しあわせな笑顔

―――改めて見つめてやっぱりカッコイイと、思った。


蒼い瞳。空よりも海よりも蒼い瞳が俺を見下ろす。その瞳に俺が映る瞬間が、何よりも好きだった。
「何じっと見ている?」
「あ、そのいや…」
見惚れていたなんて言ったら君は…君は呆れるだろうか?でも本当に君に見惚れていたのだからどうにもならなくて。いい訳も、出来なくて。
「――見惚れたか?」
君の言葉に正直に頷いてしまった。こんな時惚れている方が絶対に負けなんだなと思った。絶対に、負けていると。
「…うん…見惚れてた……」
頬までかああっと熱くなるのが分かる。なんか女の子みたいでイヤだった。でも。でもどうしてだろう、君の前ではどんなポーカーフェースも出来なくなってしまうんだ。
「顔赤いぞ、お前」
「だ、誰のせいだよっ!」
「俺のせいか?」
「君のせいだよ、バカ」
少し拗ねたら君はひとつ、微笑った。ひどく優しい顔で微笑って、そして。そしてひとつキスをしてくれた。

俺は単純だから、そのキスだけで凄くしあわせになってしまった。


背中に腕を廻して、そのままぎゅっと抱きついて。君の胸に顔を埋める。その瞬間微かな香りが、俺の鼻孔を掠める。君の、薫りが。
「…ってお前何している?……」
その匂いが今俺の薫りと同じだという事が嬉しくて、つい。つい調子に乗って、嗅いでしまった。顔を上げて、君の髪を、引き寄せて。
「匂い、嗅いでるの」
「―――犬か、お前は」
「…だって君の今の匂い、俺と同じだから」
「当たり前だろう?同じシャンプー使ったんだから」
そう言って君は俺の髪にキスをひとつした。同じ、薫り。同じ、匂い。同じモノを使ったんだから当たり前と言えば当たり前だけど…それでもこんなにも嬉しくなってしまうのは、きっと君だから。君以外にこんな気持ちにはならないから。
「って何してる?」
君の服を脱がし始めた俺に、呆れたような声が頭上から降ってくる。けれども俺の手を止めようとまではしなかった。上着を脱がして君の裸の胸に手を置いた。
「なんかさ、同棲しているカップルみたいだね」
そのまま引き締まったけれども厚い筋肉を撫で上げて、首筋にひとつキスをした。わざと強く吸い上げて、痕を残す。君が自分だけのものだと証拠を残すために。
「似たようなものだろうが……」
髪を撫でる大きな手が、好きだった。俺の全部を包みこんでくれるようなその大きな手が。大きな手が、大好きだった。
「そうだね、俺。一週間の半分以上は…君の家にいる」
「お陰で余計なものが増えた」
君の視線が巡らした先には雑誌やらCDやら、色んなモノが散らかっている。俺がここに入り浸るまでは何もない部屋だった。本当に寝る以外の機能を全て排除した部屋だった。それがイヤで、俺は。俺は色んなモノを君の部屋へと持ち込んだ。
「君の部屋何もないんだから…このくらいで丁度いいんだよ」
「その前に片付ける事を覚えろ」
「〜〜ヴ〜〜〜」
痛い所を突かれたと思った。確かに俺は部屋の片付けは自慢じゃないが下手だ。下手というかやたらモノを買うから、片付けが追い付かないのだ。更に。更に君と一緒にいる時間ばかりにかまけているから…部屋の掃除まで時間が廻らなかったりする。
「そ、そんな事はいいんだっ!それよりも……」
俺はそのまま座っていたベッドから降りると、君の前にしゃがみ込んだ。そして君のズボンのファスナーに手を掛けるとそのまま降ろして、君自身を取り出した。
それを手のひらで包み込むと、そのまま口に含む。平常時でも少し咽るくらいの大きさに、じわりと俺の背中から淫らなモノが這い上がってくる。
「…ん…ふ…はふっ…んん……」
舌でそのラインを辿り、筋を舐め上げた。先端の割れ目に指を這わしながら、窪みを舌で辿った。そうする事でどくどくと脈を打ち始めるソレが…愛しかった。
「…んんっ…ふっ…ん……」
そのまま先端部分にひとつキスをして、口の中に含む。みっしりと俺の口に隙間無く埋められる硬さと巨きさが、俺を満たした。
「歯を、立てるなよ」
「んんっ!」
ぐいっと髪を掴まれて、そのまま引き寄せられた。喉の奥まで当たるソレに咽かえりそうになる。けれども俺はそれを堪えて必死に君のソレに奉仕をした。愛しいモノだから。誰よりも何よりも君のモノだから。
「…んんんんっ…んんん……」
目尻からぽたりと涙が零れて来るのが分かる。それでも俺は止めなかったし、君もそれを止めさせようとはしなかった。ぴちゃぴちゃと濡れた音を発しながら、俺は君を求め続ける。
「―――出すぞ、瀬戸口」
その言葉に俺は一端口を離した。そして先端の割れ目に指を這わして、そして。そして弾けるような音とともに飛び出した液体が、顔に掛けられた。


