見つめていてね
何時もずっと、私の事だけ見つめていてね。
だって。だってずっと、大好きだから。
「本当に君は…こっちが困るくらいに可愛いね」
如月の言葉に舞子は無邪気に微笑った。何時でも彼女は屈託のない笑顔を向ける。誰にでも、向ける。それが如月にとって何よりも彼女の愛すべきところだった。
「だって如月くんが言ったんだよ。ナース服でえっちしたいって」
確かにそんな事を言った気がする…無論冗談で、だ。ただしそれは舞子には通じなかった。彼女はどんな言葉でも素直に受け取る。まして自分の好きな相手の願いならば、迷うことなくそれを実行するだろう。現に今、如月の目の前にはピンクのナース服を着ている彼女がいるのだから。
「へへ、だからね。しよ」
ベッドの上に腰掛け本を読んでいた如月に、ねだるように舞子は抱き付いてくる。そんな子猫のような仕草も、如月にしてみれば愛しいものだった。
この少し頭が足りない彼女の、ただひたすらに純粋な部分が。そんな部分が何よりも彼にとって必要なものだったから。飛水流の末裔に生まれ、ただ厳格に生きてきた日々。そこには駆け引きと陰謀と、探り合いしかなかった。どんな言葉にも必ず裏があり、それを探り合う日々。そんなくだらない日常の中で見つけた、ただひとつの純粋な心。この綺麗な心さえあれば、他に何もいらなかったから。
「君のそう言う自分を隠さない所が…大好きだよ」
読んでいた本をそのままベッドサイドに置いて、抱き付いてくる舞子にキスをしながらその身体をベッドに押し倒した。
「…んっ…如月…くん…んんっ……」
柔らかい栗色の巻き毛を撫でながら、如月は彼女の唇に何度も口付けを落とす。ピンク色の艶やかな唇が唾液で光るまで、何度も吸いながら。
「…んん…ふぅっ…ん…んんん……」
薄く開いた唇に舌を忍ばせ、そのまま絡め取るときつく吸い上げる。くちゅくちゅとわざと濡れた音を立てながら。そうする方が彼女が感じると知っているから、如月はわざと卑猥な音を立てた。
「くす、イイ子だね。ブラ取ったんだ」
「――あんっ!」
ナース服の上から胸に触れれば、ぷくりと乳首が立ち上がる。それはピンクの布にくっきりと形を見せて、彼女が下着を着けていいない事を伝えていた。
「…だってぇ…如月くん…そう言うの好き、でしょう?……」
上目遣いに悪びれずに見上げてくる彼女が愛しかった。そのまま優しく布越しに胸を触れながら、啄ばむようなキスを繰り返す。そのたびにぴくんっぴくんっと小刻みに身体が跳ねた。
「君が好きなんだろう?」
くすくすと如月は微笑うとそのまま耳たぶを噛んだ。それと同時に強く胸を揉む。その刺激に乳首は痛いほど張り詰めて、胸の部分の布が強く引っ張られた。
「…ああんっ…だめぇ…如月くん…そんなコトしたら服が……」
「服が?」
「…しわくちゃに…なっちゃうよぉ…だから……」
胸に当てていた如月の手を舞子は自らの指で絡める。そして首もとにあるボタンへと導いてそのまま外させた。
「…だから…ちゃんと…脱がして…ね」
「僕はこのままの方が好みなんだけど」
「だめぇっ舞子病院行けなくなっちゃうよっ!」
ぷうっと子供のように頬を膨らましながら拗ねる彼女に如月は微笑った。その顔がちょっと悔しいと言って、コツンと一回舞子に頭を叩かれることになったが。それでも如月は笑みを止めなかった。そんな子供のような所がどうしようもない程に、愛しいと想ったから。
「じゃあ妥協して、ここまで」
「あんっ!」
アンダーバストの部分までボタンを外すと、ぽろりと外に胸が零れてきた。大きくて形良い、白い胸が。その胸に如月の綺麗な指が触れる。触れるだけで弾力のある乳房は弾み、力を込めて揉めば、胸が指の隙間から零れて来た。
「…ああんっ…あんっ…如月くん…イイよぉ…もっとぉ……」
相変わらず自分の快感を隠さない所が、如月には可愛くて堪らなかった。今まで抱いてきた女のコ達はまるで自分を飾ろうかとするように、わざと恥らったりウブなフリをしたりする。生憎真実を見極めることが出来る自分にはそんな演技は無駄でしかなかったが。そんな自分を高く売ろうとする女のコ達よりもずっと。ずっと快楽に素直な彼女の方が可愛かった。可愛くて堪らなかった。
「素直な子は僕は大好きだよ…手と口と、どっちがいい?」
「…えっとね…両方が…いいよ…舞子…両方が、いい……」
「じゃあ望み通りに」
「ああんっ!!」
一方の胸を激しく揉みながら、尖った乳首を口で吸い上げた。舌先で転がしながら、軽く歯を立てる。それだけで白い彼女の肌がさあっと朱に染まった。
