心中

世界一グロテスクで、そして何よりも綺麗な純愛。


その細い首筋に指を当てて。柔らかいぬくもりが指先に伝わって。
伝わって、そして。そしてただひとつのかけがえのないものが。
ただひとつの、私にとっての永遠が。そっと。そっと微笑う。


『…しあわせだよ…しあわせ…ありがとう……』


うん、私も。私もしあわせでした。貴方と出逢えて。貴方と言う命が生まれて。
貴方と言う存在が…この世に存在してくれて。しあわせでした。しあわせ、でした。


誰にもきっと分からない。誰にも分かりはしない。
何が正しくて何が間違っているのか。何が本当の事で何が嘘なのか。
もう何も。何も誰にも分からない。分からなくていい。


―――ただ私達だけが知っていれば…いい事なのだから……


何時しか、一面の花の咲く場所で。ただ花だけが咲き乱れる場所で。ふたりして、手を繋いで。言葉はほとんど交わさずに。ただ繋がった指先のぬくもりだけを世界の全てにして。小さな貴方に口付けたあの時だけが。あの時、だけが。


ただ遠い場所で、永遠に綺麗に閉じ込められたならば何も、望みはしないから。



ずっと、ね。ずっと、貴方のそばにいたかったよ。他になにもいらないから、ね。ずっとそばにいたかったの。
「ひろちゃん」
伸ばした指先。一生懸命に伸ばした。ののみの手、小さいから。小さいからね、一生懸命に伸ばしたの。貴方に届くようにと、一生懸命に手を伸ばしたの。
「―――ののみ……」
ののみとふたりきりの時だけ。ののみだけが知っている、貴方。いつもの言葉遣いと違ってね。違って、やさしいの。やさしくて、かなしいの。でも好き。そんな貴方が、好き。
「またね、だよね」
伸ばした手。貴方に届くようにと伸ばした、手。その手を包み込む、大きな手。大好きな、手。ずっとね、ずっと大好きなのよ。この手が、大好きなのよ。
「ええ『またね』です」
一度だけ、願いを叶えてと。一度だけ叶えてくださいって、貴方に言った。一度だけでいいからって。そうしたら貴方は黙ってぎゅっと、ね。ぎゅっとののみを抱きしめてくれた。その手がいっぱい震えていて、そして。そして泣きそうな顔で、微笑って。微笑って言った。

―――ええ…と。


とおい場所へ、行きたいな。
だれも知らない、とおい場所。
そこにはなーんにもないの。
争いも、戦いも、世界も、運命も。
全部全部、なーんにもなくてね。
なにもなくて、真っ白で。
ただ真っ白で。ただ綺麗でね。
そんな場所に、ふたりでいれたら。

いれたらきっと。きっともう、こんなにも淋しくないよね。



「―――ののみ……」
ただ独り愛した子供。愛した、女。全ての嘘と真実が入り混じり、ぐちゃぐちゃに溶け合ったとしても。これだけは変わらない。これだけは、変えられない。私の貴方への想いだけは。
「…ののみ……」
小さな身体。腕の中にすっぽりと閉じ込められる身体。こうして抱きしめれば。強く、抱きしめれば。壊れて砕ける小さな身体。
この器ですら、愛しい。どんな貴方でも愛しい。全てが溶けて、液体になったとしても。貴方と名のつく塊ならば、私は全てを愛するから。
「…のの…み……」
髪を撫で、頬を撫で。そのすべらかな感触を指先に感じて。ただ、感じて。感じてそのまま。そのまま消えてしまいたいと願う。叶わない夢でも願う。願わずには、いられない。
「ひろちゃん、すき」
ああどうして。どうしてこんな事でしか私達は望みを、願いを叶えられないのだろうか。それもただ一瞬の自己満足。ただ一瞬だけの、永遠。それでも。それでも、私達は。
「すきよ。だいすき。貴方だけがすき」
私達はその想いを止める術を、この想いから逃れる術を、知らない。それが出来るのならば初めからこんなにも、苦しくはなかった。


