小さな嘘

積み重なってゆく、小さな嘘。小さな、罪。
それが何時しか胸を埋めたなら。
痛みと苦しさで、潰されてしまうのかな?

―――それでも好きでいることを…止められないから……



「…小蒔、好きだよ……」
耳元で囁かれる優しい声に、ボクは小さく頷いた。本当は声にしてボクも…って言いたかったけれど、今はこの胸に降りてくる苦しさがそれを言わせてはくれなかった。
「…ひーちゃん……」
顔を上げれは苦しいくらいに優しい笑顔。この笑顔が、好き。この笑顔が、大好き。ボクはずっと。ずっとこの笑顔だけを、見つめていた。
「君が好きだよ」
大きな、けれども綺麗な指先がボクの頬に掛かって。掛かってそのままひとつキスをしてくれた。唇が触れるだけの甘い、キス。このキスに全てが溶かされたなら…ボクの胸の罪悪感も消えるかな?って思った。消えるはずのない事は分かっていても、それでも思った。この甘さに溶けてしまえたら、と。


小さな嘘が積み重なってゆく。少しずつボクの胸に積み重なってゆく。
『…小蒔…私ね、龍麻が…好きなの…』
ごめんね、葵。ボクもね、ボクもひーちゃんが好きなの。
『…って誰にも言わないでね…小蒔だから言ったんだから』
うん、言わないよ。言わない。だって葵とボクはずっと親友で親友同士で…でも…。


――――小蒔、僕は君が好きなんだ……


どうしてあの時言えなかったのか?どうして一言言えなかったのか?
ボクもひーちゃんが好きだって…ひーちゃんもボクを好きだって…
ただ一言告げれば、よかったのに。よかったのに言えなくて。言えなくてボクは。
ボクはこうやって小さな嘘を付き続け。付き続け、大事な友達を裏切っている。


それでも、止められない。好きだという想いを、止められない。ボクはどうしたらいいの?
「…ひーちゃ…んっ…ふぅっ…ん……」
もう一度口付けられ、顎に手を掛けられ口を開かされた。そのまま生暖かいキミの舌が口内に侵入して、ボクのそれを絡め取った。くちゃりと濡れた音を立てながら、舌が絡み合う。その音にボクは頭の芯がぼーっと熱くなった。
「…んんっ…はぁっ…ん……」
このまま熱くなって、溶けたいなと思った。そうしたら何も考えなくてすむから。もう何も考えなくても、いいから。だから全部。全部、溶けてしまいたい。
「…小蒔……」
「…はぁぁっ……」
長い口付けから開放されて、口許に零れる唾液をその指先が拭う。ひーちゃんの手、大好きだった。あれだけ戦いの中にいながらも、綺麗な手。男の人とは思えないくらい綺麗な手が、ボクは大好きだった。
「―――苦しいの?小蒔」
その手が唾液を全て拭ってそのままボクの頬に重なると、そっと両手で包み込んだ。綺麗な漆黒の瞳がボクを見下ろす。何時もこの瞳に惹かれていた。何時もこの瞳が怖かった。綺麗で曇りのないその瞳は、些細な誤魔化しですら見透かしてしまいそうで。
「…え?……」
「瞳が、言っているよ『苦しい』って…僕じゃ何一つ頼りにならないのか?」
「…違うっ…ひーちゃん…ボクは……」
「君が好きなのに、僕じゃ何も出来ないの?」
頬を包み込む手は何時しかボクの背中に廻り、そのままきつく抱きしめられた。大きな広い腕がボクを包み込む。ボクの全部を、包み込む。このまま。このまま全てがキミの中へとすっぽりと、包まれたならば。
「―――僕はね、小蒔。君が好きなんだよ。君だけが、好きなんだ。他の誰にも君の代わりにはなれないし…僕が君を選んだんだよ」
髪を撫でられ、そのままひとつ唇が降りてくる。どうしてかな?唇に触れられるキスよりも、髪に触れられるキスの方が、切なく感じるのは。どうして、かな?
「…ひーちゃん…ボクは…ボクは凄くイヤなコだよ…ひーちゃんには相応しくない…イヤなコだから……」
優しいから。この腕が優しいから、逃げている。葵から、自分から、逃げている。ボクが悪いのに。ボクが一番悪いのに。葵に言えないボクが一番悪いのに。そして菩薩眼と黄龍の器の離れられない絆を知りながら…キミを好きになったボクが一番…悪いのだから…。
「どうして?誰よりも君が優しくて、そして他人思いだって事は…僕が一番知っている」
再び頬に手が掛かり、視線がかち合う。やっぱりキミの瞳は優しい。どんな時でも、ボクを包み込んでくれる優しい瞳。本当はきっとこの瞳はボクが手にしてはいけないモノなのかもしれない。本当は、ボクが独りいじめしちゃいけないものなのかもしれない。
「…でもボクは…いっぱい嘘…付いている…いっぱいの嘘を……」
「―――美里の事?」
キミに言われて自然に身体がびくりと、跳ねた。気付いていたの?葵の思いに、ひーちゃん気付いていた?気付いて、いたの?
「確かに美里と僕は運命に決められた相手かもしれない。でも僕は運命よりも、君が好きなんだ」
「…ひーちゃん……」
「美里が僕を好きだというならそれはやっぱり運命に操られているんだよ。でも僕は自分の想いは…気持ちだけは護りたい。例え黄龍の器から逃れられないのだとしたならば、自分のこの気持ちだけは…貫きたい……」
「…でも…ひーちゃんと葵は…それに葵はひーちゃんの事……」
「僕は君が、好きなんだ。小蒔」
真っ直ぐに、反らされる事のない瞳。強い光を持って、ボクを見つめる瞳。そこにはやっぱり何一つ曇りがなくて。ただひたすらに、真っ直ぐにボクだけを、見つめて。ボクだけを…見て……。
「君がその事で苦しいのなら、全てが僕のせいだ。君を好きになった僕のせいなんだ」
ボクだけを見つめてくれる瞳。大好き。どうしようもないくらいにキミが好き。どんなになっても、ボクは。どんなに嘘を付いても、どんなに罪を犯しても。それ以上に、キミが。キミがボクは好き、だから。
「…ひーちゃん…ボクも…好き……」
どんなにひどいコになっても。どんなにイヤなコになって、ボクは。ボクはキミを好きだという想いを、止められない。キミへの想いを、止められないから。
「…キミだけが…スキ……」
どんなに悪者になっても、いい。キミがそばにいてくれるのならば…運命に逆らっても、いい。


