EYE・DOLL・8

俺が貴方の為に出来ることは、一体何がありますか?


どんな些細な事でも、どんな小さな事でもいいから。
こんな俺でも貴方の為に出来る事があれば。こんな俺でも。
貴方の為にしてあげられる事があれば。

どんな事でもいいから、教えてください。貴方の為に、出来る事。



初めてお前を抱いた時を、思い出した。あの時はお前が求めるままにひたすら俺は答えていた気がする。貪欲なまでに、激しく俺を求めたお前に。
「…んっ…ふぅ……」
啄ばむように繰り返し口付けながら、その肌に指を這わした。細かい傷に触れるたびに、そっと。そっとそこをなぞってやった。そのたびにぴくんっと身体が震える。
「…はぁっ…あ……」
唇を離すたびに、甘い吐息が零れる。零れた吐息を再び唇で拾って、そしてまた離れた瞬間に声が零れる。それを何度も何度も繰り返した。
「…んんっ…ふっ…はぁぁ……」
同じ声。乱れる姿も、甘い吐息も。何もかもが一寸の狂いもなく、あの頃のまま。俺の腕の中に抱かれていた、あの頃のままで。何一つ、変わってはいない。
「…瀬戸口……」
名前を呼べば快楽に濡れ始めた瞳で、俺を見上げる。どんなに激しい愛撫を与えても、お前は名前を呼べば必ず瞼を開いた。何時も必ず、その紫色の瞳は俺を見つめる。
「…来…須……」
動かなくなった左手にお前の指が絡まる。そしてそのまま剥き出しになった左肩に口付けられた。神経のないそこを、ひどく慈しむように。
「…貴方の腕に…俺はなりたい……」
唇を何度も左肩に当てながら、指先が腕を辿ってゆく。繰り返し、その唇と指が。
「―――瀬戸口……」
「…それは…我侭なこと、ですか?……」
指先は肩に触れたままで見上げてくる瞳は。その瞳は揺るぎ無く俺だけを見つめる。そうだ、何時も。何時もお前は俺だけを見ていた。どんな時も、どんな瞬間も。分かっていながら、気付いていながら、俺はその視線を反らしていた。受け入れないと思っていたから。

―――けれども今。今、俺は……


「…なるか?…」
許されないのかもしれない。お前は怒るかもしれない。でも。
「俺の左腕に」
でも瀬戸口…俺は…お前と名前が付くものを。その全てを。
「―――お前が、なるか?」
その全てを…やっぱり…愛しているんだ……。


俺の言葉に小さく頷くお前を、そっと抱きしめて。抱きしめて再び唇を奪った。そして右手だけで、お前の身体を確認する。決して消えることのないお前の感触を、再びこの指に刻み付けて。お前だけを、刻み付けて。
「…あっ…あぁ……」
鎖骨に舌を這わしながら、胸の果実を指で摘まんだ。敏感なソコは直にぷくりと立ち上がり、紅く熟れてゆく。その突起を親指と中指で摘まみながら、人差し指の腹で転がした。
「…あぁんっ…はぁっ…くふっ…」
お前は無意識に自らの指を口に運んで、そのままぎゅっと噛んだ。それもお前の癖だった。指に傷が付くから止めろと言っても、無意識にやってしまうから止まらないんだと、言いながら。そして何時もそんなお前に、俺は。
「背中に手を廻せ。指を噛むな」
そうしてお前の両腕を背中に廻させて、そして爪を立てさせた。ここはお前の場所だから幾らでも立てていいんだと、言って。
「…はい……」
おずおずと手が背中に廻される。遠慮するなと言ったら、少しだけ戸惑って、けれども強く俺に抱きついて来た。そんな所が、愛しいと思った。
「…んっ…はぁっ……」
胸の突起を口に含んだ。そのまま舌で嬲りながら、指先を下肢へと滑らせてゆく。途中殴られた痕の大きな痣があって、俺はそこを執拗に手を滑らせた。癒せるわけではないけれど、こうする事で痛みが少しでも和らげればと思った。
「…あ…ああっ!」
脚を広げさせてその中心部分に指を触れさせた。その途端に、びくんと身体が鮮魚のように跳ねる。それを見下ろしながら、既に微妙に形を変化させていたソレを手のひらで包みこんだ。
「…あぁっ…ああんっ……」
柔らかく揉みながら、筋を指でなぞる。そのまま先端部分に爪を立てれば、どくどくとソレは脈打つ。先端からは先走りの雫が零れてきて、俺の指を濡らした。
「…はぁぁっ…あぁぁ…あっ…んっ……」
腰が波打ち、髪が乱れる。唇が濡れて紅く光り、そこから零れるのは甘い吐息。甘い、声。身体を朱に染め、うっすらと汗ばむ肢体。その全てが、ひどく。ひどく懐かしく、そして。そして何よりも、綺麗で。
「…瀬戸口…俺は……」
失ってからもやっぱり。やっぱり求めるのはお前だけだった。他の誰も代わりにはなれない。他の誰もお前の代わりになんてなれはしない。俺の世界にはただ独り。ただ独り、お前だけがいる。お前だけが、在る。他の誰でも駄目なんだ。
「…俺はずっと…お前を……」
代わりなのか、お前自身なのか。もうそんな事は俺には分からなくなっていた。ただ目の前にいるのが『瀬戸口 隆之』と言う存在ならば。その存在ならば、俺は。俺はもう。もう全てが、どうでもよく。

