――――何時か海に行きたいねって、言った。
子供の頃、指を絡めてした約束。
何時か皆で海に行こうって。
私とあんたと、お母さんとお父さんで。
家族になった私達の記念に。
これからもずっと、家族でいられるようにと。
砂の上に文字を書いたら、後ろから抱きしめられた。そうしてそのまま被さるように口付けられる。
「…馬鹿…誰か見ていたらどうするのよ……」
憎たらしいあんたの顔を見上げながら、頬をぎゅっと抓ってみた。けれどもあんたは楽しそうに笑って。
「大丈夫、こんな冬の海に来る酔狂な人間なんて僕等くらいだよ」
もう一度キスされた。触れるだけの優しいキス。何度も何度も唇を啄ばむように。まるで小鳥のようだね、と思った。でも私達はもう子供ではなくて、自分の意思を持った個別の人間だった。
波が押し寄せて、砂の上の文字をさらってゆく。
その砂のように私達も、さらわれてゆくのだろうか?
ひとつひとつ私達の『子供』がさらわれていって。
そして大人へと、なってゆくのだろうか?
「…ふっ…あ……」
唇は触れたり離れたりしながら、あんたの手は私の胸を服の上からなぞる。布越しなのに私の口からは甘い声が零れた。
「…止めて…茜…こんな所で……」
「止めない、だって姉さん感じている」
「…あっ…ヤダっ……」
ぷちんっと音がして、胸のボタンが外される。そのままブラの下に手を忍ばせられて、直に揉まれた。それだけで敏感な私の乳首はぷくりと立ちあがった。
「…止め…茜…あぁん……」
両の手をブラの下に入れられて、そのまま揉みしだかれる。ぎゅっと力を込められれば耐えきれずに私は、体重をあんたに預けるしかなかった。
「こんなになっているよ。ココ、立ってる」
「ああんっ」
ブラの上からもはっきりと乳首が立っているのが分かる。それがひどく恥ずかしかった。どうしようもなく恥ずかしくて、私はイヤイヤと首を振った。けれどもあんたの手は止まる事がなくて。
「やぁんっ!」
ぷちっと音がしてブラノフロントホックが外される。ぽろりと胸が剥き出しになってしまう。恥ずかしくて両手で覆おうとしたが、あんたはそれを許してくれなかった。
「駄目、姉さん…ココは僕のもの」
「…止め…やだぁ…茜…あぁ…」
耳元で囁かれ、そのまま耳たぶを噛まれた。ソコは私の最も弱い部分だった。耳たぶを噛まれると身体ががくがくと震えてしまうのを止められない。もう独りで立っていることが出来なくて、胸を隠そうとした手も、何時しかあんたのシャツをぎゅっと掴んでいた。
「…あぁ…駄目…はぁぁっん……」
きゅっと乳首を摘まれ、乳房を揉まれる。耳たぶは噛まれたままで。もう私の脚はがくがくと震えて、立っているのがやっとだった。
「姉さん可愛いよ。大好き」
「…あぁ…駄目…もぉ…私…あぁぁん……」
胸を弄っていた手が不意に離れる。けれども開放されたと思ったのは一瞬の事だけだった。あんたの手は私のズボンに掛かると、そのまま下着ごと下ろされてしまう。膝の中途半端な所で止められて、益々私は身動きが取れなくなった。
「全部、好き。ココも…ココも……」
「―――あああんっ!!」
茂みを掻き分けられ、蕾に指が差し入れられた。ソコは既に分泌液でほんのりと潤っていた。
「…あぁ…あ…いや…駄目…止めて……」
「可愛いよ姉さんのココ…こんなに濡れて」
「…だめぇ…あ…あんっ…あんっ」
「べとべとになっているよ、僕の指」
あんたの言葉通りだった。その指が奥へ、奥へと入ってゆくたびに。そのたびに私のソコからは蜜が滴ってくる。とろとろ、と。
「あぁ…もお…だめぇっ……」
―――ビクンッ!!私の身体は、大きく跳ねた。その瞬間あんたの手に蜜を大量に分泌させていた。
ひとつ、ひとつ、失くしてゆくもの。
ゆっくりと、私からなくなってゆくもの。
そしてその隙間を埋めるように、得るものは。
この手に入れてゆくものは。
――― 一体、何だろうね?
砂が、身体に散らばった。けれども一度火の付いた身体は、もう止める事が出来なかった。背後から抱きしめられたまま、砂浜に押し倒される。ズボンは膝の下に掛かったままで、まともに動く事は出来なかった。
「…あ……」
後ろから抱きすくめられ、覆い被さってくる。そのまま乳房を揉まれて、再び私の蕾がじゅんっと濡れた。
「…はぁっ…あぁぁ……」
何度も揉まれて、耐えきれずに砂を掴んだ。けれども砂はただ。ただ指を擦りぬけてゆくだけで。
「姉さん、イイ?」
「…あぁ…あ…」
耳元で囁かれると同時にズボンのジッパーが下ろされる音がした。そのまま私の入り口に硬いモノが当たる。反射的に私は腰を引いたが、膝に掛かったズボンのせいでそれは叶わなかった。
「もう僕我慢出来ないんだ」
「…あか…ね…―――あああっ!!」
ズンっ!!と下腹部が圧迫されたと思ったと同時に、熱いモノが私の中に入ってくる。めりめりと内壁を引き裂くような硬さと、どろどろと中を溶かすような熱さで。
「…あああっ…あぁ…熱い…熱いよぉ……」
「うん、姉さんの中…凄く熱いよ…そして凄く気持ちイイ」
「…あぁぁ…あぁ…もぉ…だめぇ…うち…だめぇ……」
中を掻き乱す楔は抜き差しを繰り返す事により巨きく硬くなってゆく。ぐちゅぐちゅと接合部分が卑猥な音を立てるたびに、私の意識は飛ばされてゆく。
「…だめぇ…うち…もぉ…もぉ…あああ……」
後ろから腰を打ち付けられ、中を深く抉られる。子宮まで突き破りそうな熱い塊に、もう私はどうする事も出来なくて。どうする事も、出来ないから。
「―――姉さん、出すよ」
「…やぁぁ…ああああああっ!!!!」
どくどくと音が響いてくる。それと同時に私の中に白い欲望が大量に吐き出された。
『家族』になりたかった。
暖かい家族に。誰も傷つけることのない家族に。
誰も傷つく事のない、家族に。
家族に、なりたかった。
私ね、あんたを護りたかったの。
いっぱいいっぱい傷ついたあんたをね。
あんたを護る為ならば何だってしようて。
しようて、そう思っていたから。
…それが愛と気付いたのは…何時だったかなぁ……
「砂と……で、ぺとぺと……」
「砂と、何だって?姉さん」
「―――っ!私の口から言わせる気っ?!」
「うん、姉さんの口から聴きたいなぁ。でもそうしたら」
「また僕欲情しちゃうかもね」
―――バカっ!と言う代わりに、顔面いっぱいに砂をかけてやった。
それはひどく子供じみている行為で。まるで子供に戻ったような行為で。
私達はもしかしたら、ずっと。ずっとこんな風に。
何よりも大切な家族で、何よりも大切な存在なのかもしれない。
でも、それでもいいよね。それで、いいよね。
私達はずっと。ずっと一緒にいるんだから。
それがどんな形であろうとも『家族』を作るって事が。
私達が本当に欲しかったもので、必要なものだったから。
―――何時か、ふたりでしあわせな『家族』を作ろうね。
END