―――気まぐれで、そして。そして何よりも淋しがり屋な私の子猫。
「一緒にお風呂に入ろう」
背中から抱き付いて、君は言った。何時も君は猫のように気まぐれで、そして。そして私を手玉に取る。
「――素子…君は……」
「一緒に、入ろう」
背中に当たる胸の感触はわざとだ。君はそうして私を追い詰めて、拒めないようにする。伸びてきた手が、私のひげに触れた。
「これも剃ってあげるから」
「別に私は剃りたいとは思いませんが」
「めーなの。キスする時に痛いでしょ?」
「…って…前はその感触がイイって言ってたでしょうが」
「気が変わったの。ヒゲのない貴方が見たい」
にゃん、と猫のように鳴いて。君はすりすりと背中に頬を寄せて来た。時々こんな子供染みたことを君はする。でも私はそんな所に弱かった。
「ね、一緒に入ろう?」
手が離れて、私の前に君は立つ。見上げれば、君は子悪魔のように微笑っていた。
そんな顔も君がするとひどく可愛くて。
「―――分かったよ…」
私は断ることが出来なかった。結局私は君には絶対に勝てることはないのだから。
かみそりの歯が、顎に当たる。シェービングクリームを大量に付けながら、君は楽しそうに私のヒゲを剃った。
「ふふ、このクリームちょっとくすぐったい」
君の白い胸に白い泡。そこからぷくりと立ちあがったピンク色の乳首が、湯気の中でも鮮やかに私の瞳に映る。それを私は軽く抓った。
「…あんっ!…ダメよ…まだ剃り終わってない…」
「いいですよ、もう…それよりも君に触れたい」
「…えっちなんだから…もう」
「君もだろう?目が誘ってる」
「ふふ、だって私」
君の手からカミソリがトレーの上に置かれる。そしてそのまま手に残っているクリームを、自らの身体になすり付けた。
「貴方の事が好きなんだもの」
そしてそのまま奪うように君は私にキスを、する。
「ねえ、全部丸見えよりもこの方がえっちくさくない?」
シェービングのスプレーを手に取ると大量に泡を出した。そして君はありとあらゆる所に、それを擦り付ける。肝心な個所を見えないようにする君は、確実に知能犯だ。
「私の趣味だと言いたいのかい?」
「うん、だって好きでしょう?」
「―――否定はしない」
「…あんっ……」
泡まみれになった胸を柔らかく揉んだ。プシュッと小さな音と共に、白い泡から乳房が覗く。その微妙な隠し具合がイイ。
「…あぁん…今日は…ぁっ…」
「うん?」
「…優しく…揉む…のね……」
「強くしたら泡がなくなってしまうからね」
「…もぉ…マニアなんだからぁ…ああ……」
ピンクの胸の果実がほんのりと紅く染まる。それをきゅっと指で摘みながら、そこだけ泡を擦ってなくさせると、そのまま口に含んだ。
「…あぁぁ…ん……」
こりりと少し硬くなっているソレに歯を立てて、強い刺激を与えた。するとソレはたちまちびんと痛い程に張り詰める。
「…やぁん…優しくして…くれないのぉ?…」
「――君が物足りなさそうにしてたから」
「ああんっ!」
ガリリと音がするほどに乳首を噛んだ。微かに血の味が口に広がるほどに。けれども君は、その方がイイ声で鳴くから。蕩ける程の甘い声で。
「…あぁ…ん…あんっ…あん……」
抱き寄せてそのまま膝の上に乗せた。胸から口を離さずに。そうしておいてから私は空いている方の手でシャワーを掴むと、そのままコルクをひねった。熱湯が大量に溢れ出す。
「やんっ!何するのよっ…あっ……」
君の背中に熱湯を浴びせながら、そのまま下へと滑らせてゆく。そして腰を軽く浮かせると、そのまま熱湯を双丘の狭間に当てた。
