―――昨日見た夢を、貴方に話そう。
大した夢じゃないけれど、でも私にとって。
私にとってはとても。とても切なくて、そして。
そして苦しかったことだから。だから話そう。
誰よりも貴方に聴いて、欲しいから。貴方だけに聴いて、欲しかったから。
「夢、見たの。貴方の夢」
貴方の綺麗なさらさらの前髪を掻き上げて、その額にキスをした。そのまま眼鏡を奪い取ると、女よりも綺麗な顔が私の前に現れる。それが少しだけ癪に障ったから、ぎゅって鼻を摘んで上げた。
「―――って痛いよ、原さん」
本気で痛がっている貴方が可愛かった。男の子に可愛いって言葉、余り使うものじゃないかもしれないけど…貴方には使いたかった。
「ふふふ、ごめんね」
ぺろりと猫のように貴方の鼻を舐めて、そのまま車椅子の上に乗っかった。そんな私の背中に貴方は手を廻すから、ぎゅっと抱きしめてあげた。胸の膨らみが丁度貴方の顔に当たったから、もっとぎゅっとしてあげた。
「ね、しよう。狩谷くん」
髪を撫でながら耳元に囁く。そっと息を吹きかけながら、甘い声で。そんな私に貴方は苦笑したような笑みを浮かべて…私の唇を塞いだ。
ずっと、こうしていたい。
貴方とずっと、こうして。
こうして、抱き合っていられたら。
―――きっと、私はしあわせ……
眼鏡を車椅子のポケットに入れて、私は服のボタンを自ら外した。そして貴方の手を取ると、ブラの上にその手を置いた。
「…あんっ!……」
私の動きに答えるように貴方の手がおずおずと私の胸を揉む。何度も抱き合っているのに、何時も初めてのように触れる貴方が愛しい。そしてその手の動きが次第に激しくなってゆくのも。
「…ああん…はぁっ…ぁ……」
ブラの下から手を突っ込み直接私の胸に触れる。強く揉まれて、息が乱れた。そのせいで布の上からくっきりと立ち上がった乳首が分かる。それがひどく恥ずかしかった。今更だったけれど、恥ずかしかった。
「…あぁんっ…狩谷…くん……」
「何?原さん」
「…ブラ…外して…ね…なんかちょっと…これ恥ずかしい」
「これ?」
「ああんっ!!」
ブラの上から尖った乳首を指でぎゅっと摘まれた。その刺激に耐えきれず私の身体がびくんと跳ねる。その様子を貴方に見つめられていると言うだけで、背筋がぞくぞくとした。
「何か原さんがこんな事で恥ずかしがるなんて、新鮮だ」
「…いいじゃない…だって…そう思ったんだもの……」
拗ねたように言ったら貴方は困ったような表情を浮かべた。そんな所が可愛くて、そして大好きなのよ。そんなどうしていいのか分からないって瞳されたら…食べたくなっちゃうの。
「…じゃあ、外すね」
私の背中に手を廻しブラのホックを外すと、そのままそれを床に落とした。そしてその手が直に私の胸に、触れた。
「…あぁ…ん…はぁっ…ん…狩谷…くんっ……」
綺麗な細い指が私の乳房を掴み、そのまま激しく揉み解す。尖ったままの乳首を指の腹で転がして、もう一方のソレを口に含んだ。その瞬間、びくんっと私の身体が跳ねた。
「…はふっ…ぁっ…イイ…狩谷くん…ソコ…あんっ……」
貴方の髪を掴み、私の胸へと引き寄せた。もっと強い刺激が欲しくて、もっと胸を吸って欲しくて。ちろちろと舌先で嬲られるたびに胸が揺れて、息が乱れる。耐えきれず胸を押しつけより一層の刺激を求めた。
「…あぁん…イイ…狩谷…くん…はぁっ……」
「…原…さん……」
唾液でねっとりとなった胸を、貴方の口が離れる。そのままゆっくりと舌が胸の谷間に滑り、下腹部へと滑ってゆく。私は答えるように腰を浮かして、その舌の動きに答えた。
「…ココも…ちゃんと舐めて、ね……」
一端貴方が私から離れるのを確認するとそのままスカートを捲り上げ、既に恥ずかしい液で染みのついたパンティーを見せた。貴方は布越しにその濡れた割れ目に指を這わす。ぐちゅりと音とともに、布事貴方の指が私の中へと入ってくる。
「―――ああんっ!」
指の刺激に耐えきれず、私は貴方の肩に手を乗せた。それでも腰を浮かせるのは止めずに、貴方の指の刺激を求めた。割れ目を上下する指に、身体を小刻みに痙攣させながら。
「…あぁ…あんっ…あんっ……」