―――そう、どうでもいい。お前がここにいてくれるのならば。

限界まで膨れ上がっているお前自身を指で強く扱いた。その瞬間、どくんっと音とともに。その音とともに、俺の手のひらにお前は白い欲望を吐き出した。



永遠なんて、いらないけれど。未来も過去も、いらないけれど。
『でもお前がこの地上に生き続けている限りは』
何もいらないけれど。何も欲しいとは思わないけれど。それでも。
『俺はずっと、お前のそばにいる。お前が嫌だと言っても』
お前が俺を欲しくなくても。俺がお前を手に入れることが出来なくなっても。
『ずっとそばにいる、来須』
俺はお前のそばにいたいから。ずっとそばにいたいから。
『―――俺ひとつだけ出来ないことがあるんだ…お前の為なら何でも出来るけど…ただひとつだけ…』
いいよ、お前が他の誰を好きでも。俺を好きでなくてもいいよ。でも俺は好き。ずっと、好き。死ぬまで、好き。死んでも、好き。だから。だから、俺は。


『…お前のそばを…離れること……』


それだけが、どうしても。
どうしても、俺出来ないから。
それだけが、どうしても。
どうしても、出来ないんだ。


お前が他の誰かを愛しても。もしも他の奴のものになっても。俺は。俺は…


永遠なんていらない。未来なんていらない。
今も過去も、全部。全部、いらないから。


――――お前のそばに…いさせてくれ……



「…貴方の…髪の感触……」
細い指が、俺の髪に触れる。白く細いその指先が。
「…指先をすり抜ける…この細い髪を……」
愛しく、そして切ないのは何故だろうか?
「…やっぱり…憶えているんです……」
どうしてこんなにも、苦しくなるのか?


――――お前が綺麗に微笑うたびに、哀しく見えるのは何故?



俺以外の記憶が流れ込んで、何時しかゆっくりとこの身体を支配してゆきました。少しずつ零れて来るオリジナルの記憶が。このまま明渡してしまえば、記憶を全て明渡してしまえば…きっと貴方は…貴方は…本当の笑顔を……。

でも、ごめんなさい。ごめんなさい。

俺は必死になってその記憶を閉じ込めました。注がれる記憶を閉じ込めました。分かっています、本当に貴方のしあわせを、貴方の笑顔を望むなら。望むならば、今。今この瞬間、俺は消してオリジナルの記憶を取り戻さなければならないと。分かっています、俺が消えるのが貴方にとって一番必要なことだと。

ごめんなさい、ごめんなさい。

俺は…俺は出来損ないです。出来損ないのクローンです。俺にとって生きる意味は貴方の笑顔を作ることなのに。俺の存在異議は、その為だけにあるのに。それなのに、俺は。俺は、自らの願いを…自らの想いを…止められないのです。


