ねがいごと

「瀬戸口、お前欲しいものがあるか?」
「欲しいもの?お前に決まってんじゃん」


突然聴いてきた来須の言葉に瀬戸口は迷わずに答えた。その問いに費やした思考時間は多分…一瞬もないのだろう。欲しいものと聴かれて、迷わずに告げた瀬戸口には。余りにも余りな答えに来須は瀬戸口に見えないようにひとつ、溜め息を付いた。ある程度予想していたとはいえこんな直球真中ストライクな答えが返って来てしまえば、溜め息の一つも付きたくなると言うのが人情というものだろう。
大体、自分自身では意味のない答えなのだ。今日は、瀬戸口の誕生日なのだから


「なーんもいらない。俺お前がいればいい」
にこにこと嬉しそうに笑うと、瀬戸口は来須に抱きつき擦り寄ってきた。まるで猫のように。と言うか彼は本当に猫のようだと来須は思う。気まぐれなところも、我が侭なところも。そして特定の人間にしか本当の心を開かない所も。
「それでは意味がない」
目を閉じてキスをねだる恋人に来須は仕方ないと溜め息をつきながら、ひとつキスをしてやった。それでは物足りないのか、もっとと、言ってくる。しょうがないので今度はもう少し長めのキスをしてやった。少なくとも今日は、彼の望みは全部叶えるつもりで来須はいたのだ。でも冷静に考えてみれば…何時もと何も変わらない気もするのだが。
「何で、意味がないんだよ。俺はお前がいる事が一番大事なのに」
「…いや、今日は…お前の誕生日だろう?…」
仕方ないので来須は手のうちを明かした。けれどもそんな来須に瀬戸口はきょとんとした顔をして。そして思いっきり彼を脱力させる言葉を言った…。

「そんなん俺すっかり忘れていた」

そんな事よりも、とまた目を閉じてキスをねだってくる瀬戸口の唇を来須は諦めたように重ねた。こうなってしまった以上、彼の欲しいものを与える以外にない。すなわち『自分』である。
そう決めてしまえば後は簡単だった。瀬戸口の唇にキスを繰り返しながら、その見掛けより軽い身体をふわりと抱き上げる。俗にいうお姫様抱っこである。普段は余りしないけれど…今日はサービスなのでその状態のままベッドへと運んでやった。
首筋に腕を廻しながら瀬戸口ははしゃいだ。来須の顔中にキスをしながら、嬉しそうに笑っている。そんな瀬戸口と視線が合うと、必ず唇にキスをしてきた。そんな子供っぽい所が不覚にも来須は可愛いと、思ってしまった。
「へへへ、バースデープレゼントなら朝まで…溺れさせてくれよ」
やっとのことで辿りついたベッドに瀬戸口を寝かせると、首筋に唇を絡ませながらそう言って来た。身体の負担は『ヤラれる』方が多大だが…実は『スル』方が体力は消費するのだ。と言っても普段から鍛え上げている来須には関係ないことだったが。
「―――朝までか…分かった」
そんなんで、瀬戸口の願い事は当然来須だけは、叶えることが出来るのだ。けれどもそんな願い事は来須以外には瀬戸口は望むこともなかったのだが。