ただ貴方のいるこの世界を。貴方が生きている世界を。
私は護れればそれだけでよかった。貴方が生きている、世界を。
貴方だけが聴く。貴方だけがその声を聴く世界を。
私は自らの全てで、護れればそれだけでよかった。

―――貴方が『生きている』世界だから、私は護りたかった。


世界で一番、グロテスクで。世界で一番、綺麗な純愛。
「ひろちゃん、ののみを」
誰にも理解されない。誰にも分かる筈のない。
「ののみを、お嫁さんにしてね。ひろちゃんだけの」
道化師と幼女の歪んだ、愛情。狂った愛欲。でも。
「およめさんにしてね」
でもここにある『想い』は何よりも、純粋だ。


小さな身体をきつく抱きしめて、着ていた衣服を剥ぎ取った。生理すら来ない身体。胸のふくらみすらない身体。そんな身体に欲情し、抱きたいと想う私はただの狂人だ。
「…ひろちゃん…ののみだけの……」
そしてキチガイ染みたメイクを施し、道化師である私に本気で愛を告げる少女。化粧くさい私の頬を愛しげに撫で、そのまま包み込み口紅の着いた唇を塞ぐ子供。
「…んっ…んん…ふぅっ……」
絡めた舌が、痺れるほどに。舌に施したピアスが貴方の舌に触れる。そのたびに幼い身体はぴくんっと跳ねて。跳ねて、そして。そして私に強くしがみついて来る。
「…んんっ…んんんっ…はぁっ……」
何度も何度も舌を吸い上げ、角度を変えて幼い唇を貪った。子供特有のぷくりとした柔らかい唇。その感触が睫毛を震わすほどに愛しかった。
「…はぁぁ…あっ……」
息が出来なくなるまで貪った唇を離せば、大きな瞳が涙で潤んでいる。それが何の為の涙か…それを確かめる前に私は口許から零れる唾液を舌で辿った。ピアスが当たるたびに、反応する身体を抱きしめながら。


確かめたくなかった。それが快楽のための涙なのか、悦びの為の涙なのか、それとも。それとも哀しみの為の…涙なのか。


「…あっ…んっ!……」
薄く色づく胸の突起を口に含めば、唇から零れるのは甘い吐息。薄い肉のない胸。それでも愛しい胸だった。微かに付いた子房を指で触れながら、繰り返し突起を指の腹で転がす。同時にもう一方の胸の果実を口に含みながら。
「…あぁんっ…あん…ひろ…ちゃっ…ん……」
貴方の望みはひとつだった。貴方の願いはひとつだった。ただひとつだけ『私のものになりたい』と。ただひとつだけ、だった。
「…ひろちゃ…あぁ…あ……」
びくびくと震える身体。艶やかな頬が朱に染まり、ぎゅっと瞳が閉じられる。その顔を見ているだけで私は欲情した。私は貴方に、欲情した。
「…ののみ……」
唾液でねっとりと照らされる乳首から唇を離して、その顔を見下ろす。名前を呼べば必ず開かれる大きな瞳。何時もそう、だった。どんな時でも、どんな瞬間でも。貴方の瞳は何時も私だけを見つめていてくれた。私だけを、見ていてくれた。
「…ひろちゃ…ん…やめないで…やめちゃ…めー…なのよ……」
ええ、やめません。やめません。貴方がやめてと言わない限り。私は貴方の望みを全て叶えるから。ただひとつの望み以外は全て。全て、叶えるから。


―――ただひとつの本当の望み…貴方が大人になる事以外……


身体なんて繋がなくても。想いは繋がっている。
こうして抱き合わなくても、全ては繋がっている。
それでも、こうして。こうして抱きたいと願うのは。
こうして抱かれたいと、想うのは。


――――私達に永遠はありえないと、こころの何処かで、気付いているから……


何時かふたりで話した、夢のような夢。
本当に夢のような、話。ふたりで話したね。
貴方が大きくなって、クローンでも大きくなって。
そして私が大人になった貴方と結婚をして。
小さな家に住んで、平凡なしあわせを手に入れること。
本当にささやかなしあわせを、手に入れること。

