―――世の中ってのは、どう転ぶか分からない。
現に今、自分が置かれている状況が現実に起こるとは思ってもみなかったことで。はっきり言って玉砕覚悟だったのに、それなのに今。今俺はこうして、憧れのお姉様の膝の上にいたりする訳で…えっと…。
「くすくす、髪痛んでいるわよ」
白くて細い指が俺の髪をそっと撫でる。その手は柔らかくて触れられるだけでどきどきせずにはしられなかった。
「あ、俺…何時も外駆けずり回っているから…」
「男の子は元気が一番よ。お姉さんは元気な子、大好きよ」
うわーっ顔が近付いてくる…つーかアップで俺の前で微笑っている。何時も綺麗だと思っていたけど、間近で見ると益々綺麗だなと思った。すっきりと整った顔と、長い睫毛と、切れ長の瞳。大人の女性の色気って…こう言うのを言うんだろうな。
「見惚れた?滝川くん?」
あまりにも俺がぼーっとしていたせいだろうか、見破られるように聴かれてしまった。流石年上。ああでも本当に信じられない。
「はい、見惚れました。原さん…美人だから…」
憧れの人が俺の彼女だなんて。本当に、世の中どう転ぶか分からない。こんな風に膝枕される日が来るなんて夢にも思わなかったから。
「上手いわね。でもそんな貴方が大好きよ」
ご褒美、と言って。そう言って俺にキスしてくれた。それだけで俺、めろめろになってしまう……。
瞳がね、真っ直ぐだったの。
真っ直ぐに私だけを見てくれたから。
だから嬉しかったのよ。
貴方には分からないかもしれない。
ううん、分からなくていい。
私が一番欲しかったものを、貴方が。
―――貴方だけが、くれたのよ。
「あ、あの原さん――っ!」
起き上がろうとして顔を上げたら、柔らかいものが当たった。それが原さんの胸だと気付くのに約一秒。そして気付いた時には咄嗟に顔を離した。
「わーっごめんなさいっ!俺……」
びっくりした。物凄く柔らかかった。俺胸なんてかあちゃんのくらいしかしんねーから…本当にびっくりした。柔らかくて気持ち良くてずっと。ずっと顔を埋めていたいような…。
―――と、そんな事を思ったら…ちょっと俺…そのヤバくなってきた……
「えっちね」
そんな俺にくすりと原さんは微笑う。微かに頬を染めながら。その顔を見ていたら俺…その俺マジで…ヤバかったりする訳で。
「す、すみません」
起き上がって膝から離れようとしたら原さんの手がまた俺の髪に掛かった。そのまま俺を抱き寄せる。またしても胸の感触が俺の頬に当たって。柔らかい胸の、感触が…。
…と言うか、俺のムスコがめっちゃ元気になってきているんですけど……
このまま胸に顔を埋めていたら本当にヤバくなって顔を上げた。そこには原さんの何時もの大人の笑顔がある。微かに潤んだような瞳と、そして艶やかに濡れた唇。その唇がさっき、俺のに触れて。触れて…。そう思ったら俺の中で何かがぷちっと、切れた。
大好きよ、貴方の事。
可愛くてどうしようもないわ。
食べちゃいたいくらい、可愛いの。
可愛くて、大好きなの。
「―――原さん、俺はっ!!」
耐えきれずに俺は原さんの手首を掴んでそのまま押し倒した。はっきり言って身長差がほとんどないのが哀しい。お陰で押し倒しても、視線の位置が同じだったりする。
「…た、滝川くん?……」
びっくりしたような瞳で俺を見上げる原さんに、耐えきれずに俺はキスをした。はっきり言って自分からするのは初めてだったりする。何時も最初にしてくれるのは原さんだったから。
「…んっ…んん……」
きっと滅茶苦茶へたくそだったんだろう。それでも懸命に俺はキスをした。唇を開かせて舌を忍ばせ、がむしゃらに原さんの舌を吸い続ける。
「…ん…はぁっ…ん……」
最初びっくりしたように逃げまとっていた原さんの舌も、何時しか俺以上に積極的に絡んできた。ぴちゃぴちゃと濡れた音が室内を埋める。狭い部屋の中でそれだけが全ての音のように。
「…んんっ…んんん…ふぅんっ……」
原さんの手が俺の背中にしがみ付いて、強く引き寄せられた。そうする事で両の胸が俺の下で潰される。布越しから感じているのに、それなのに生々しい感触が俺に伝わって。
「…はぁっ…あ…ん……」
唇が離れても、キスを開放しても。しばらく身体が、動かせなかった。
