more kiss

見つめあい、そして。そっと絡める指先。


こうして指先が触れるだけで。
触れるだけで満たされる恋、だった。
こうしてそっと触れ合う指先のぬくもりだけで。
それだけで、優しくなれるような。
そんな恋、だった。


瞳を合わせるだけで、ただひたすら切なくなるそんな恋。



「…不知火、お前の瞳……」
こうして見つめあって、真っ直ぐに見つめあって。瞳を反らすことなく、ただひたすらに。その奥に見える『何か』を探すかのように。
「…良く見ると…綺麗だな……」
真っ直ぐ人を見ることに何処か怯えていた。多分怖かったのだろう。真っ直ぐに見つめて、見つめられてそして。そしてその瞬間に気付かれるかもしれない自分の弱さが。
「貴方の方が綺麗ですよ、一馬」
そっと微笑い、俺を見つめる瞳。やっぱり全てを見透かされているようで。お前には俺の全てを…見透かされているようで。

―――そう思ったら堪らなくなって…俺は俯いた……



貴方の傷ついた心。貴方の傷ついた瞳。
それは『強さ』に隠れていて、こうして。
こうしてじっと見つめなければ。こうして。
こうして真っ直ぐに見つけなくては。
見逃してしまうほどの、もの。それでも。
それでも貴方の瞳から零れるもの。零れ落ちる、もの。

その壊れそうに脆い、傷ついた貴方の本当の心を、この手で抱きしめたいから。



「俯かないで、一馬」
お前の手が、そっと。そっと触れる。
「ちゃんと私の目を見て」
そっと頬に触れて、そして。
「―――本当の貴方を、私に見せて」
そして俺の傷に、その手が触れる。


強がっている心。強がっている想い。その中にあるのは壊れそうなほどに弱い心。


「…不知火…俺……」
見上げればお前の瞳が、俺を見つめる。見透かすように見つめる。俺の全てを見透かすように。俺はずっとそれが、怖かった。誰かに俺の心の奥を覗かれるのが、怖かった。けれども。けれども、お前になら。俺は、お前にならば。
「…俺…本当は…きっとずっと……」
お前にならば俺の弱さも、俺の孤独も、俺の脆い部分も全て。全て曝け出してもいいと。自分の一番見られたいない部分を見せてもいいと、そう思ったから。
お前にならば、いいと。お前ならば構わないと…お前にだけは…と思ったから。
「…ずっと誰かに、頼りたかったのかも…しれねー」
頬に触れていた手が、そっと。そっと俺の髪を撫でる。その指先の暖かさと優しさに、俺は。俺は静かに目を閉じて、お前の腕の中に身体を預けた。


お前を護ると告げたのに。
何時しか俺のほうが護られている。
この腕の中に、俺が。
この鼓動の音に、俺が。

―――お前にそっと、護られている……


背中に腕を廻されて、そのまま何度も撫でられた。まるで子供をあやすように、繰り返し俺の背中を撫でる指。優しい、手。
「貴方の弱さは、私が全て受け止めます。だから」
顎に手が当てられて、そのまま。そのまま上を向かされて、俺がお前の瞳の色を確認する前に。その前に、そっと唇が塞がれる。
「だから貴方は、私だけに見せてください。私だけに貴方の弱さを」
「…不知火……」
「他の誰にも、見せないで。貴方は私だけの、貴方でいて」
痛いほど視線に貫かれ、そしてもう一度塞がれる唇。最初とは違う、熱く激しい口付け。唇が痺れるほど貪られ、思考がぼんやりと霞んでしまうほどに。
「…んっ…不知…火っ……」
飲みきれなくなった唾液が俺の口許を伝う。それをそっとお前の舌が辿った。ぽたりと零れる唾液の痕を、その舌が。それだけで俺の睫はびくんっと震えた。
「―――貴方を…誰にも渡したくはない……」
強く、抱きしめられる腕。強い力。そして静かな口調の中に込められた激しい想いが。その想いが、何よりも俺の胸を締め付け、そして。そしてひどく俺を満たしてゆくのが分かった。


――――ひどく、こころを満たしてゆくのが……



見つめあう、瞳。絡み合う、指先。
「…一馬…私は…貴方だけを……」
こうしてそっと。そっと触れ合うだけで。
「…貴方だけを…ずっと……」
触れ合うだけで切なく、そして苦しい恋。


「―――俺も…お前が…お前だけが…いい……」




切なくて、けれども静かに満たされる、そんな恋だから。






END


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