夕凪

窓から覗く夕日を、飽きる事無く見つめていた。
綺麗な茜色の空を、ずっと見つめていた。
その先に何があるのだろうとか、そんな事を考えながら。


――――本当はその先に、何もないと知っていても。



風がその長い髪を揺らす。漆黒の綺麗な髪を。それに指を絡めたら、君の身体がぴくりと揺れた。そんな仕草ですら、僕にとっては愛しいものに思えた。
「…あ、厚志か…どうしたのだ?」
「どうもしないよ、ただ舞に触れたかったから」
振り向いた先の綺麗な瞳を見つめながら、そのままきつく抱きしめた。その瞬間微かに薫る君の匂いに、ひどく幸福感を憶えながら。
「…厚志…こんな所で…こらっ…」
抱きしめる腕から逃れようと身体を捩ってそのまま背中に腕を廻し、僕のシャツを引っ張った。まるで猫のような仕草に僕の口から自然と笑みが零れる。こんな所も、どうしようもない程に好きだった。
「見られたらいや?でも僕は見られてもいいと思ってる。舞は僕だけのものだって見せつけたいから」
「―――厚志……」
「僕だけのものだよ、ね」
額を重ね合わせ君の瞳を見つめる。少しだけ頬を染めた君の顔を見下ろしながら、反撃の言葉を封じる為にその唇を塞いだ。


欲しいものは、君だけで。君だけを手に入れたいから。
その為ならば僕はどんな事でもしよう。どんな事、でも。
この手を穢す事も。血を流す事も。世界を支配する事も。
全部、全部、どんな重たい運命も僕は成しえてみせるから。
だから君を全部。全部、僕だけのものにさせて。


「…あっ…厚志…駄目だっ…そんなトコ……」
耳たぶを軽く噛みながら、僕は君の胸の膨らみに触れた。制服の上からその柔らかい乳房を揉み解す。それだけでびくびくと小刻みに震える感度のいい身体が愛しい。
「―――させて、舞。ここで」
「…だっ…駄目だ…人が来たら…あっ……」
上着の裾から手を忍ばせ、ブラの中に手を突っ込んだ。直に触れた膨らみは微かに熱が灯っていて、乳首はぷくりと尖っていた。その柔らかい部分を強く揉んでやれば、背中を引き剥がそうとしていた手が強くしがみ付いて来た。
「…あっ…駄目っ…駄目だって…厚志っ…あぁっ……」
トンと音を立てながら君の身体を壁に押しつけた。隣には教室の窓があって、少しでも位置がずれたら校庭から丸見えになる場所へと。わざと、そこに君の身体を押し付ける。
「…やぁっ…止め…厚志っ…はぁっ……」
ぷちんと音ともにブラのホックを外した。制服の上着を首の所まで引き上げ、白い胸を露わにする。そして尖った乳首に僕は唇を寄せた。
「…ああんっ!……」
そのままちゅぷりと乳首を吸い上げる。その刺激に堪えきれずに君の口から甘い声が零れた。それを確かめるように何度も胸の果実を吸い上げる。そこが紅く熟れるくらいに。
「…あぁっ…やぁっ…駄目…あぁんっ……」
「イヤなの?だったらちゃんと抵抗して」
乳首を口に含みながら言葉を紡げば、ソレが歯に当たって君に刺激を与える。それがまた。また君の背中に廻した手に力を込めさせて。
「…馬鹿者…っ……」
胸に指を這わしながら上目遣いに君を見上げた。君はその綺麗な瞳に涙を零しながら、僕を睨みつける。そんな君の顔がどうしようもない程に可愛くて。可愛い、から。
「ごめんね、舞。舞があまりにも可愛いから…僕は苛めたくなるんだよ」
そのまま涙で濡れる顔にキスの雨を降らせた。優しいキスの雨、を。