「…あっ…ひーちゃっ……」
制服の上から胸を揉まれた。布越しなのに、指の感触がリアルに感じる。くしゃりと服の上から揉まれて、ブラをしているのに乳首が尖っているのが分かった。
「…止めっ…こんなトコで…あっ……」
誰もいない放課後の教室。誰もいないけれど誰が来るかは分からない。誰に見られるか、分からない。それでもキミは手の動きを、止めなかった。
「―――いいよ、見られたら見られたで。君を僕のモノだって見せつけられる」
「…あっ…あぁ…ひーちゃんっ……」
制服のリボンが解かれ、そのままブラウスのボタンを外された。上から三つ目まで外されたところで一端手が止まり、そのまま背後に回るとプラのホックが外される。
「それにこれで小蒔、逃げられないよ」
「…やだっ…こんな…あぁっ……」
胸が剥き出しにされたが、ブラとブラウスは全て脱がされなかった。そのせいでボクは下手に身動きが取ることが出来ない。それを見越してかボクの身体を反転させると、後ろからキミはボクを抱きしめた。
「イヤ?でもココ、こんなになってるよ」
「…あぁっ…んっ…ひーちゃ…んっ…そんなコト…言うな…よっ…あぁ……」
外界に出された乳房を揉みながら、尖った乳首を指で摘まれた。それだけで敏感なソコは紅く熟れる。その反応を楽しむようにキミは、何度も何度も胸の突起を指で摘んだ。
「…やんっ…ダメ…ひーちゃんっ…あぁ……」
その間にもキミの唇はボクのうなじを滑り、そのまま背中をぺろりと舐める。中途半端に脱がされたブラウスが、キミの舌から零れる唾液で染みを作った。
「ダメかどうかはコッチの口に、聴こうか?」
「―――あんっ!!」
スカートの中に後ろから手を忍ばされ、そのままパンティーの上から割れ目をなぞられた。それだけで、分かるだろう。布越しから感じる湿り気で。
「…やぁっ…あんっ…ダメ…ひーちゃんっ…あぁ……」
「コッチの口はイヤがってないみたいだよ、小蒔。こんなに濡れてる」
「…そ、そんなコト…言わない…あぁんっ!……」
ずぷりと音とともに、指が中へと入ってくる。薄い布を横にずらし、そのまま割れ目を指が抉った。
「…あぁっ…くふっ…はぁっ…ダメ…ダメ…ひーちゃっ……」
ぐちゅぐちゅと淫らな音とともに、中が掻き回される。快楽を知っている内壁は刺激を逃がさないようにと、必死でその指を締め付けた。その感触に、ボクは。ボクは……。
「…ダメ…もう…ボク…立て…ないっ…あぁっ……」
膝ががくがく揺れて、もう一人では立っていられない。そんなボクにキミの腕がしっかりと支えながら、中をいたぶる。けれどもそれも、もう限界で。
「…あっ……」
耐え切れずに目の前の机に手を置いた。けれどもそれでも身体が支えきれずに崩れ落ちる。その瞬間キミの手がボクの腰を抱かえてくれたが、そのままずるりとボクの脚は膝まで床に崩れ落ちた。
「大丈夫?小蒔」
「…バカ…誰のせいでっ……」
「でもこの格好も、そそるね」
机の脚を手で掴んだまま膝立ちになったボクを、キミは背後から抱きしめて耳元で囁いた。その言葉にボクは、子宮がじゅんっと疼いたのを感じた。
「―――このまま…させて……」
「…え…あっ!……」
ボクがその返事に答える前に、キミの手がボクのスカートを捲り上げると、そのままパンティーを脱がされた。
「…ちょっと…待っ…ひーちゃんっ……」
「駄目待てない。僕はもうこんなだ」
「…あっ……」
ジィと金属音とともにファスナーが降ろされる音。そして剥き出しになったボクのソコに硬く熱いモノが当てられて。
「―――小蒔、好きだよ」
そのまま腰を引き寄せられ、一気に貫かれた。


