――――君は、まるで猫のよう。

本当は誰よりも淋しがり屋の癖して、それでも何時も。
何時もこの腕から逃れようとする。
本当は誰よりも他人のぬくもりが欲しいのに。
それなのに強がって。毛を逆立てて。
他人の差し出す手を払いのけようとする。

その癖瞳は…誰よりも、淋しがっているのに……


強がっている瞳が好きだった。大きな瞳が他人を避けるように、周囲を睨み付けて。けれども。けれどもその先に見えるどうしようもない淋しさと孤独が、大好きだった。
「一馬、風邪引くよ」
ぽつんと独り、縁側に座る君。月明かりが照らすその横顔はひどく子供のようで、僕は無意識に口許に柔らかい笑みを浮かべた。
「…水貴……」
振り返って見上げてくる大きな瞳。以前は、この瞳はただ僕を睨み返す事しかしなかった。けれども。けれども今は。今はその瞳の色は、少しだけ柔らかい。
―――君が僕に懐いてくれたと…少しは自惚れてもいいのだろうか?
「大丈夫だよ、こんくらいの寒さ…返って気持ちがいいくらいだぜ」
にっこりと笑う君の顔が子供みたいで、それが嬉しかった。この笑顔を僕が見るためにどれだけ努力をしたのかと思うと…どうしてもその苦労を思い返して苦笑が出てしまう。
本当に君は、猫だった。飼い主である不知火以外誰にも懐こうとはしない。毛を逆立てて、僕らを警戒するだけで。どうしたら心を開いてくれるか、どうしたら僕に懐かせられるかそんな事ばかり考えていた気がする。
―――でも今君は…君はこうして僕に懐き始めている……
「そんな事を言って…君はすぐに熱を出すんだから、気をつけないと」
長めの前髪を掻き上げて、額に手をかざした。そうすると君は子供扱いされているみたいでイヤだと言うけど。でも僕は君が嫌がる顔も可愛くて、大好きなんだ。
「……」
予想通り、君は不満げな表情を僕に見せる。上目遣いで睨む大きな瞳がそれをよく表している。僕としてはその瞳をずっと見ていたい気もするけど…それは得策ではないと分かっているから。そのまま君の瞳を瞼の裏に焼き付けて、ひとつキスをした。
「――っ!水貴っ!」
触れるだけのキスなのに、君は耳まで真っ赤になる。今時その純情さが僕には愛しくて堪らない。
「ごめんね、君がそんな可愛い顔するからキスしたくなったんだ」
「…な、何言って……」
「だからそんな顔をする君が悪い」
「何でそうなんだよっ!!」
口答えをする唇をもう一度塞いだ。あれだけ他人を拒絶していた身体もぬくもりを覚えてしまえば、自然と受け入れる術が出来てしまう。いや、そうなるように仕組んだ。
―――君の身体に逃れられない快楽の甘い罠を、飢え付けた。
「…んっ……」
君が他人を拒んでいたのは、幼い頃受けた陵辱のせい。けれども。けれどもその陵辱すらも凌駕する快楽を飢え付けたならば。肌を触れ合わす事が、どれだけ君にとって必要なものかを教え込んだなら?今まで拒絶してきたからこそ。だからこそ、免疫のない身体は一度受け入れてしまえば後は堕ちてゆくしかない。
「…ん…はぁ……」
薄く唇を開かせ舌を忍び込ませる。逃げ惑う舌を根元から絡め吸い上げてやれば、びくんっと肩が震えた。
「…水…貴……」
何度も口付けを繰り返しながら、僕はそっと君の身体を抱き寄せた。甘い吐息と潤んだ瞳が僕を見上げてくるのを確認しながら。
「寒い?一馬」
がくがくと身体を震わせながら、僕の背中に必死でしがみ付いてくる。無論それは寒い為なんかじゃない。そんな事腕の中の、身体の体温でイヤと言うほどに分かっている。それでもあえて。あえて僕は意地悪く、そう聴いた。
「…水貴…俺は……」
「寒いって言いなよ…そうしたら…暖めてあげるから…」
耳元にそっと息を吹きかけるように囁けば、君は。君の喉がこくりとひとつ動いた。そして。そしてぎゅっと瞼を閉じて。
「……むい……」
聴こえないほど小さな声で…それでも君は僕に『寒い』と告げた。


どうしても君が欲しかったから、多分。
多分僕は卑怯な手を使ったのかもしれない。
それでも僕は君が好きなんだ。
どんな理由であろうとも。どんなきっかけであろうとも。
僕はどうしようもないほどに君が大好きなんだ。