本当に夢のような、夢。

叶わない願い。叶わない想い。大人になった貴方は必要のないもの。
存在すら不要なもの。子供だからこそ生かされる命。そして。
そして貴方が子供であるからこそ、私は。私は貴方のそばにいられる。
このループし続ける世界で、それだけが。それだけが、約束された事。

だから叶わない。だから、叶えられない。分かっていることだった。分かっているからこそ、私達は夢のような話に夢中になった。夢だと分かっているから…語り合った。


「…ひゃんっ!」
脚を広げさせ、そのまま秘所に指を忍ばせた。幼い性器はまだ異物を入れるには早く、中々指を受け入れない。それでも私は丁寧に感じる個所を舌で舐めながら、指の抜き差しを繰り返した。
「…ふぁっ…はぁっ…くふっ……」
微かに苦痛の入り混じった声が口から零れる。それでも決してやめてとは言わなかった。幼い身体で必死に私を受け入れようとする。
「―――ののみ……」
「…あふっ…ぁ……あっ!」
耳たぶをそっと噛みながら、花びらを掻き分ける。偶然に触れた個所にびくんっと身体が跳ねた。ソコが貴方の一番感じる個所だと分かると、集中的に攻めたてた。剥き出しになった幼いクリトリスをぎゅっと指で摘み、愛液を零れさせる。
「…あぁっ…んっ…あぁ…あんっ…」
指に感じる蜜の量と比例するように唇から零れる声は甘く溶けてゆく。少女の声とは想えないほどに艶やかな声が、零れて来る。
「…あぁっ…やぁっん…熱い…あつい…よぉっ…あふっ……」
初めて訪れる衝撃に貴方は口許に唾液を零しながら喘いだ。瞳の焦点は何処か合ってなくて、まるで熱に浮かされたような表情になった。でも、それすらも。それすらも、私には。
「…だめ…ののみ…へんに…へんになっちゃ…あぁ…」
「いいのです、おかしくなっても。私の前ではどんな貴方も隠さないでください。私は」
「…あぁぁっ…あんっ…あん…もぉっ…ののみ…ののみっ……」
「私はどんな貴方でも、愛しているのですから」
「―――あああんっ!!!」
ぐちゅりと指を深く差し入れた瞬間、貴方は大量の蜜を私の指に滴らせた。



大人になったら、ね。声聴こえなくなるのよ。
だからののみは、子供のまま。子供のまま、なの。
だからこう言うことも出来ないの。しちゃ、いけないの。
だってそうしたら、ののみ。ののみ子供じゃなくなるから。
だからね、絶対にののみは結婚出来ないのよ。


―――ひろちゃんの、お嫁さんになりたい……


ただひとつの、ののみの願いだった。
ただひとつの、ののみの想いだった。


それだけがね、それだけが、ののみにとっての。
ののみにとっての我が侭だったの。だから、貴方が。
貴方が苦しんでいるのが分かった。
貴方が泣きそうな顔でののみを見たのも分かった。
泣きそうな笑顔で、それでも。それでもいいですよって。
いいですよって、言ってくれた。それが。


それがどんな意味を持つか…ののみ知っていた。知っていたけど…ひろちゃんのものになりたかった。


ひろちゃん。ひろ、ちゃん。
ずっとね。ずっと、呼んでいた名前。
生まれてからずっと。ずっと。
貴方だけを呼んでいたの。

どんな時も。どんな瞬間も。

だからこれからもずっと。ずっと呼んでいる。
どんなになっても。どんなになっても、呼んでいる。
ただ独り、貴方の、名前だけを。



唇が、触れる。そっと、触れる。触れて離れる、切ないまでのキス。切なすぎるキス。触れて離れて貴方はそっと微笑う。子供のような笑顔で、少女のような笑顔で。唇からは無数の唾液を零しながら、瞳からは透明な雫を零しながら。震える手で私の頬に触れ、荒い息の零れる唇でキスをする。

