恋物語 

夢のような、日々。綺麗な夢のような、優しい日々。
それが永遠に続くと信じられた子供の頃。僕は、真夏の太陽を追い続けた。
君に出逢って夢は、夢でないと気がついた。


「僕は、人殺しです」
冷たい瞳。鏡のような瞳。そして、壊れた瞳。そんな瞳で君は、僕を見つめる。いやただその瞳に僕の姿を『映している』だけだ。
「だから貴方は関わらない方がいい」
だから、僕は。僕はその瞳に。その瞳に映したかった。鏡ではない『生きている』僕の姿を。


君の瞳に、映したかった。それが、恋。僕の、恋。


何故生きているのか、どうして僕の命は生かされているのか。何時もそんな事を考えていた。何故こんな命が生まれてきたのか。けれども貴方は、僕を否定しなかった。貴方は僕に言った。


『生まれてこなくていい命なんて、この世にはないんだ』


その時から。その時から、僕の瞳に貴方を映すようになっていた。貴方を捜すように、なっていた。


―――盗まれた、瞳。貴方に、盗まれた瞳。


盗まれた瞳と、盗まれたこころ。それがこんなにも幸せなことだなんて…思いもしなかった…。


「君に関わりたい。何故なら僕は、君から目が離せない」
「……物好きな人ですね…貴方は…」
「趣味はイイ方だと思うけど」
「悪趣味ですよ」
「―――どうして?」
「僕なんか悪趣味ですよ」
「…僕は自分自身が面食いだと自覚はあるのだが」
「…な、何言っているですかっ?!」
「言葉通りだよ、紅葉」
「僕はきっと世界一の面食いなんだよ」
君がどんなに綺麗かは僕が一番知っている。他の誰よりも知っている。だって誰よりも僕が一番、君を見つめているのだから。


「…貴方って変な人だ……」
「自分に正直なだけだよ、だから紅葉」


「僕と恋を、しよう」


綺麗な、貴方と。他の誰もがうらやむ貴方と、恋を。そんなことしたら、神様に嫉妬されないですか?―――嫉妬、されないですか?


「…嫉妬されちゃいます」
「え?」
「そんなコトになったら、色んな人に嫉妬されてしまいます」
「それは僕のセリフだけど?」
「…でも…」
「ん?」
「やっぱり貴方は綺麗過ぎるから」
血まみれの僕には、相応しくないから……。


「君にそう言ってもらえると、嬉しいね」
「…本当の事です……」
「でも僕に言わせると、君の方が綺麗だけど」
「僕は…綺麗なんかじゃありません…」
だって僕は血に塗れている。何度も何度も手を洗っても。この染み付いた匂いは、消えないから。
「…君の瞳は、綺麗だ。だって嘘が何一つ無い」
「…如月さん?…」
「君の瞳を覆う穢れはなにもない。純粋な瞳だ」
「…そ、それは誉め過ぎです…」
「そして君のこころは、生まれたての子供のようなこころをしている」
「無防備で、何よりも優しい」
君の輝きを僕だけが気づいた事は最大の幸運だ。君の優しさを、君の純粋さを気づいたのは。僕だけの、最大の幸運だから。


だから、君と恋をしよう。君と、僕で。ふたりで恋を、しよう。


「君の瞳に映るのは僕だけであって欲しいから」
「…如月さん……」
「だから僕の瞳にも君しか映さないよ」
「…はい……」


僕だって、貴方だけ。見つめているのは貴方だけ。
誰よりも、貴方だけを愛していると。愛していると迷わずに、言えるから。


「僕の手が血に塗れていても…いいんですか?」
「構わないよ。その血事愛している」
「…如月さん……」
「君の全てを、愛している」


恋を、しよう。ふたりで恋を、しよう。
誰にも真似できない。誰にも邪魔出来ない。
切なくて、そして甘い恋を。


―――恋を、しよう。



End

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