My Darlling
私の大好きな人は、とっても大きくて優しい人です。
「キス、いっぱい」
大きな背中にね、ぎゅって抱き付くのが好きなの。大きくて広いその背中にね。だって、凄く安心出来るから。
「…本郷……」
初めは嫌いだった、本音言って。だってヒーローっぽくなかったんだもん。でもね。でも分かったから。ヒーローは『らしさ』じゃないって。ヒーローは『見掛け』でもないって。
「…いっぱい、しよ。紫暮さん」
一番大事なのは『こころ』だって。他人が見逃すような事に気付いて、そして。そして縁の下の力持ちになって。そうして皆を護ってくれることだって。だから、私ね。
―――貴方が、誰よりも大好きなの……
目を閉じてキスをねだったらおずおずしながら、私に触れてくれた。未だにこんな風に緊張している貴方が、大好き。
「…んっ……」
薄く唇を開いて貴方の舌を求めた。ゆっくりと答えるように舌が忍びこんでくる。私は迷わずに自らのソレで絡め取った。舌の裏を舐め合って、そのまま深く絡め取る。未だになれないぎこちないキスだったけれど、私にとっては。私にとっては凄く感じるキス、だった。
―――どんなテクニックよりも、貴方からの不器用なキスが……
「…んっ…ふぅっ…ん…はぁっ……」
夢中になって舌を絡めていたら、口許から唾液が零れて来るのを感じた。けれども私は夢中になって貴方を貪った。口許の不快感よりも、貴方のキスが。貴方のキスが、大事だから。
「…はふっ…あ…紫暮…さんっ……」
唇が離れた瞬間に貴方の大きな手が、そっと。そっと私の零れる唾液を拭ってくれる。こんな。こんな優しさが、私は大好きで。とても、大好きだから。
「…もっと…もっと…いっぱい、キス…してね……」
もう一度ぎゅっと抱き付いた私に少しだけ戸惑いながら、それでも力強く抱きしめてくれて。抱きしめてくれて、そっと。そっと身体をベッドの上に降ろしてくれた。
貴方は何時も、初めてのように。
初めてのように私に触れてくれる、から。
壊れものを扱うかのように、そっと。
そっと私に触れてくれる、から。
―――だからね、何時も。何時も私初めてのように、どきどきしているんだよ……
「…あっ……」
制服のリボンを解かれて、そのままワイシャツのポタンを外される。そうして露になったブラの上から、ぎゅっと胸を揉まれた。
「…あぁっ…紫暮…さんっ…あんっ……」
大きな手が私の胸をすっぽりと包みこむ。布越しとはいえ感じる指先の感触に私は睫毛をぴくぴくと震わせた。その節くれだって、ごわごわとしてるけど、優しい手が。優しい手が、私に触れてくれる事が。
「…紫暮…さん…じかに…直接……」
私は自らの背中に手を廻してブラのホックを外した。そして両の膨らみを露にさせる。見掛けよりも大きいのがちょっとだけ自慢だったりする。紫暮さんは大きな胸の方が好きだったら…嬉しいな。
「…本郷…ああ…すまない…俺は気が利かなくて」
貴方の言葉に私は微笑った。それで、いいの。そんな貴方が好きなの。貴方の不器用な優しさが、私は大好きなの。
「…いいの…だから、ね…」
私の言葉に貴方の手が再び私の胸に触れる。じかに、触れる。指先の熱さとその感触がじかに肌に伝わって。直接肌に、触れて。揉まれるたびに指の狭間から零れる胸が、貴方の力を跳ね返す弾力が。
「…あぁっ…んっ…はぁっ…んっ…あっ」
片方の胸を揉みながら貴方の口がもう一方の乳首に触れた。そのまま口に含まれ舌に転がされ、私は瞼が震えるのを抑えきれない。吐息が乱れるのを止められない。
「…あぁっ…あっ…ん…は……」