君だけちょうだい。僕に、ちょうだい。
他には何もいらないから。だから、ね。
だから君だけを僕に。僕に全部ちょうだい。


「ひゃんっ!!」
がくがくと震える脚の間に手を滑りこませパンティーの上から、割れ目をなぞった。それだけで身体が小刻みに痙攣する。そんな素直な反応が、嬉しかった。
「…ひゃっ…は…やぁっ……」
湿り気のある布を行き来させ、そのまま指で軽く押してみた。布から染みこんでくる液体が、答えの全てだった。そのまま布を寄せて脇から直に秘所に指を這わす。じっとりと濡れたソコに。
「…くふっ…はっ…あぁ……」
ずぷりと濡れた音ともに指を埋めこみ、中を掻き乱した。そのたびにくちゅくちゅと音がして、指先が蜜で濡れる。抵抗感のある内壁を押し広げ、ソコにあるクリトリスに触れた。ぎゅっと指で摘んでやると、君の身体が電流を流したように大きく跳ねた。
「―――ああんっ!!」
漆黒の髪が揺れ、剥き出しの胸が震える。乳首が痛いほどに張り詰めて、仰け反った喉元がくっきりと浮かび上がった。その姿はひたすらに僕を欲情させる。
「…あぁっ…駄目…だ…ソコは…駄目っ…厚志…あぁぁっ…やあっ……」
ぐりぐりとクリトリスを摘みながら、揺れる胸を揉んだ。背中が壁に擦れて痛そうだったけれど、僕は動きを止めなかった。止められなかった。乱れる君を見たかったから。たくさん見たかったから。
「…やぁぁっ…あぁ…駄目っ…だめぇっ…あぁぁ……」
「―――駄目なの?じゃあ止めるよ」
「…あっ……」
僕は言葉通りにソコから指を離した。その瞬間無意識に君が腰を押し付けてきたのを確認しながら。そしてわざと軽い愛撫だけを君に与えた。
「…あっ…厚志…そんな……」
「そんな?舞が止めてって言ったんだよ」
「……い、意地悪だ…お、お前は……」
「どうして?僕は何時も舞の望み通りにしているだろう?」
僕の言葉に涙で濡れた瞳が睨んでくる。僕の触れるだけの愛撫に耐えきれず感じる個所を押しつけながら。焦れたように腰を揺らしながら。
「…い…意地悪…だっ…このまま…にする…気かっ……」
ぽろぽろと涙を零しながら、それでもどうして欲しいのかは言えないのが君らしい。本当は言って欲しいけれど。君は絶対に言えないから。だから。
「―――分かったよ、舞。その代わりに誰かに見られても…いいよね」
くすりと笑って耳元で囁いた言葉に君の身体がかぁぁっと朱に染まる。けれども快楽で暴走し始めた君はそれを拒む事は決して出来なかった。だから。
「手、窓の手すりに廻して」
「…え?……」
僕の言った言葉に全身真っ赤になりながらも、それでも最終的に拒めない事を知っているから。
「シテあげるから。だから、ね」
「…あ…厚志…き、貴様……」
「ね、舞」
息を吹きかけるように耳元で囁いて、そして剥き出しの胸をきつく揉んでやった。その刺激に満足そうな声を上げて。上げて、そして。
「…あ、後で…憶えていろ……」
涙をぽろぽろと零しながら、僕の言う通りに君は窓枠に手を掛けた。誰が覗くかもしれない、窓へと。


腰を上げさせて、突き出す格好にさせる。上着は着せたままで、下半身だけ裸にさせた。胸が揺れるのを見つめながら、僕はズボンのファスナーだけを下ろして自身を取り出す。
「はああああっ!!」
そのまま腰を抱かえると、息づく秘所に自身を突き立てた。その途端君の口からは満足したような喘ぎ声が上がる。
「あああっ…ああああっ……」
パンパンと腰を打ちつけながら、振動で揺れる胸を鷲掴みにした。尖った乳首を捏ね繰り回しながら、楔を抜き差しさせる。その度に枠を握る君の爪が白くなった。
「…ああんっ…あぁぁっ…厚志っ…厚志っ…あぁんっ!」
汗が、ぽたりと零れる。揺らすたびに窓の外に突き出す君の顔から零れる汗が、地上に落ちてゆく。それに誰かが気付けばいいと思った。気付いて見られればいいと思った。
こうして彼女を抱けるのは僕だけだと。僕だけのものだと、そう。そう見せつけられれば。
「…舞…可愛いよ、舞……」
「…あぁっ…あんっ…ああんっ…あぁ……」
首筋に何度も口付けながら、乳房を鷲掴みにする。その間も何度も抜き差しを繰り返し、君の身体の火照りを煽った。ぐちゅぐちゅと秘所に僕の楔を突き立てながら。
「―――出すよ、いい?」
「…あっ…厚志…あぁぁ…もおっ…だめっ…ああああっ!」
ぐちゃんっと濡れた音ともに、僕はその身体に欲望を吐き出した。どくどくと音を立てながら、大量の白い液体を。



痙攣する君の身体を背後から抱きしめながら、ふと窓の外を見上げた。
茜色の空は何時しかゆっくりと漆黒に染まり始めていた。その色が世界を埋める頃、僕は。


――――僕は完全に君を手に入れられるのだろう……



「…舞…もう一回…」
「…あっ…駄目…厚志…駄目だって…あぁ…」
「だってほらまだこんなに…君の中でこんなになってる…もう一回出させて」
「…あぁっ…ああぁ…だめぇ…っ…壊れ……」
「出させてね、舞」
「…壊れ…ちゃうっ…あぁぁっ…あああっ……」


君の細い腰を掴み何度も何度も揺さぶった。
一度吐き出して僕の精液でどろどろになっている中を、また。
また僕は硬くなった楔で抉る。止められない。止められない。
君だと思うと僕の欲望は涌き水のように溢れてくるから。君だと、思えば。



――――君だから…僕は止められないんだ……




何時しか空は漆黒に染まり、夜の闇がやってくる。
それでも僕は君の身体を貪る事を止められないでいた。
君の身体を、君の心を、君の全てを、求める事を。


END

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