呼ぶことしか。

―――それしか…出来なくて………


両手に溢れるだけの、小さな叫びを届けたい。


「貴方が好きです。怖いほどに」
「…うん……」
「どうにも出来ないほどに好きなんです」
「…うん…僕も……」

「…僕も…好き………」


初めから、答えなんて分かっていたのに。
君が見ているものと、僕が見ているものが。
本当は、本当は同じだと言う事に。
ふたりが見つめ合っていた先にある狂気と云う名の愛が。
そこに確かに存在する限り。

―――ふたりを結ぶ紅い糸が…血で染まっている限り………



何よりも、貴方は遠かった。
そして何よりも近かった。
その事に気付くのが、ただ。

…ただ少しだけ、遅かっただけ……



END

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