Secrets Of The Behaviour
君の中にひそんでいる残酷さを知っているよ
とても口に出せない 思いがうずまいてる
気付かないふりして 人を傷つけてる
かがみ見つめたまま どこか楽しんでいる
…遠くを何時も、見つめている。
こんなに近くにいるのに、どうして?
どうして、こんなにも遠い?
「…村雨…やめっ…」
強引に塞がれた唇に、御門はかぶりを振って抵抗する。しかし力強い村雨の腕に包まれてその抵抗は無意味なものとなった。
「…んっ…んん…」
唇を割られ強引に舌が侵入してくる。怯えて逃げる舌を捕らえ、村雨は根元から絡め取った。
「…ふ…う…んっ…」
耐えきれずに御門の口許から一筋の雫が零れ落ちる。けれども村雨は構わずに、口付けを執拗に続けた。
息が止まる程、長い間…。
誰にも見せない 誰にも見えない
秘密を分け合いたい
言葉に出来ない 言葉にならない
Ah 欲望を重ねよう
どこで、狂ったのだろう?どこで、壊れたのだろう?
この柔らかい嘘に包まれた関係が壊れたのは、何時だった?
マサキの笑顔。ガラス細工の笑顔。それを、それだけを護る為に自分は、存在した。確かにそうだった。なのに。
なのに何処で、それは摩り替わった?
誰よりも大切な女。それは嘘じゃない。大切で大切で誰よりも護りたい人…なのに。
なのに何処で、それは摩り替わった?
誰よりも大切な女。それは嘘じゃない。大切で誰よりも護りたい人…なのに。
なのに、今自分は、こいつが欲しいと思っている。
誰よりも大切な女よりも、この目の前に映る怖い程冷たい美貌の男に…確かに自分は欲情している…。
「いいじゃねーかよ、遊びだよ、遊び」
村雨は何処か皮肉めいた笑みを浮かべると、御門のワイシャツのボタンを引き千切った。その内の一つが村雨の顔に当たったが、気にせずに彼は行為を進めてゆく。
「…遊びにしては…随分と、乱暴が過ぎますよ、村雨…」
何時もの人を見下したような、言葉。表情。でも村雨には分かる。その中に見え隠れする微かな‘怯え’を…。
「乱暴な方が、燃えるだろう?」
「…今なら冗談で許してあげます。その手を離しなさい」
「冗談だと、思うか?」
村雨はそう言うと御門の腕を掴むと、それを自分自身へと導いた。それは確かに御門を求めて息づいていた。
「…むら、さめ…」
引っ込めようとする御門の手を更に押し付け、明いている方の手で身体を引き寄せると、再び唇を塞いだ。
「ここが、言ってんだよ…お前が‘欲しい’って…こうなったら男はもう、止まんねーぜ」
その言葉に御門の身体がぴくりと震えたが、もう村雨には後戻りが出来なかった…。
ガラスのプライドの 影でおびえてるVanity
強がって見たって 所詮見えすいたComedy
感じてるはずさ ふるえるほどうずいてる
見透かされることを どこか求めてる
遠い、瞳。何時も傍にいるのは自分なのに。どうしてこいつはこんな遠い瞳をしている?
まるで彼岸を見ているような、そんな瞳。
許せない。自分を映さない瞳は。許さない。自分の事を見ない瞳は。
マサキの事よりも、もっと、自分の事を考えて欲しい。
「…やっ…やめっ…」
ズボンを下着ごと剥ぎ取ると、村雨はそれに舌を這わす。的確な村雨の舌は確実に御門を追い詰めた。
「…くっ…んっ…」
淫らな声を上げるのをプライドが許さないのか、御門は自分の指を口許に持ってゆくとそのままそれを銜えた。
けれども零れる甘い吐息を押さえる事は出来なかった。
「…ふぅ…ん…」
「声、出せよ。辛いだろうが」
しかし御門は指を外さない。その綺麗な指先から血が流れるのも構わずに…。
「出せよ、声。お前の声、聴きたいんだよ」
村雨の唇が血の出た御門の指先に触れると、舌でそっと血を拭った。その仕草が思いのほか、優しくて。ひどく、優しくて。
「もっとお前の事を知りたいんだ」
「…遊び…なのでしょう?…」
つい、その手を離して言葉を紡いでしまう…。
「知りたい、お前の事が。それじゃあ、駄目か?」
真剣な村雨の瞳。それは心臓に直接突き刺さる程、痛くて。痛い?どうして、自分は痛いのだ?
「マサキが好きか?俺よりも」
「…私にとって、彼女の存在が全てです…」
「俺も、好きだ」
「ならば何故、私にこんな不埒な事をするのです?」
「…それは、俺が…」
…俺が?自分は何を言いたいんだ?
大切に護りたいものは、彼女だけ。あの透明な瞳を持つ彼女だけ。ならば、ならば今のこの思いは何なんだ?
「…俺は…」
遠い瞳。遠くだけを見つめている瞳。何時しかその瞳が憎くなった。自分を映さない瞳が、自分を見ない瞳が。
それはマサキを大切に想う気持ちよりも、もっと奥底の暗い部分だった。でも、最も正直で直接的な想いだった。
「…お前が…好きなんだ……」
…そうだ。こんなにもこいつを欲しいと想うのも、自分を見ない事を許せないのも、全部。
「遊びなんかじゃ、終わらせられねーよ」
こいつに、惚れているんだ…。
閉じ込めたくない 閉じ込められない
秘密 解き放したい
君しか見せない 君には見えない
Ah 欲望を重ねよう
「…ああっ!!」
無理やりねじ込んだ、村雨の楔が御門の内壁を傷つける。けれども村雨はその行為を止めようとはしなかった。
「いっ…痛い…むらさ…ああっ…」
一気に奥まで貫くと、村雨は御門の細い腰を掴み揺さぶり始めた。がくがくと、御門の身体が揺れる。
「…あっ…あぁ…もう…ゆる…」
何時しか繋がった部分から赤い血が流れたが、村雨にはもう行為を止める術を知らなかった。
締めつけてくる御門の淫らな肉に、すべてを奪われて。もう何も、考えられない。
「…ゆるし…ああっ!!」
耐え切れずに一気に奥まで貫くと、村雨はその体内に白い欲望を流し込んだ。
誰にも見せない 誰にも見えない
秘密を分け合いたい
言葉に出来ない 言葉にならない
Ah 欲望を
気を失ってしまった御門の髪を撫でながら、村雨はぽりぽりと頭を掻いた。
「…ち、やっちまった……」
冷静になってみると自分でもどうかしてたと、思う。何も無理やり犯す事などなかったのに。でも、止められなかった。
「俺も、ヤキが廻っちまったのかねぇ…」
御門が目を覚ましたらどんな顔をすればいいのか悩みながらも、自分で気づいてしまった思いを止める術など村雨にはなかった。
ないのなら、止めなければ、いい。
「ま、俺には運という最強の味方がいるからな…覚悟しとけよ、御門…」
気持ちを、止めなければ、いい。
閉じ込めたくない 閉じ込められない
秘密 解き放したい
君しか見せない 君には見えない
Ah 欲望を重ねよう
End