止められない、から。好きを、止められないから。
溢れて零れて、そして。そして全身を埋めて。
罪よりも罪悪感よりも、もっと。もっと深い場所から。
ボクの全てを、想いが浸してゆくから。


ガクガクと小刻みに机が揺れた。キミが作り出すリズムに合わせて、机が揺れる。ボクの手が必死にしがみついているせいで。
「…あああっ…ああんっ…ひーちゃっ…あぁぁっ……」
後ろから貫かれ、激しく腰を揺さぶられる。抜き差しを繰り返すたびに、中の楔が熱く硬くなって。
「…あぁっ…ああんっ…あんっ…あんっ……」
内側からボクが溶かされてゆくようで。どろどろに溶かされてゆくようで。擦れあう肉の摩擦が、粘膜から伝わる激しさが。
「―――小蒔…大好きだよ、小蒔」
「…ひーちゃん…はぁぁっ…あぁぁっ…あんっ……」
「君だけが、好きなんだ」
「…ボクも…あぁぁ…ボクもっ…ひーちゃん…だけ…はぁっ…んっ……」
つたわる、もの。つたわる、おもい。ぜんぶ、ぜんぶ、まじりあって。まじりあって、そして。そしてひとつに、なりたい。
「…好き…ひーちゃんがっ…好き……」
今はもう何も考えずに、ただ。ただキミを。キミを好きでいたい。キミだけを好きでいたいから。
「ああああああっ!!!」
中に注がれる液体の熱さに酔いしれながら、ボクは意識を真っ白にした。



「…これで子供でも出来たら……」
ボクの中にはまだキミが入っている。一度吐き出したとはいえまだ充分な硬度を持ったソレが。ソレがボクの中に、入っている。
「そうしたら本当に運命に、逆らえるかな」
「…もう…何バカ言って…ゴム付けないでするキミが…悪いんだぞ……」
口では咎めながらも、それでもいいと思った。キミの子供が出来たら本当に。本当に運命すらも断ち切れるかな、って思った。
「それだけ本気だって事だよ。小蒔になら…責任は取るつもりだってね」
「…もぉ…バカ……」
飽きれたように言ったボクの髪にキミのキスが降りてくる。そっと優しい、キスが。


――――何時もその優しさが、ボクを包み込んでくれるから……



ゆっくりとキミの優しさに包まれて。
胸の痛みが消えてゆく。罪も嘘も消えることはないけれど。
それでもこの腕が、ボクを抱きしめて。この手がボクを包み込む限り。




…罪も嘘も、こうして。こうして分け合うことが…出来るから……





End

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