Fortune

―――紅い髪だけが、鮮やかに瞼の裏に焼き付いていた。

繋がってゆく運命の輪。
途切れる事無く、繋がってゆくもの。
その見えない糸が今の自分を作っているとするならば。
今自分を取り巻く全てのものを作っているとするならば。
それを否定する理由も、それを忘れる理由もない。
ありのままを受け入れて。
見えない運命の螺旋を受け入れて。
そして。そして、繋がりゆく今を見つめられたならば。

…それを、見つめる事が出来るならば……


髪に絡めた指先だけが、時を越えて全てを運んでくれた。

「この髪だけは何でだろーなぁ…忘れられなかった…」
指に髪を絡める。紅い、目の醒めるようなその色の髪を。その髪をそっと指に絡めて。絡めてそして顔を埋めた。
「結構色んな事、忘れてたのにさ…この髪の色だけは覚えていた…」
「…不…破……」
見上げてくる蒼い瞳。空のように鮮やかな蒼い瞳。その瞳に自分の姿だけを焼き付けた事に、不破は密かな満足感を覚える。
「やっと俺の名前呼んでくれたな…お前口が利けない訳じゃねーんだろう?」
そっと抱き寄せた身体は、思いがけず華奢だった。自分の腕の中にすっぽりと収まるその身体を、不破は優しく抱きしめる。
「なあ、豪鬼…もっと…俺の名前呼んでくれよ……」
抱きしめて耳元でひとつ囁いた言葉が、全ての真実だから。ただひとつの、真実だから。


心の何処かで、ずっと探していた。
探して、探して、探し続けていたもの。
紅い髪と、蒼い瞳。
記憶の破片の中で、それだけが。
それだけが想い出を形成して。
そして、胸の底へと落ちてゆく。
きらきらとした想い出の破片が、ゆっくりと。
ゆっくりと胸の底へと、広がってゆく。

――――忘れる事なんて、出来はしなかった……


頬に手を充てて、そのまま。そのまま引き寄せて、口付けた。
「…ん……」
唇をなぞり薄く開かせたら、そっと中へと忍び込ませる。ゆっくりと舌を絡め取ると、そのままきつく吸い上げた。
「…んっ…んん……」
根元を吸い上げて、舌を絡める。裏側を舐め上げれば、びくりとひとつ肩が震えた。それでも不破は動きを止めずに、豪鬼の口中をたっぷりと犯してゆく。
「…んん…はぁっ……」
唇が離れれば唾液の糸が一筋伝った。てらてらと光って、二人の唇を繋ぐ。それを指で掬って、不破は豪鬼に舐めさせた。
ぴちぴちゃと音を立てながらも、豪鬼はその指を舐め取る。まるで犬のようだと、ふと不破は思った。犬にしては瞳も表情も扇情的だったが。
「随分素直だけど…あまり素直過ぎると不安になるな…誰に仕込まれたんだか……」
その言葉に反応するように口の動きが止まった。そして蒼い瞳が、不破を見上げてくる。それは。それは捨てられた子猫のような瞳、だった。
「――嘘だよ…そんな瞳、すんなよ…俺が悪者みたいだろうが」
不破はひとつ苦笑して、そしてもう一度その身体を抱きしめた。今度はきつく。きつく、抱きしめた。
―――本当は、どちらでも良かった。どちらでも構わなかった。
この腕にいるが豪鬼ならば。他でもない彼自身ならば。どんな事があっても、どんな事があったとしても構わなかった。
ふたりの今を繋ぐものが巡りゆく過去から成り立っているとしたら、それはそれで必要なものだから。ふたりがこうして出逢う為の全ての土台として。それは必要なものなのだから。だから、どちらでも構わなかった。
どんな事が過去にふたりにあっても。どんな事が起きていたとしても。今、こうして。今こうしてふたりが出逢う事に、その全ては必要なものだったから。
―――全てが必要な事、だったから……
抱きしめて、もう一度。もう一度全ての想いを込めて口付けた。それで全てが伝わるはずだから……。


ふとした瞬間に、それは蘇る。
夕焼けの紅い色を見た瞬間に。
波打つ蒼い海の色を見た瞬間に。
それが何なのかは思い出せなくても。
確かに自分のこころの一番深い部分を。
一番深いこころの琴線を、そっと蘇らせたから。