「…あんっ…あんあんっ…イイよぉ…気持ち…いいよぉ…如月…くんっ……」
舞子の手が如月の髪に絡まり、そのままぎゅっと引き寄せた。もっと刺激が欲しくて。もっと強い刺激が欲しくて…。如月はその手に答えるように、舞子の弱い部分を集中的に攻めたてた。
「…あぁん…はぁんっ…あんっ!」
胸に這わせた舌はそのままで、如月は舞子の下半身へと手をまさぐった。太ももまでしかないスカートを捲り上げパンティーに辿り着くと、布越しから割れ目の部分に触れた。それは既にじわりと濡れた感触を如月の指先に伝えた。
「…あんっ!…ああんっ!……」
何度かその濡れた布の感触を指で確かめて、そのままパンティーの中へ手を入れた。茂みを掻き分け花びらに触れる。外側の柔らかい肉の部分を辿り、掻き分けるように秘所へと指を忍ばせた。濡れぼそり、ひくひくと蠢く秘所へと。
「…ひゃあんっ…あぁ…ん…あっ!!」
まるで電流が走ったように、舞子の身体が跳ねる。剥き出しになったクリトリスに如月の指が触れて、そのままぎゅっと摘み上げたからだ。その痛みのような快感に耐えきれずに舞子の口からは悲鳴のような声が漏れ、口許からは唾液がつううと伝わった。
「…あぁ…ああん…ダメぇ…ソコは…舞子…イッちゃ…あぁぁ……」
ナースソックスを付けている脚がびくびくと震える。それは素足の時よりも何故かひどく淫らに見えた。太ももまで覆われている半透明の布から覗く、細い脚が。
「イクかい?このまま」
淫らに喘ぐ恋人の顔を見下ろしながら如月は言った。胸まではだけられたピンク色のナース服。下は一番恥ずかしい個所が丸見えになるように捲り上げられて、脚には半透明のナースソックスが履かれている。それはひどく。ひどく如月を欲情させた。
「…うん…もぉ…イッちゃう…イッちゃうよぉ…舞子……」
「いいよ、イッちゃっても…君の可愛い顔が見たいから」
「―――あああんっ!!」
痛いほどにクリトリスを摘むと、舞子のソコからは大量の蜜が零れた。
「これ破きたい衝動に駆られるよ」
如月は舞子の脚を掴むと、そのまま広げさせた。その脚に履かれているナースソックスを撫でながら。
「むぅ、ダメだよぉ。そんなコトよりも…ね……」
ぺちっと撫でていた手を叩いて、舞子は自らの秘所を指先で転げた。先ほど零した蜜がとろりとソコから溢れている。イッた余韻を残し、ひくひくと切なげに震えながら。
「…如月くんの…欲しい…の…舞子のここに…ねぇ……」
「くす、よく言えました」
ひとつ如月は微笑って自らズボンのファスナーを外し、自身を取り出した。それは既に充分な硬度を持ち、舞子を悦ばせた。
「…いっぱい…ちょうだいね……」
剥き出しになった如月自身に舞子は自らの花びらを重ねた。そのままずぶずぶと音とともに、熱い楔が中へと入ってくる。
「…あああっ!!…あああんっ!!!」
如月は舞子の細い腰を掴むとそのままぐいっと引き寄せた。そして自身を彼女の中に収めると、そのまま腰を揺さぶり抜き差しを繰り返す。貫かれるたびに舞子の中の如月自身が強く硬くなって、彼女の淫らな内壁を悦ばせた。
「…ああんっ…あああんっ!…イイ…イイよぉ…如月くぅんっ…もっとぉ……」
「もっと、欲しいの?」
「…欲しい…欲しいよぉ…いっぱい…いっぱい…舞子の中に…ね、ちょおだいっ……」
喉を仰け反らせ、髪を振り乱し喘ぐ彼女は何よりも愛しい。桜色の唇から零れる熱い吐息も、大きな瞳から零れる快楽の涙も。全部、全部、愛しいから。
「―――いいよ、幾らでも。僕の全部は君のものだから」
「…あああんっ…あんっ…ああんっ…如月くん…如月…くぅんっ!」
「中に出しても、いい?」
如月の言葉に舞子はこくこくと頷いた。それを確認して如月は激しく腰を動かし彼女の身体を蹂躙する。その度に甘い悲鳴が彼女の口から零れて。零れて、そして。
「あああああああっ!!!」
どくんっ!と弾ける音とともに彼女の体内に熱い液体が注ぎ込まれた……。
大好きだからね、ずっと。ずっと、見つめていてね。
私のことだけ、見ていてね。見てくれないと、私。
私凄く淋しくなって。淋しくなって、泣いちゃうから。
「へへへ、舞子のもの」
ぎゅっと僕に抱き付く彼女が。嬉しそうに抱き付く彼女が何よりも愛しい。
「うん、僕は何時でも君のものだよ」
愛しくて堪らなくて、そして。そして愛している。僕の。
「君だけのもの、だよ」
僕のただひとりの可愛い恋人だから。
だからずっと。ずっと、君を見ているよ。
どんな時でも。どんな瞬間でも。君が。
――――君が淋しくないように……
End