「…あぁっ…善行…くん…熱いよぉ…あ……」
放出量を最大にして、そのまま溢れている部分をゆっくりと穴へと埋めてゆく。君の器官の中に熱湯が注がれてゆく。
「…やぁっ…止めてぇ…熱い…熱いったらぁ…あぁぁ……」
軽くシャワーの先端を肉の中へと埋めてやれば、君の身体が耐えきれずに震えた。飲み込みきれない水が君の後ろの入り口から零れて来る。それを暫く眺めてから、君の蕾の入り口を指でなぞった。
「あああんっ!」
後ろから溢れてくる水を花びらに指で擦り合わせる。何度も何度もくすぐったいような愛撫を入り口に繰り返せば、何時しか水以外の液体が混じってくる。
「…あぁぁっ…あん…善行…くん…止めてぇ…熱いよお…溢れ…ちゃぅぅ……」
「後ろより前の方がいいのかい?」
「――ひゃあっ!!」
後ろを征服していたシャワーの水をそのまま前の花びらに当てた。ジュアアーーと大量の熱湯が花びらを…その奥の媚肉を濡らしてゆく。
「…ひゃあんっ…あぁん…やぁっ…ん……」
「イイのかい?素子」
「…やぁぁっ…ん…熱い…熱いよぉ…やだぁ……」
君はイヤイヤと言うように首を左右に振った。けれどもその仕草とは正反対に、君の花びらは淫らに蠢き、刺激を求めている。
「でも君のココは、そうは言っていないよ」
「―――あああっ!!」
後ろの時は先端しか埋めなかったシャワーを、今度は半分まで埋めた。何時もと違う鉄の感触が花びらを犯して、その刺激に君は耐えきれずに甘い悲鳴を上げた。
「…やぁぁっ…抜いて…いやぁんっ…やぁ……」
「その割に随分と飲み込んでいるけれども…下の口は正直みたいだけどね」
「…やぁ…やあ…やぁぁ…お願いだから…抜いて…善行くん…私……」
「私?もっと欲しいのかい?」
「…違う…わ…私…貴方のが…貴方のが……」
震えながら君の手が、私自身に触れる。それは君の乱れる姿のお蔭で充分な硬度を持っていた。
「…コレ…が…欲しいのぉ…熱いのが欲しいのぉ……」
「さっきは熱いのはイヤだと言っていなかったかい?」
「…だって…だって…貴方のじゃないから…私は…」
「…貴方が…欲しいのぉ……」
君の言葉に私は。私はどうしようもなく君が、愛しくて。どうしようもなく愛しくて。シャワーを君から抜くと、そのままきつく抱きしめた。
「ああああ―――っ!!!」
貫いた瞬間、君は満足したように甘い悲鳴を上げた。その声を聴きながら、私は下から君を突き上げる。その度に身体が、乳房が揺れて君をより一層淫らに見せた。
「…あああっ…あぁぁ…はぁぁっ……」
ガクガクと腰を揺さぶれば、背中が仰け反るほどにその声は私に答えてくれる。背中に手を廻し、白くなるほどに爪を立てながら。
「…あぁぁっ…善行…くんっ…あああんっ!!」
君の髪に指を絡めて、そのまま唇を塞いだ。ぴちゃぴちゃと音を立てながら、舌を絡める。上も下も、こうして。こうして君と、繋がって。
「…んんんっ…んんんん…ふぅんっ……」
繋がって交じり合って、そして。そして何も溶け合って。ぐちゃぐちゃに、溶け合って。
「―――――っ!!!!!」
最奥まで、貫いて。私は君の中に欲望を吐き出した。
「…ヒゲ……」
「ん?」
「…やっぱり…あった方がいい……」
「どうして?」
「…だって…こうして…繋がっている時に…触れている時に……」
「…ああ貴方なんだなって…実感出来るから……」
その言葉に私はひとつ微笑って、そのままキスをひとつした。
本当は誰よりも淋しがり屋な君に。君の為に。
―――私だと分かる、ヒゲの感触のするキスを……
END