「…原さん俺…その…原さんが好きです…すげー好きです。だからそのっ!」
「私も滝川くん、貴方が大好きよ」
ちゅっとおでこにキスされた。ふわりと薫る髪の匂い。その薫りがまた俺を刺激して。刺激、して。
「――あんっ!」
耐えきれずに俺はその胸に手を伸ばして触れた。服の上からだったけど、柔らかさが指に伝わる。それが堪らなかった。
「…あんっ…もぉ…滝川くんったら……」
柔らかく揉もうとしても、手が緊張してきつく揉んでしまう。けれども返ってその刺激が原さんには感じるらしかった。口ではそう言いながらも、胸を俺に突き出してくる。
「…あぁ…ん…ダメよ…滝川くん…ちゃんと……」
原さんは俺の手を掴むと、そのまま胸から離した。そして自ら着ていたシャツのボタンを外して。
「…ちゃんと直に、触ってくれないと…ね」
その続きを俺に促した。俺は少し緊張で震える手のまま、ボタンをひとつひとつ外してゆく。その間にも大きな原さんの胸は下界に出た開放感からか、ブラの上からでも明らかに分かるほどにぷるんっと震えた。
「あブラも…外していいですか?」
「バカ、そんな事は聴かないの。ちゃんと全部外して…そして触れて、ね」
こんな時本当にバカだけどごくりと唾を飲み込んでしまった。初めてですってのが分かってめっちゃ恥ずかしい…と言うか女の子と付き合うこと事態も初めてで…そして当然こんな事をするのも、初めてな訳で…。
「…あ、…綺麗だ…凄く…」
ボタンを全部外してブラウスを脱がせ、フロントホックのブラを外した。俺ブラのホックが前にあるなんて知らなかったから、原さんに聴いたら『その方が脱がしやすくていいでしょう?』と笑って答えてくれた。
―――と言うか俺が外しやすいように何時もフロントホックにしていたのよって後から教えてくれたんだけど。
でも今の俺には当然そんな余裕もなくてただ。ただ上半身裸になった原さんの綺麗な肌に呆然とするだけで。
「くすくす、そんな顔でそんな事を言ってくれると…お姉さん本当に喜んじゃうからね」
そう言ってまた、おでこにちゅってしてくれた。それを合図に俺は勇気を振り絞って直に胸に触れる。触れただけでむにゅっとそれは形を変えた。
「わ…やらかい…」
つい口に出してしまった言葉に原さんはくすくすと微笑った。そしてそのまま俺の手に指を重ねて、上から掴んだ。そうする事で俺の指の隙間から、原さんの白い胸の肉が零れる。
「…あんっ…あぁ…そう…もっと強く…揉んで…ね……」
最初は原さんの加えてくる力で揉んでいたが、次第に自分のペースで揉むようになっていた。柔らかい胸をぎゅっと揉み、指先で乳首に触れた。ピンク色の突起は触れただけでぴくんっと反応をする。
「…あぁん…あんっ…イイ…滝川…くんっ…あっ……」
「原さん…俺……んっ……」
片方の胸を指で激しく掴みながら、俺は尖った胸の果実を口に含んだ。まるで赤ん坊のようにがむしゃらに乳首を吸い上げる。その度にぴくんぴくんっと原さんの身体が跳ねた。
「…あぁっ…あんっ…あん…あんっ……」
気持ちよさそうな声が口から零れてくる。甘く魅惑的な声。それだけで俺はもう。もう何も考えられなくなっていて。ただひたすらに原さんの胸を弄っていた。
「…滝川くん…あぁん…イイ…イイわ…凄く…あ……」
髪を撫でながら、俺を引き寄せて。そして胸を突き出して。俺はその甘い薫りに包まれながら、何時しか自分の分身が限界まで来ている事を感じた。このままでは、マズイ。
「…滝川…くん……」
それに気付いたのか原さんは俺の髪から手を離した。そして。そしてその手を俺のズボンのファスナーへと移すと、そのままジッパーを下ろした。ジィーと言う音がひどく耳に響く。それが恥ずかしくて今更ながらに俺は頬を赤らめた。
「…フフ、貴方のココ元気ね……」
下界に出てきた俺の拡張を原さんは愛しそうに指で撫でた。それだけでも限界まで来ている俺自身は先端から先走りの雫を零し始めている。それを見て原さんはまた淫蕩な笑みを浮かべた。
「…滝川くん…立って……」
その笑みに逆らえず俺がその場に立つと、原さんは俺の前にしゃがみ込んだ。そして剥き出しになった俺自身を口に咥えると、そのまま生暖かい舌でしゃぶった。