ちろちろと舌で突起を嬲られ、乳房を鷲づかみにされる。それは、決して上手いとは言えなかったけれど。けれども、想いは、優しさは、伝わるから。
「…はぁぁ…紫暮…さんっ…あんっ……」
「―――本郷…俺は…その……」
胸から唇を離して、そして。そしてゆっくりと私を見下ろした。何時もは怖いと言われている貴方の顔が真っ赤になっている。そんな所…大好き。
「…大好き、よ…紫暮さん……」
にっこり微笑って、私は上半身を起して貴方にキスをした。とびっきりの想いを込めて。
「ああんっ!」
口付けていた私の唇が耐えきれずに離れる。貴方の手がスカートの中に入り、パンティーの上から私の割れ目に指を入れたので。既に布からは恥ずかしい染みが零れていて、じわりと貴方の指先を濡らした。
「…ああっ…あんっ…あんあんっ!」
最初は布越しからなぞっていた指先も、何時しか布を掻き分けじかに私の花びらに触れた。とろりと蜜を零し淫らに蠢く蕾に、太い貴方の指先が埋め込まれていく。
「…はぁぁっ…ああっ…ふうんっ!」
喘ぎを堪えながら貴方の唇にもう一度キスをした。舌を絡め、吐息を零しながら。くちゅくちゅと上からも下からも、濡れた音が聴こえてくる。それだけで、私は子宮がじゅんっと鳴るのが分かった。熱い、と思った。貴方と繋がっているんだと感じるだけで。そして。そして、それ以上に……。
「…紫暮…さっ…ん…私……」
唇を離して、背中から廻していた手を離して。そして私は貴方のズボンのジッパーへと手を廻した。それは既に布越しにも関わらず充分な硬度を持っていて、私を悦ばせた。
「…私…コレが……」
ジィーと言う金属音とともに、貴方のソレが現れる。身体と同じく逞しく立派なソレが。大きくて、熱くて太い、ソレが。
「…コレが…ね、欲しい……」
上半身を起したまま、私は貴方のソレを掴むと、貴方の前に膝立ちになる。そんな私の腰を貴方の逞しい腕が支えて。
「――本郷…俺はお前の事が……」
そのままひょいっと私を抱き上げて、そのまま貴方の膝の上に乗せられて。そして。
「…誰よりも…好き…だぞ……」
「…私も…好き…大好きよ……」
――――そしてそのまま、一気に貫かれた。
大好き、一番大好き。
優しくて、大きい人。
全部、全部、大好き。
その大きな胸が私を抱きしめてくれる瞬間が。
その広い背中が私を護ってくれる瞬間が。
貴方の全部が大好きだから。
貴方の全部が欲しいの。全部。
全部、私だけのものに、したいの。
「――――ああああっ!!!」
貫かれた瞬間、私は我を忘れて喘いだ。ずぶずぶと濡れた音とともに楔が私に埋め込まれてゆく。腰を引き寄せられるたびに肉が擦れ合って、熱い熱を生んだ。
「…あああっ…あああんっ!!」
耐えきれずにその広い背中に爪を立てた。パリバリと音とともに血が零れているのが分かる。けれども私は止めなかったし、貴方も手を離そうとはしなかった。
…だって。だってこの背中は私だけのもの、だから……
「…あああ…あんっ…あんっ…あぁぁ…もうっ……」
「…本郷……」
「…もぉ…私…私…ダメぇ…ああんっ!!」
「…くっ俺も…もう……」
「ああああああっ!!!!」
熱い液体が私の中に注がれる。それを感じながら、私の意識は真っ白になった。
一番大好きな人。一番大切な人。
大きくて優しい貴方。強くて不器用な貴方。
その全部がね。全部が、私は。
―――私は大好き、だから……
「…キス、していい?」
繋がったまま、抱き合った。離れてたくなかったから。
「あ、ああ…幾らでも…」
ずっと繋がって、いたいから。
「――――お前が…望むなら…俺は……」
End