―――だから約束する…誰よりも君をしあわせにすると……


「…あっ……」
冷たい木の板の上に身体を降ろすと、その冷たさに組み敷いた身体が震える。その様子にどうしようもない愛しさを覚えながら僕は上着を脱がすと、外気に当たって尖った胸の果実を口に含んだ。
「…はぁ……」
柔らかく歯で噛みながら、舌先が突ついた。そのたびにぴくんぴくんと、腕の中の身体が鮮魚のように跳ねる。
「…は…あ…んっ……」
そのまま空いた方の胸を手で弄くった。かりりと音を立てながら爪で抉ると耐えきれず、背中に廻した腕に力が篭った。
「痛かった?」
ぷくりと立ち上がったソレは、まるで熟れた果実のように朱に染まっている。それを愛しそうに指で転がしながら僕は尋ねた。けれども君は首をイヤイヤと左右に振るだけで答えようとはしなかった。
「なら気持ちよかったと…解釈してもいいね」
「…あぁ…ん……」
もう一度形を辿るように舌先で突ついて、指で摘んだ。そのままわざとぴちゃぴちゃと音を立ててしゃぶると、無意識に君は胸を押し付けてくる。
「くす、君はそう言う所が可愛くて堪らないよ」
「…あっ…んっ…んん……」
胸を弄っている手はそのままに、君の唇を塞いだ。唾液が口許を伝うのを構わずに、深く深く口付ける。君の唇が、痺れるまで。
「――――っ!」
偶然に辿り付いたとでも言うように、そっと君自身に触れた。それは僕の指が触れる前から微かに形を変化させていた。
「…んん…んんんんっ……」
形をなぞる様に側面をなで上げ、先端の割れ目に爪を立てる。するとそこからは先走りの雫が零れ始めていた。指先に零れる蜜を掬い上げ、そのままするりと僕は最奥へと指を忍ばせた。
「――――んっ!」
中途半端な状態で前を放り出し後ろを嬲り始めると、耐えきれないのか君の目尻から涙が零れ出した。それが苦痛のためなのか、快楽のためなのか…僕は後者だと思うけれどもね。
「…はあっ……」
充分に楽しんだ口中をやっと開放してやる。すると安心したように大きく息を吸い取った。けれどもそれは本当に一瞬の事でしかなかった。僕は君の秘所を弄くる指の動きを止めなかったし、再び唇は胸の果実を銜えたので。
「…はっ…あぁ…あ……」
最初は異物を拒んでいた媚肉も次第に、指を受け入れていた。今ではひくひくと切なげに震えているほどで。
「…あぁ…あ…水貴……」
ずぷりと指の本数を増やしてやれば、甘い声は一瞬悲鳴混じりになる。けれどもそれは一瞬の事でしかなくて、後から零れるのは甘い吐息だけだった。甘い、甘い、喘ぎ声だけで。
「――― 一馬…いい?……」
充分に蕾をほぐしたのを確認して僕は耳元にそっと囁いた。その囁きに君は、微かに瞼を開く。そこから覗くのは濡れた、夜の瞳だった。
「……うん………」
そして。そして小さく、頷いた……。


君は可愛い僕の黒猫。
何時も他人に爪ばかり立てているけど。
本当は。本当は誰よりも。
誰よりも淋しい、小さな黒猫。

―――君が、可愛くて僕は仕方ないんだ………


「――――ああっ!」
一気に貫くと、君の形よい眉毛が苦痛に歪む。背中がカーブを描いて、その衝撃を表していた。僕はそのまま首筋に唇を落とすと、今の衝撃で萎えてしまった前に手を掛ける。
「…あああっ…あぁ……」
再び手で弄んでやれば、どくんどくんとソレは脈打ち始める。そして硬直していた身体もゆっくりと解されていった。
「…ああ…あん……」
緩んだ隙を逃さずに、僕は腰を使い始めた。柔らかく熱い内部は、僕自身を蕩かそうとでも言うように淫らに蠢き締め付けて来る。
「…はあ…ああ……」
「一馬、君の中とっても熱いね」
「…あっ…ああ…そんな事…言うなっ…は……」
「どうして?凄く気持ちいいよ」
「…バカ…恥ずかしい…だろって…あっ……」
「正直に言っただけなのに」
「あああっ!!」
君が素直に認めないからお仕置とばかりに、最奥まで貫いてやった。そして君が一番感じる個所を集中的に攻め立てる。もうその口から零れるのは甘い喘ぎだけで、憎まれ口は零れてはこなかった。
「ココがイイんだよね。君が一番感じるところ」
「…ああんっ…あぁ……」
激しく突き立てて、そのまま僕は君の中に欲望を吐き出した。それと同時に僕の手のひらに君の精液が放たれる。それでも僕は身体から抜こうとはしなかった。
「…み…ずき……」
「もう一回、させて」
「…え……」
「だってほら、まだ僕は君が欲しいって言ってる」
「…あっ……」
一度欲望を吐き出しても体内にある僕の分身は、まだ君を求めて適度な硬度を持っていた。腰を軽く動かせばたちまちソレは、君の中で凶器と化する。そして。そして手の中の君も再び……。
「君だってまだ…僕を欲しがっている…違うかい?」
その言葉に君は否定しなかった。ただぎゅっと目をつぶって羞恥に耐えるだけで。だからそんな君に僕はそっと瞼に口付けて、再び腰を動かし始めた……。


大好きだよ、君が。君が大好きだから。
だから意地悪したいし、大切にしたいんだ。
矛盾しているかもしれないけど、君の全部が欲しいから。
君の全てが欲しいから、だから僕は。
僕は君に意地悪をして、そして可愛がるんだ。


「……痛い………」
恨めしそうに僕を見上げてくる瞳が、どうしようもない程に可愛かった。だからひとつその瞼にキスをする。
「痛いって何処が?背中?それとも――っ」
その先は、僕は声に出す事は出来なかった。君の手が思いっきり僕の頬を叩いたので。
「そう言う事ズバリ聴くなよっ!バカっ!!」
「はいはい、ごめんね」
「もうお前なんか知らないっ!」
ぷいっと拗ねてしまい僕に背中を向ける君の身体を、後ろからそっと抱きしめた。そして。そして耳元でそっと、囁く。


「…ごめんね…君が好きだから…ついいじめたくなっちゃうんだよ……」




END

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