ひくひくと蕾が蠢いているのが分かる。一番奥がじゅんっと鳴って、もっと深い刺激を求めていた。布越しではなくて、もっと。もっとその指を……。
「…狩谷…くん…もっと…ね、…もっとぉ……」
腰を振り割れ目を指に押しつけ、私はねだった。そのたびにぶるんっと両の胸が揺れて、貴方の身体に当たる。その刺激すら、私の性感帯を刺激した。
「…うん…原さん…僕も…もっと…だから、腰……」
「…狩谷…くん…っ……」
言われた通りに腰を上げて、貴方の手がパンティーを脱がすのを待った。スカートは着けたままで、下着だけ脱がされる。ストッキングと同時にパンティーが脱がされ床に落ちた。
「…ああんっ…あんっ!……」
私は貴方にしがみ付き、胸を顔に押しつけ腰を振った。貴方の手が直に私の濡れた秘所へと侵入する。くちゃくちゃと中を掻き乱されながら、私は貴方の顔に押しつけた胸を揺すって、もっとと刺激を求めた。
「…あんっ…あんっ…あぁんっ……」
中を蠢く指の感触が背筋をぞくぞくさせる。深く突き入れた指が勝手気ままに動くのに、私はびくびくと身体を震わせるしかなかった。そして。
「…ね、…狩谷くん…指よりも…ね……」
何時しか布越しでも感じるようになった貴方の熱さに、私は蕾を押し付けた。ズボンの上からも分かるくっきりと浮かぶ貴方の分身に。このまま食べてしまいたい、貴方に。
「…ね…こっち…こっちを…ちょうだい…ね……」
「―――うん…原さん…もう僕も…我慢出来ない……」
そう言って一端貴方は私の中から指を引きぬくと、ズボンのファスナーを下ろした。そこからは熱く硬くなった貴方自身が外へと出された。それを見ただけで、私は身体が火照るのを抑え切れない。ソレが欲しくて…ソレで貫かれたくて……。
「…ちょうだい…いっぱい…いっぱい……」
耐えきれずに私は腰を浮かせると、震える手で貴方のソレに指を添えた。そして入り口に楔をあてがうと、一気に腰を降ろした。
繋がっている時が、一番。一番、しあわせ。
だって貴方の存在を。貴方が生きているという事を。
…私が、私自身が…感じているから。
―――私の身体が、貴方の生を確かめているから……
ずぶずぶと濡れた音とともに私は貴方を飲み込んだ。繋がった個所が微かに目を開けた視界から見える。私の花びらが貴方の肉棒をずっぽりと飲み込んでいる様子が。
「…あああっ…ああん!…ああああんっ……」
その様子がまた、私の身体を熱くさせる。充血した媚肉が貴方を締めつけ、淫らに蠢いている。
「…原さんっ…はぁっ……」
きつく締め付けると貴方の顔が快楽で歪む。その顔が好き。その堪えきれず零れる声が、好き。その表情で、その声で、私は濡れるのよ。
「…あぁぁ…狩谷くん…っ狩谷…くぅんっ…はぁぁぁっ!!」
「…原さん…原さん…あぁ……」
自ら腰を揺すって、貴方の楔を求めた。ずぶずぶと抜き差しを繰り返すたび存在感を増す貴方が愛しかった。このまま。このまま全部、飲み込んでしまいたい。
「…あぁ…もぉ…私…私…あぁ……」
「…僕も…原さん…中に……」
「…出して…いっぱい…いっぱい私の中に…ねっ……」
「――――っ!」
「ああああああっ!!!!」
ぐいっと強く腰を引き寄せられて、そして私はイッた。貴方の熱い本流を感じながら。
昨日、夢を見たの。貴方の夢よ。
貴方がね、死ぬ夢。私を置いて死ぬ夢。
馬鹿みたいだけど、目覚めた瞬間。
…目覚めた瞬間、私苦しくて哀しくて…泣いていたのよ……。
貴方に聴いて欲しいの。笑わないでね。
笑ったらイヤよ。だって本当に。本当に。
私貴方が死んでしまったような。貴方を失ってしまったような。
そんな気持ちになったんだから。だから、ね。
笑わないで聴いてね。ちゃんと、聴いてね。
「…私の中に…貴方がいる……」
まだ繋がったままでいてね。感じたいから。
「…貴方が…いる……」
生きているって事を、確かめたいから。
「…大好きよ……」
貴方の全てを、私の全てで感じたいから。
「――――うん…いるよ…貴方の中に…僕はいるよ……」
見つめあって、繋がったままキスをした。
こうして上も下も繋がって、絡み合って。
絡み合って、ぐちゃぐちゃになったら。そうしたら話すから。
昨日見た夢を話すから、笑わないで聴いてね。
――――ちゃんと、全部、聴いてね……
END