貴方が、好きです。貴方だけが、好きです。


好きだから、貴方に抱かれたい。
好きだから、貴方の腕の中にいたい。


ごめんなさい、俺は。俺はきっと許されません。
許されないことをしているんです。でも、それでも。
それでも俺は…俺は…俺は……



…一度だけでいい…貴方が…欲しい……



「…何故…泣く?……」
右手がそっと、俺の頬に触れました。大きくて暖かい、その手が。
「…ごめんなさい……」
そして零れ落ちる涙を、優しく拭ってくれて。拭って、くれて。
「…ごめんなさい…俺……」
…ああ、俺は…俺はこの優しい人を…裏切っている……


貴方が逢いたいのは、貴方が抱きたいのは、俺じゃないのに。
貴方が求めているのはただ独り、この胸に眠る『オリジナル』だけ。

ただ独り、貴方が求める人は。

それなのに俺は無理やり記憶を閉じ込めて、貴方の腕に。
貴方の腕に抱かれようとしている。貴方の腕に。


―――ごめんなさい…それでも俺…貴方が欲しいんです…ごめんなさい……



「謝るな、俺も…卑怯なことをしているのかもしれない」
きっと少しずつ、嘘を付いている。お互いの気持ちに、嘘を付いている。
「…お前は…悪くない……」
少しずつ、互いの想いを摩り替えようとしている。
「―――悪くない……」
本当の事は今ここに。ここに在る気持ちだけなのに。この気持ちだけなのに。


確かに今、俺が欲しいと思ったのは『お前自身』なのに。


「…くふっ…はっ……」
開かれた脚に導かれるように指を最奥へと忍ばせた。先ほど果てたお前の液体が、侵入をスムーズにさせる。くちゃりと濡れた音とともに、指が奥へと導かれてゆく。
「…くぅっん…はぁっ…ぁぁ……」
指先で媚肉を押し広げるようにしながら、中を掻き乱した。そのたびに内壁が淫らに絡み付き、きつく指を締め付けた。
その抵抗感を楽しむように何度も何度も指先を抜き差しさせた。そして充分に内側がほぐれた所で、一気に指を引き抜いて。
「…あっ……」
引き抜いた刺激にすら敏感なお前の身体は反応した。そんなお前にひとつ、口付けて。
「―――いいか?」
耳元に囁いた言葉にお前は首を横に振った。そして自ら腰を浮かせると。
「…片手…使えないから…このまま……」
俺が挿れやすい態勢を取ると、片手で俺自身に触れると、そのまま入り口まで導いた。俺はそのまま。そのままお前の身体を、貫いた。



貴方が、俺の中にいる。
俺を求めて、身体を貫いてくれる。
その熱さと硬さが、俺を。
俺を求めてくれていると言う事実が。
それが何よりも。何よりも、俺を。



「…ああああっ!…あああっ……」
喘いだ。我を忘れて喘いだ。その熱を求めて。激しく求めて。
「…瀬戸口……」
「…あああっ…あああ……」
自ら腰を振って、その熱を硬さを、貴方を求めた。
「…はぁぁっ…あぁぁ…ぁ……」
欲しかったから、貴方が欲しかったから。


――――ただひたすらに、求めた……


何度も速水に抱かれてきたけれど。
何度もこの身体を貫かれてきたけれど。
けれども、こんな風に。こんな風に。

我を忘れるほどに、求めたことなどなかった。

いつも何処か冷めた気持ちがあって。
自分が抱かれているのに、他人が抱かれているようで。
自分の意識が『ここ』にないような感覚で。
何時もそんな風に、思っていたから。


だからこんなにも。こんなにも、自分を忘れるほどに。
何もかもが分からなくなるほどに、相手を求める事なんて。



「――――ああああっ!!!」



最奥まで貫かれ、媚肉が熱を逃さないようにときつく締め付け。
その瞬間に注がれた熱い液体を感じながら、俺も。


…俺も何時しか自分を、解放して……


END

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