「…はぁっ…ん……」
ぽたりと落ちる精液を、君の舌が舐め取る。そのまま引き寄せられて、顔を上に向かされて。何度も何度も舌が顔を、辿る。
「…来…須…んっ……」
口付けられれば、苦味のある液体が口移しに注ぎ込まれる。それを俺はこくりと喉を鳴らしながら、飲み干した。君のものならば、何でも欲しかったから。
「…んんっ…ふぅっ…ん…はぁっ……」
手を伸ばして、君を引き寄せた。もっとキスをして欲しくて。もっと俺の顔に舌を辿って欲しくて。もっと。もっと俺に、触れて欲しくて。
「…来須…好き……」
「ああ」
「…君だけが…大好き……」
顔を綺麗に舐められると、そのまま。そのまま手を掴まれて立たされる。そして腰を掴まれると…そのまま君の膝の上に乗せられた。
「…あっ…ん……」
シャツの裾から腕が忍び込んできて、そのまま胸の突起に触れる。きゅっと指先で摘ままれて、俺の身体はびくんと震えた。
「…あぁんっ…はぁっ……」
服は脱がされなかった。腰を腕で支えられながら、指が俺の胸を何度も弄ぶ。その刺激だけで、俺はもう……。
「…来須…俺…もう……」
視界が潤んで見えるのは、瞳から零れる涙のせいだろう。気持ち良くて、君に触れられるだけで気持ち良くて。俺は涙を止められない。
「本当だな、こんなに…なってる」
「―――ああんっ!」
ズボンのベルトを外され、そのまま俺自身が外に出される。一瞬空気の冷たさにソレは竦んだが、大きな手のひらに包まれて直ぐに硬度を復活させた。
「…あぁっ…あ…来須っ…はぁぁっ……」
気持ち、イイ。どうにかなりそうなくらいに。君の大きな手で触れられると。君に触れられると俺は。俺はもう何も考えられなくなって。
「…くふっ…あ……」
腰を、自ら浮かした。そして指が後ろへと入りやすいようにする。すると俺の意図を理解した君の指が、俺の最奥へと忍び込んできた。くちゅくちゅと濡れた音とともに中を掻き乱される。
「…くんっ…はふっ…ぁぁ……」
粘膜から伝わる指のリアルな感触。気持ち良くてどうにかなってしまいそうだった。俺は君に抱かれて初めてセックスに溺れることを知った。初めて、知った。
今までどんな女の子を抱いても、どんな男に抱かれても、何時も何処か冷めた自分がそこにいるのを実感していたから。けれども。けれども、今は。
「…あぁ…来須…指よりも……」
今はこんなにも溺れている。自分を忘れるほどに、溺れている。君の腕に、君に、溺れている。何処までも何処までも、君に俺は…。
「…指よりも…こっちが……」
快感のせいで指先が上手く動かなかった。けれども俺は震える手で、君のソレに指を這わす。それは先ほど果てた筈なのに充分な硬度と巨きさを保っていて…俺の睫毛を震わせた。
「…こっちが…欲しい……」
「我侭だな、お前は」
「…むっ…今更…だろ?……」
腰を両手で掴まれる。そのまま俺を立ち上がらせた。俺の膝はがくがくと震えていて、上手く立ち上がれなかったけれど。けれど君の大きな手が、支えてくれたから。
「…今更…だよ…俺…君にだけは我侭で…そして君にだけは…欲張りなんだ……」
そのまま入り口に硬いモノが当たった感触を確かめながら、俺は腰を降ろした。


溺れている、君に溺れている。
俺の全てで君に。君に捕らわれているんだ。
こんなにも人を好きになった事なんてない。
こんなにも誰かを愛した事もない。こんなにも。
こんなにも誰かを欲しくて、一人いじめしたいと思ったことも無かった。


―――本当に君が…俺は好きなんだ……


腰を落とすたびに、君が俺の中へと入ってくる。濡れた音とともに、君が俺の中へと埋め込まれてゆく。
「…あああ…あぁ……」
声なんて堪えない。君の前でだけは、堪えない。感じていることを感じるままに君に伝えたいから。君にだけは、伝えたいから。
「…あぁぁっ…あああんっ……」
全てを埋め込んで、そして潤んだ瞳で君を見つめた。蒼い瞳がそっと。そっと俺を見つめる。こんな時。抱いている時でも君は顔色ひとつ変えない。そこが、好きなんだけれど。
「瀬戸口」
「…はぁぁっ…あ……」
零れ落ちる涙を拭う指。大きくて優しい指先。この指先がずっと。ずっと俺だけのものだったなら。もう何もいらない。何も欲しくない。君だけがいてくれればそれでいい。
「お前の涙は、綺麗だな」
「…って…君が…泣かせて…いるから…だよ……」
「―――そうだな…俺だけの……」
「あああっ!」
不意に下から突き上げられて、俺は仰け反るように喘いだ。君の言葉を聴く前に、意識が飲み込まれて。飲み込まれて、そして。
…そしてもう…何も…考えられなくなって……


突き上げられて、貫かれて。
一番奥まで、貫かれて。そして。
そして注ぎ込まれる熱い液体を感じながら。
俺も自らの欲望を吐き出していた。



「…来須…さっきの……」
汗でべとつく俺の前髪を君の手が掻きあげる。そして額にひとつキスしてくれた。
「…さっきの言葉…ちゃんと……」
俺も君の髪に、触れた。君の髪も汗が零れているのにさらさらで。指をすり抜けそうなどに、さらさらで。そして。
「…ちゃんと、聴きたい……」
そしてこんなにも俺の指先に、馴染むから。
「―――瀬戸口……」
…何よりも、愛しいって…思った……。



「お前は俺だけの…ものだ……」



耳元で囁かれた言葉に、俺は。俺は多分。
多分どうしようもない程にしあわせな顔で微笑っただろう。
自分で見ることは叶わないから、分からないけど。
でも君が。君がそっと微笑ってくれたから。きっと。




きっと俺は世界中で一番しあわせな笑顔をしているだろう。


END

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