「…あっ…」
服を脱がされ首筋に口付けられて、瀬戸口は甘い吐息を零した。その舌が鎖骨の窪みに滑り、滑らかなラインを辿る。それだけで敏感な瀬戸口の肌は微かに朱に染まった。
「…痕……」
「?」
「…痕…いっぱい…付けろよ、一週間くらい…消えないほどに」
「―――お前は……」
「付けろよ…俺がお前のモンだって証拠なんだから……」
髪に指を絡めて瀬戸口は、来須を自らへと引き寄せた。それに答えるように鎖骨をきつく吸い上げる。彼の望むように、痕がくっきりと残るように。
「…あっ…来須……」
わざと見える個所にも痕を付けた。この痕を瀬戸口が決して隠そうとはしない事も分かっていて。分かっていて、痕を付けた。それが彼の望みならば。
「…瀬戸口……」
「…ん…イイ顔…すげー好き……」
唇を鎖骨から離して瀬戸口を見下ろせば、うっとりしたように彼は目を開いた。快楽で潤み始めた瞳を来須に向けながら、しあわせそうに瀬戸口は微笑う。
本当に、自分さえいれば彼はしあわせなのだ。それは自惚れでも何でもなく、紛れもない事実だった。
「お前好みの顔でよかった」
「…へへ、でも…今の顔じゃなくても…お前だったら俺絶対好きになるぜ」
指先が愛しげに来須の顔を撫でた。確かめるように何度も何度も。こんな時本当に自分は愛されているんだと、思う。こんなにも、瀬戸口に。
「好きだぜ、来須」
飽きもせずにキスをねだる瀬戸口に答えながら、来須は自らの指を彼の胸へと這わした。小さな胸の果実を指で摘みながら、外側の皮膚を撫でる。それだけでぞくりと、瀬戸口の背筋が震えた。
「…んん…ふっ…ん……」
角度を変えて何度も何度もその唇を塞ぐ。その度に飲みきれなくなった唾液が、瀬戸口の口許を伝った。とろりと、透明な液体が顎に伝い、首筋へと流れてゆく。
「んんん…んっ…はぁっ…ん」
けれどもキスに夢中になっている瀬戸口にはその感触すらも気にならなかった。もっともっとと舌を絡め、より深い口付けを求める。そんな彼に答えながらも来須の指は、瀬戸口の胸の突起を強く擦った。
「…んんんっ…はぁぁっ……」
痛いような刺激が瀬戸口の身体をびくびくと痙攣させる。それを確認して来須は唇を開放した。その瞬間になって初めて零れる唾液が、瀬戸口の意識に上ってくる。けれどもそれすらも来須の舌に掬い取られれば、もうただの、快楽の為のオプションでしかなかった。
「…あぁっ…あん……」
それでも掬い切れない唾液が首筋から鎖骨、そして胸へと伝っていった。来須はそれすらも舌で辿った。唾液で濡れた胸の突起に辿りつくと、そのまま舌先でつつくように舐めた。
「…あんっ…あ……」
もどかしいほどの刺激に瀬戸口は胸を来須の舌へと押し付け、もっと強い刺激をねだった。それに答えるために口の中に突起を含むと、歯で軽く噛んでやりながら舌でちろちろと舐めた。
「…ああんっ…あんっ…はふっ…」
唾液でたっぷりと濡れた頃になってやっと胸への愛撫を来須は止めると、そのまま大きな手を瀬戸口自身へと滑らせた。それは既に充分な熱さを持って、どくどくと脈打っていた。
「口と手、どっちがいいか?」
「…んっ…どっちでも…でも…それよりも…」
自身に触れている来須の手に瀬戸口は自らの指を重ね、そのまま後ろへと導いた。既に瀬戸口の秘所はひくひくと蠢き、刺激を待ちわびていた。その蕾に来須の指を触れさせると、瀬戸口は絡めていた手を離して。
「…ココ、掻き乱して…そしてお前の…挿れて…くれよ…」
「後ろだけでイクか?」
「…今ならイケる…な、いいだろう?」
瀬戸口の舌が伸びてきて、来須の唇を舐めた。そしてそのまま彼の舌を捜して、自分から積極的に絡める。そんな瀬戸口に答えながら、来須は彼の中に入った指をくちゅくちゅと掻き乱した。
「…んんんっ…んんんん…」
きつく締めつける媚肉の抵抗感を楽しみながら、来須は内壁を指で押し広げた。そうすればひくひくと入り口が蠢いて、切なげに震えるのが分かる。
「…もっと…来須…んっ……」
指の動きに逆らうように瀬戸口は腰を振って、更なる刺激を求めた。それに答えるように瀬戸口の内部を抉る指の動きが激しくなる。本当に指だけでイッて、しまえる程に。
「…んん…はぁっ…あぁぁ……」
「瀬戸口、指よりも」
「―――あんっ!」
ずぷりと音と共に来須の指が引き抜かれる。それと入れ替わるように入り口に硬いものが当たった。その感触に瀬戸口は背筋がゾクゾクするのを抑え切れない。これから、コレが自分を貫き引き裂くのかと思うと。
「こっちの方が、いいだろう?」
「…来須…あっ……」
けれども来須は中々侵入せずに、自らの先端で瀬戸口の入り口をなぞるだけだった。そのもどかしさに耐えきれず、瀬戸口の腰が淫らに揺れる。
「…焦らすなよっ…くれよ…俺に…な、いっぱい…俺の中に…」
「欲しいか?たっぷりと」
「…欲しい…欲しいよ…なぁ…俺に…俺に……」
「分かった、存分に…味わえ」
来須はくすりとひとつ、微笑った。その雄の笑みが瀬戸口の性欲をどうしようもなく煽った。このまま溶けてしまいたいと思うほどの雄の匂い立つ笑みに。そして。そして腰を引き寄せられ貫かれた瞬間、眩暈すら覚えるほどの快楽が瀬戸口を襲った。
「――――あああああっ!!!!」
貫かれる痛みはすぐに激しい快楽へと摩り替わる。身体を真っ二つに引き裂かれるような痛みが、狂うほどの快楽へと変えられる。貫かれ、引き裂かれ、熱に溶かされて。
「…ああああっ…ああああ……」
内側から溶けてゆくような、内臓まで貫かれるような。溶けてぐちゃぐちゃになって、そして。そしてひとつになりたい。ひとつに、なりたい。
「…来須…っ来須…あああっ…イイ…イイっ……」
根元まで捻じ込められた楔が、抵抗する肉を引き裂く硬さが。限界まで広げられる太さが、その全てが。全てが瀬戸口が望み欲したもの。この熱を、激しさを…彼の雄を。
「…もっと…もっと…イイ…ああああっ!!」
身体の中にお前の精液が注がれる瞬間が、好きだった。その時一番。一番、お前で俺が埋められるから。



「…お前…最高……」
好きだよ、大好きだよ。
「…瀬戸口……」
本当に何もいらないんだ。お前以外何も。
「…最高に…好き……」
だからもっと抱いて。もっと、貫いて。
「―――俺もだ、瀬戸口」
何もいらないから、ずっとずっと。



「…愛している…瀬戸口……」



来須の言葉に瀬戸口は何よりも嬉しそうに微笑った。それだけで充分だった。こうして一日中自分を抱いてくれて、そして愛してるって言ってくれれば。それだけで。それだけで、しあわせだから。



「俺もだぜ…来須…だからいっぱい愛してくれよ…俺の誕生日分は、な」


END

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