…ああ、この瞬間が。この瞬間が、永遠だったらば…いいのに……


貴方だけを、愛して。ただ愛して。
それだけが唯一の私の生きる意味。
私の生きている意味。貴方が。
貴方がいる世界を。貴方が生きている世界を。


「―――愛しています…貴方は…私だけのものです……」


身体なんて繋がなくても。肌を触れ合わせなくても。
結ばれている。結ばれて、いる。それでも。
それでも望んだ。互いが、望んだ。それが。
それがただひとときの。ただひとときの、幻でも。


――――ただ一度だけの、永遠でも。





「ひあああああっ!!!」




その狭い器官を貫いた瞬間、口許からは悲鳴が零れた。それでも。それでも私はこの行為を止めなかった。それを貴方が望まない限りは。
「…ひぁっ…あぁぁ…いたっ…痛い…よぉ……」
苦痛のための涙がぽたりと頬を伝う。それでも貴方の小さな手は必死に。必死に私にしがみついていた。離さないようにと。離れないように、と。
必死に伸ばされ、必死にしがみつく手。一生懸命に私に伸ばされる手。
「…ののみ…力を抜くんです…」
「…あああ…あぁぁ……」
零れる涙に舌を這わしながら、幼い胸の果実を指で摘んだ。そうして少しずつ快楽を与え、中を馴染ませてゆく。
「…あぁ…あぁぁ…ひろちゃ…ひろちゃん……」
引き裂かれた幼い性器は血まみれで、白い太腿からどろりと血が零れて来る。真っ赤な血が、白い肌に鮮やかに。
端から見たら、本当に私は狂人だ。幼い子供の身体を犯し、血を流させ、そして。そして貪る獣。狂っているだろう。狂って、見えるだろう。誰にも分からないだろう、これが。これが互いが望んだ行為だと言うことが。
「…ののみ…私の、ののみ……」
「…ひろちゃ…ひろちゃ…ん…うん…うん…ののみ…ののみ…ひろちゃんの…もの…だよ……」
この幼い頬に零れ落ちる涙がどんなに熱くて、どんなに綺麗か。私しか知らない。私にしか、分からない。例え今誰かがこの涙を見ても、そんな事は分かりはしないだろう。
「…へぇき…だよ…へぇき…だから、ね…うごいて……」
私だけの、もの。私だけの、涙。私だけの、貴方。私だけの…私だけの愛する人。
「―――ののみ…愛しています…私だけのひと……」
「…ひろちゃん……」
微笑う、貴方。まだそこには苦痛が残っているはずなのに。それなのに微笑う、貴方。綺麗だと。何よりも綺麗だと、想った。これが。このひとが私が愛した人。ただひとり、愛した人。
「あああっ…ああああっ!」
細すぎる腰を掴んで、そのまま深く突き入れた。抜き差しを繰り返すたびに出血がひどくなる。けれどもそれと同時に別の液体が繋がった個所から溢れてきた。それが交じり合ってぐちゅぐちゅと淫らな音を発する。その音が互いの身体をより、煽った。

繋がっているんだと。今ひとつになっているんだと。結ばれているんだと。


ただ独りの、貴方。私だけの、貴方。
「…ああ…ああんっ…あんあんっ……」
永遠も未来も、何もなくても。何も、なくも。
「…もぉ…ひろ…ちゃんっ…もぉっ…あぁぁぁ……」
何も残らなくても。全てが消えてしまっても。
「――――ああああああっ!!!!」
それでも確かに今この瞬間、私達は結ばれた。



いつも、ね。いつも、だきしめていたかった。
この星の声を、きくよりも。きくよりも、本当は。
本当はののみは。ののみは、貴方の。
貴方のこころの声が、ききたかった。ききたかった。

本当は誰よりも、やさしく。本当は誰よりも、かなしく。
本当は誰よりも、くるしく。本当は誰よりも、せつなく。


そんな貴方のこころと声、ののみ。ののみずっと抱きしめたかったよ。


仮面、かぶっていたよね。いつもおどけて、バカな振りしていた。
でも知っているよ。知っている。そうやって。そうやって、ののみを。
ののみを護っていてくれたんだよね。皆に気付かれないように。
誰も気付かれないように。ののみの気持ちを、こうやって。
こうやってずっと。ずっと、護ってくれていた。