―――その紅い髪と、蒼い瞳だけが……


そっと身体を床に静めた。そのひんやりとする冷たさに腕の中の、豪鬼の身体がぴくんと震える。けれども構わずに不破は押し倒すと、服を脱がしていった。
「…あっ……」
くっきりと浮かび上がる鎖骨のラインに唇を落として、きつく吸い上げた。ほんのりとその個所が朱に染まる。それに満足すると、そのまま舌と指を上半身へと滑らせてゆく。
「…はぁっ……」
指と舌に伝わるのは滑らかな肌の感触。思ったよりもずっと白い肌。普段甲冑に身を隠しているせいか、その肌は全く日焼けしていなかった。まるで透ける様に白い、その肌。
その肌が不破の手によって唇によって、朱に染まってゆく。その様子はまるで花がゆっくりと咲くようだった。白い肌に落ちてゆく朱の花びらが。
「…ぁぁ…っ…」
胸の果実に辿り付くと、一層甘い声が口から漏れた。その吐息に満足すると執拗に不破はそこを嬲った。指の腹で転がして、そして舌先でつつく。そのたびにびくんびくんと、鮮魚のように豪鬼の身体は跳ねた。
「…あぁ…あ…ん……」
たっぷりと指と舌で嬲ってやると、突起は唾液でべっとりと濡れた。それを指で周辺に擦り付けてやると、そのままわき腹のラインへと指を移動させる。ゆっくりと滑らせ腹に辿り付くと、臍のくぼみに舌を這わした。そのまま突つきながら、腰に手を充て浮かせた。
背中がカーブを描く。喉が仰け反って、口から甘い息が零れる。その様子に不破は満足感を覚えると、一端腰から手を放した。そして下着ごとズボンを脱がすと、膝を立たせた。
「可愛いぜ」
くすっとひとつ笑って、豪鬼の中心部分に手を充てる。そしてそのまま包み込むようにソレを愛撫した。
「…ああんっ……」
微妙に形を変化させていたソレは、不破の愛撫によって見る見る形を変化させる。どくんどくんと手のひらの中で脈打つのが感じられるくらいに。
「…あぁっ…はぁ……んっ……」
側面を撫で上げ、袋の部分を手のひらで包み込む。そうする事で耐えきれなくなった先端からは先走りの雫が零れ始めていた。
「…あぁっ…もぉ…はん……」
とろりと指先に伝った雫を掬い取ると、不破は一端ソコから指を離した。そしてそのまま豪鬼の最奥へと指を忍ばせる。
「―――っ!」
侵入して来た異物に豪鬼の身体が硬直する。けれどもそれは一瞬の事で、中を巧みにほぐしてゆく指先に何時しか器官はソレを受け入れていた。
「…くぅ…んっ…はん……」
ひくんひくんと切なげに震えながらも、指を媚肉は飲みこんでゆく。本数を増やして勝手気ままに中を蠢かせても、それは変わらなかった。
「…はぁぁ…あ……」
充分に内壁を弛緩させて、指を引き抜いた。そして腰に手を充てると、充分と拡張した自身を入り口に充てる。その瞬間、びくんっと豪鬼の身体が跳ねた。
「―――怖いんか?」
見下ろしながら聴けば、うっすらと瞳が開かれる。自分を真っ直ぐに見つめる蒼い瞳。その瞳がずっと。ずっと、自分は欲しかった。ずっと求めていた。
ゆっくりと首が横に振られる。それを確認した不破はひとつ、微笑って。微笑ってそのまま一気に貫いた。


例え全てが優しい想い出になっても。
全てがゆっくりと想い出に変わっていっても。
それでも、それでも消せないものがある。
消えないものが、ある。
それが自分にとっての全てだと気付いた時には。
気付いた時には大抵の人間はすでに失った後だから。
失ってから、気付くから。だから。
だから今、この瞬間に。この、瞬間に気付いた事が。
気付けた事がどんなに幸運な事か。どんなに幸せな事か。

―――こうしてこの瞬間に、気付く事が……


「あああっ!!」
貫いた瞬間、形良い眉が苦痛に歪む。張り詰めていた豪鬼自身もその痛みで萎えてしまっていた。不破はそれに再び手を這わすと、再び侵入を始める。
「…あああっ…ぁ……」
前を弄ったせいで身体が緩んだ隙に、根元まで一気に埋め込む。抵抗して受け入れなかった内壁も、前から押し寄せる快楽のせいで何時しかソレを全て収めていた。
「…はぁっ…ああ…んっ……」
媚肉が挿入感に馴染むまで待つと、ゆっくりと不破は腰を動かし始めた。そのたびにがくがくと豪鬼の肩が揺れる。紅い髪が波打つ。
「―――豪鬼」
名前を呼ぶと夜に濡れた瞳が自分を見上げてくる。その瞳に映るのが自分だけだと言う事が、何よりも不破を幸福にした。何よりも、その事が。
「…ずっと俺は……」
想い出は、過去の記憶は。想い出でしか、記憶でしかなくても。それでも消せないものが、消えないものがあるから。巡りゆく運命の輪の中で、決して消す事の出来ないものがあるから。消えない想いが、あるから。
「…お前だけを……」
―――消せないものが、あるから………
その言葉に豪鬼は小さく頷く。それを合図に不破は自身の楔で最奥まで貫くと、そのまま白い欲望を吐き出した。


消えない、想い。消せない、想い。
胸に宿るただひとつの真実。
それをこうして。こうしてこの瞬間に。
この瞬間に気付けた事が何よりも。
何よりも大事で、大切だから。

―――生まれてきて、よかったな…と、言えるから……


気を失って眠るその身体をそっと不破は抱き寄せた。暖かい身体と、命あるぬくもりに言葉に出来ない幸福を感じながら。
「…ずっと俺はお前だけを……」
その先は言葉にしなかったけれど。言葉にしなくてもきっと。きっと伝わるから。


くすりとひとつ不破は微笑って、再びその髪に指を絡めた。
―――鮮やかなその、紅の髪に……



END

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