「…は、原さんっ!……」
「…いいわよ…気にしないで…いっぱい、出してね……」
その行為に驚いて身体を引いた俺に原さんはそう言った。そしてまた俺をその柔らかい口の粘膜で包み込む。舌で絡められて、先端に軽く歯を立てられればそれだけで俺は情けないほどに限界がやってきた。
「…んん…ん…んんんっ!!」
―――ドヒュッと言う勢いのある音と同時に、原さんの口の中に欲望を吐き出した。
ごくんっと、音がして原さんがそれを飲み込んでいるのが分かる。口許から少し俺の精液が零れたが概ねその喉が俺の欲望を飲み込んだ。
「―――っ!」
「…元気な子は私、大好きよ……」
欲望を吐き出した筈なのに俺の分身はたちまちに回復してくる。ぴんっと指先で先端を跳ねられれば、脈打つほどに硬さが復活していた。
「…次はココで…出してね…」
「…あ、原さん……」
手を掴まれてそのまま原さんの秘所に導かれる。茂みを掻き分けて、柔らかい肉が俺の指に触れる。そこは既にじわりと湿っていた。
「…あっ…ふっ…んっ……」
俺はそのまま指を中へ入れると、ぐるぐると掻き回す。その度にびくびくと原さんの肩が小刻みに揺れた。そのまま俺は覆い被さるように原さんの身体を再び横たえさせると、蜜が指先に伝わるまで丁寧に媚肉を掻き乱した。
「…あぁ…ん…はぁぁっ…ん…あんっ……」
充分に濡れたのを確かめて、俺は原さんのソコから指を引き抜いた。それを確認して原さんは膝を立てて、秘所を広げる。そして一番奥の穴を自らの指で開いて。
「…間違えないでね…ココだから…ちゃんと、挿れてね…滝川くん……」
潤んだ瞳で俺を見上げて、荒い息のままそう言った。俺は充分に硬度を持った自身を掴むと、そのまま原さんの入り口にソレを当てた。
―――ズズズ……
濡れた音を発しながら、俺の分身が原さんの中へと挿ってゆく。熱く淫らな肉が、俺自身をぎゅっと締め付けた。
「ああああんっ!」
与えられたモノに満足したように原さんは甘い悲鳴を上げる。喉を仰け反らせながら、手を俺の背中に廻して引き寄せた。
「…あああっ…ああんっ…あんあんっ!」
脚を腰に絡みつけ、ぎゅっと引き寄せられる。その度に俺のソレが奥へと挿いってゆき、益々媚肉が俺をきつく締め付けた。
「…あ、原さん…俺……」
気持ち、よかった。気が変になるくらいに、気持ち良かった。熱くて狭い原さんの中で、俺自身が溶けてしまうと思えるほどに。思えるほどに気持ち、良くて。
「…あぁ…滝川くん…もっと…あぁ…もっと…奥まで……」
言われるままに俺は腰を突き出し中へ中へと挿ってゆく。奥へと楔が侵入するたびに、どんどん俺を締め付ける力は強くなってゆく。貪欲に媚肉が俺に、絡みつく。
「…あぁぁ…イイ…イイ…滝川くん…凄い…深いっ…あああ……」
「…原さん…原さん…俺……」
「…あああっ…ああんっ…あぁ…もう…私…私…イッちゃう…ああ……」
「…俺も…もう…ダメです…原さん…原…さ……」
「―――あああああんっ!!!!」
一瞬、視界が真っ白になった。そして気付いた時には俺はその身体の中に、熱い欲望を吐き出していた……。
好きよ、大好きよ。貴方が、大好き。
嘘も駆け引きも何もない、真っ白な。
真っ白なこころで、私を見てくれる。
私を好きだって、言ってくれる。
そんな貴方が。そんな貴方が、私は。
―――私は誰よりも…好きよ……
「…原さん…その…ごめんなさい……」
「…どうして…謝るの?……」
「だって俺…無我夢中で…初めてで…その下手…だし…」
「くすくす…バカね…そんな事よりも…」
「…貴方の気持ちが伝わって…嬉しかったのに……」
「…で、でも俺……」
「…嬉しかった…伝わったから…真っ直ぐな気持ち伝わったから…だから嬉しい…」
「…は、原さん……」
「…本当よ…大好きよ…そんな貴方が…」
「…一番、好き……」
そう言って原さんは微笑った。それは俺が今まで見た原さんの顔の中で一番。一番、綺麗なモノで。そして。そしてまたおでこにひとつ、ちゅってしてくれて。そして。
子供のようにぎゅっと、俺に抱き付いてくれた、から。
「…俺も…一番…大好き、です……」
END