貴方が道化になるのは、全てを悟られないため。
全てを支配する運命から、私達の気持ちを気付かれない為。


ひろちゃん、あいしています。
あいしているって、言葉。
ひろちゃんしか、言わない。
ひろちゃんにしか、言わない。
すきとは、ちがう。ただひとつの言葉。
ただひとつの言葉と想い。
ひろちゃんだけにもらってほしい。
貴方以外もらってほしくない。
だれも知らなくていいの。だれも分からなくていい。
貴方だけが知っていれば、それでいいの。





「…ひろちゃん…あいしています……」






微笑う、貴方は何よりも綺麗。子供を捨てた貴方は何よりも綺麗。大人になって初めて微笑うその顔を私が見ることが出来てよかった。そして。そして貴方が微笑う、最期の顔を…。


「私も愛しています、ののみ」
見つめ合って。瞳を、視線を、重ね合って。
「うん、ひろちゃん」
そして微笑い合う。誰よりもしあわせな。
「ののみ、ちゃーんと分かっているよ」
誰よりもしあわせな恋人同士として。





そして私はそんな幸福な彼女の笑顔を見つめながら、首に手を掛けた。




指に少しずつ力を込める。本当は一気に。一気に締めなければ貴方が苦しいだけなのに。それなのに、出来なかった。出来な、かった。
「…ひろ…ちゃん……」
震える手で、がくがくと振動する手で。貴方の柔らかい首に。その首に指を食い込ませてゆく。
「…ありがとう…ひろちゃん……」
微笑う、貴方。息も途切れ途切れで、呼吸すらもままならないのに。それなのに微笑う、貴方。何よりも綺麗に、何よりもしあわせそうに微笑む私の恋人。私だけの、恋人。



「…しあわせだよ…しあわせ…ありがとう……」



分かっていたこと。知っていたこと。逃れられないこと。
それでも望んだのは、それでも願ったのは。互いだったから。
お互いが望み、そして。そして選んだことだから。
ただ一度だけの、永遠を。ただ一瞬だけの、永遠を。



かくっと音がして、貴方の顔が奇妙な角度に歪む。
そしてだらりと落ちた腕が、身体が、ゆっくりと。
ゆっくりと、冷たくなってゆく。ゆっくりと、死んでゆく。


―――あなたがゆっくりと、しんでゆく。



「…ののみ…愛しています…」
分かっていた事だった。分かっていた、事だった。
「…貴方だけを…ののみ……」
大人になった貴方に声は聴こえない。大人になった貴方に存在意義はない。
「…愛しています…ののみ…ののみ……」
そうしたら貴方は捨てられるだけ。ゴミのように捨てられるだけ。


私達は結ばれた瞬間に、終焉がやって来るのを、逃れることは出来ない。


幼い身体を、冷たく冷えた身体を。私はそのまま貪った。肉を引き千切り、骨を噛み砕き、そして。そして全てを取り込んで。全てを自らの中に取り込んで、跡形もなく、取り込んで。
「…ののみ…のの…み……」
独りにはしない。ずっとそばにいる。ずっと、ずっとそばにいる。貴方は私だけの恋人だから。私だけの恋人、だから。私だけの…ひと、だから……。
「…愛して…います…ののみ…私の……」
全部、全部。床に零れる血も全て啜った。貴方というかけらが何処にも残らないように。貴方と言う存在がこの地上の何処にも残らないように。何処にも、残らないように。


自らの全てに、貴方を取り込んだ。私だけの貴方だから。



そして私は自分のこめかみに銃口を当てる。後は引き金を引けば完成だ。そうすれば、終わる。ただ一度だけの永遠が。ただ一度だけの、しあわせが。ただ一度だけの……。




次に目覚めた世界では、また。また私は貴方を作り、そして貴方を愛するのだろう。
逃れられない宿命とともに。私は貴方を愛し続けるのだろう。





―――決して、永遠に、結ばれない、貴方を。


END

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