眩暈がする程の口付けと、壊れるほどの愛しさと。どれが私にとっての一番欲しいものなんだろう?一番欲しいものは、一体何なんだろう?
噛み付くような口付けに溺れながら、強く揉まれた胸の刺激に身体を震わせる。痛いほど乳房を掴まれて、そのままぎゅっと握りつぶされるような感覚。
「…ふっ…んんっ…はぁぁっ……」
胸の刺激に耐えきれずに唇を離したら、貴方はひどく子供のような笑みを浮かべた。それは本当に無邪気で、今自分のしている行為の意味すら知らない程の。
けれどもその笑みを裏切っているのは、巧みなその指先。女の子のように華奢で綺麗な指が、どんなに淫らに私の身体を滑ってゆくのかこの身を持って知っているから。だから。
「…優しく…して、ね…速水くん……」
背中に腕を廻し、白いシャツをくしゃりと乱しながら私は言った。少し舌ったらずな声で、甘えるように言った。そうしたら貴方はそっと。そっと私の髪を撫でてくれて。
「ごめんね、原さん。でもそのくらい貴方の事が、今欲しいんだ」
子供のような笑顔で、けれども子供じゃない声で貴方は言う。それがどんなに私の睫毛を震わせ、吐息を震わせるかは…貴方は気付いているのかしら?
二度と本気の恋はしないと思っていたのに。
誰かを真剣に愛したりしないと決めていたのに。
なのに捕われた。貴方に、捕われた。
身も心も全部絡め取られて。全部、絡め取られて。
でもしあわせ。凄く、しあわせ。私は満たされている。
息も出来ないほどの恋に溺れて、私の全ては満たされている。
制服の上から揉まれるのがもどかしくて、一端手を離させると自分から服を脱いだ。ブラのホックを外す指すら躊躇いがなかった。羞恥も戸惑いも何もない。私は今貴方に触れて欲しかったから。貴方と触れ合いたかったから。
「…いっぱい、触って…ね…速水くん……」
スカートと下着だけを身に着けた状態で、私は二つに並べてあった机の上に身体を横たえた。そんな私に貴方は覆い被さると、両の胸に強く指を這わした。
「…ああんっ!……」
痛いほどの力で揉まれる。すぐに乳首はぷくりと立ち上がり、痛い程に張り詰めた。それを見届ける間もなく、貴方の口がその突起を含む。ぴちゃぴちゃと音を立てながら舌で嬲られて、私の身体は痙攣するのを止められなかった。
「…あぁっ…あんっ…速水…くんっ!……」
唾液のせいで乳首がねっとりと光る。それでも貴方の舌の動きは止まらなかった。舌先でちろちろと嬲りながら、外側の柔らかい部分を鷲掴みにする。ぎゅっと握りつぶされるほど強く揉まれて、思わず私の身体はびくんっと跳ねた。
「…あぁんっ…もっと…優しく…してっ…やぁんっ…」
「嘘ばっかり、原さん。こんな風にされて嬉しいくせに」
「…そんな事…ない…わ…あっ!」
がくんっと身体が跳ねる。胸を弄っていた貴方の手が膝を割り、私の割れ目にパンティーの上から触れたからだ。そこは既にじわりと湿っていた。
「だってもう濡れているよ、ね。本当は嬉しいんでしょう?」
「…バカ…そんな事…言わないでよ……」
「どうして?こっちはこんなに正直なのに?」
「…ひゃんっ!……」
ぴちょりと、濡れた音が耳に響く。布越しに触れられているだけなのに。なのに、ソコはじんわりと濡れ、貴方の指を湿らせている。
「…やぁんっ…ダメぇ…あぁんっ…はぁっ……」
「何がダメなの?こんなにしているのに」
貴方が耳元で囁くたびに子宮がじゅんっと鳴るのが分かる。零れる吐息は甘い喘ぎになり、組み敷かれている身体は火照りを止められない。身体が、心が、貴方を求めているのを止められない。私の全部で、貴方を求めているのを。
「…だって…優しくして…くれないから……」
それでも最後の抵抗とばかりに告げた言葉に、貴方は子供のように笑った。駄目だ、私…この笑顔に弱いのよ。この笑顔が、大好きなのよ。
「原さん、可愛い。子供みたいな我が侭だ。でも好きだよ」
「…速水くん……」
「大好きだよ」
そう言われて、キスされて。蕩けるほどのキスをされて、私は芯から貴方に侵されていった。
ずぷりと、指が中に入ってくる。パンティーを剥ぎ取られ、じかに濡れた指が私の中に入ってくる。掻き分けるように奥に進む異物に、私の蕾はひくひくと震えながら悦んだ。
「…くふっ…はぁっ…あぁぁっ……」
中を掻き回されるたびに、身体が揺れる。それと同時に胸が揺れる。端から見たら私、凄くイヤらしい女なのだろう。でもね。でも、それだけ私は貴方を感じているのよ。
「…あぁっ…あんっ…あんっ…速水くんっ…あぁ……」
「原さんのココは何時も熱いよね。中はぐちゃぐちゃに溶けてるよ。いっぱい濡れているし、イヤらしいんだね」
「…あっ…そんな事…言わないのっ…あぁぁっ……」
「だって本当の事だもん。僕の指ぐちょぐちょだよ。それにこんなにきつく締め付けてるし」
「ひゃあんっ!」
くいっと中で指を折り曲げられた。その刺激に内壁が激しく収縮する。同時に滴る蜜が、今の刺激を私がどれだけ感じているのかを伝えていた。
「…あぁっ…ダメぇ…あぁん…私…っ…わたしっ……」
小刻みに震える脚を、貴方はぐいっと広げた。そして私のソコを剥き出しにする。イヤらしく蜜を滴らせ、蠢くソコを。
「綺麗だね、原さんのココ。大好きだよ」
「あぁんっ!」
ちゅぷりと音とともに貴方の口が私の蜜を吸った。とろとろと零れる蜜を、舌で掬い上げそのまま味わってゆく。ちゅうちゅうとわざと音を立てて飲むのは、私の快楽を煽る為なのだろう。
「…はぁ…はぁ…速水…くん…もぉ…もぉ…口よりも……」
震える手で髪に触れ、そのまま顔を引き剥がした。上目遣いに私を見上げる貴方の瞳に吸い寄せられる。このまま食べてしまいたいと、思えるほどに。けれども今は。今は、私は貴方に食べられたいから。
「欲しいの?原さん」
「…うん…欲しい…欲しいよぉ……」
「僕も、欲しいよ」
また貴方が笑う。その顔に弱いのよ、と呟く前に貴方はズボンの前だけを肌蹴た。充分にそそり立っているソレに、私はぞくぞくするのを抑えきれなかった。このままコレが私の中に入ってくるのかと思うだけで。その刺激を、想像するだけで。
「原さんだけが、欲しいよ」
腰を掴まれ入り口にソレが当たって…そのまま中に挿ってきた。この瞬間を私は眩暈がするほどに求めていた。
溺れている。全部、溺れている。貴方に、溺れている。
つま先から、睫毛の先端まで、全部。全部、溺れている。
貴方に溺れている。貴方だけに、溺れている。
背中のシャツをくしゃくしゃになるまで握り締めた。背中に爪を立てる変わりに、強く引き寄せる。引き寄せて、そして。そして貴方を貪った。
「ああんっ!あああっ!!」
貫かれる痛みよりも受け入れる悦びが全身を支配する。逃したくなくてきつく締め付けて、貴方の硬さと熱を感じる。それだけで、痺れるほどの快感だった。
「…あんっあんっ!…あぁぁっ!!……」
「原さん、原さん」
がくがくと腰を揺さぶられ、その振動で両の胸が激しく揺れる。押し広げられた蕾が淫らに蠢き、擦れ合う肉が焼けるほどに熱かった。このまま、溶けてしまいそうなくらい。
「…速水くんっ…あぁぁっ…もっと…もっとっ…あああんっ!!」
繋がっている個所からぐちゅぐちゅと零れる卑猥な音すら、全てが私にとっての快感だった。何もかも気持ち良くて、全身が性感帯になったみたいで。
「…原さん…好き…大好き……」
「…あぁぁっ…私もっ…私も…速水…くっ…あああっ!!」
内側に吐き出された熱い液体みたいに、私もこのまま。このままどろどろに溶けてしまいたかった。
「…溶けちゃいそう……」
どろどろに、溶けてしまいたい。溶けちゃいたい。
「ダメだよ、そうしたら抱きしめられない」
全部、溶けて。溶けて貴方の一部になりたい。
「――――こうして抱き合えない」
「…そうね…溶けちゃったら…セックスできないもんね……」
眩暈がする程の口付けよりも。壊れるほどの愛しさよりも。
貴方が欲しい。貴方だけが、欲しい。それだけで、いい。
END