恋ゴコロ
まだ日差しが暑さを残す午後、雛乃は独り境内の掃除をしていた。双子の姉は相変わらずこう言った事は嫌いで、自分に任せてとっとと出掛けてしまった。
「…お姉様ったら……」
口から零れる軽いため息は、けれども姉を否定している訳ではなかった。否定なんて出来る訳が無い。雛乃はこの双子の姉が…自分と正反対な活発な姉が大好きだったのだから。
けれどもそんな姉よりも…世界で一番大切な筈の姉よりも…自分にとって大切なひとが出来てしまったのを。自分の心に芽生えてしまった想いを、止める事は出来なかった。
恋心。
切ない恋心。
どうしたら。
どうしたら貴方に届くのでしょうか?
どうしたら、私を。
私を見てくれるのでしょうか?
風が一つ吹いて、雛乃の黒い髪を揺らした。長い髪はまるで生き物のように雛乃の衣服に絡みつく。白い上着と紅い袴のコントラストにひどく、黒い髪が映えた。
僕を好きだと言ってくれる女の子は皆、大好きだよ。
そう特に、なにも駆け引き無しに。ただ。
ただ僕を好きだと言ってくれる女の子は、ね。
―――カサリ…と誰もいない筈の境内に砂を踏むような音がして、雛乃は振り返った。そこには。そこには、自分が一番逢いたくて、そして逢いたくない人が…いた……。
「…如月様……」
箒の手を止めて雛乃はその相手を見上げる。何よりも綺麗な人を。まるで子供の頃見ていた絵本から飛び出した王子様のようなその人を。
「やあ、久しぶりだね。雛乃」
口許だけで笑うその笑顔を雛乃は気付かない。そこまで雛乃には人の裏を見る事は出来ない。ただ純粋に、純粋にその笑顔に魅せられるだけで。
「今日はこんな所に…どうされたのですか?……」
雛乃は気付かれないように普通に接しているつもりでも、その箒を持つ手が震えているのは明らかだった。小刻みに震えている手が、如月にはひどく可愛いと思った。
―――可愛い、よ。ミエミエの好意が……
「君に、逢いたかったから」
くすりとひとつ笑って、如月はそっと雛乃を抱きしめた。そんな行為に慣れていない雛乃の身体がぴくりと揺れる。けれども構わずに如月はその髪にそっと指を絡めた。
「…き、如月様っ……」
「僕に抱きしめられるのは嫌かい?」
指を絡めて髪を撫でながら、そっと耳元で如月は囁いた。そのあまやかに溶ける声に雛乃の瞼が、震える。そして。
「…あ…あのイヤでは…私は…」
「くす、可愛いね君は」
そう言って如月は戸惑う雛乃の唇にそっと。そっと口付けた。
腕の中で震える君が可愛いよ。
震えながらも一生懸命僕のキスに答えてくれる君が。
君が可愛いから。
食べちゃっても、いいかい?
「…雛乃……」
「…あっ…き、如月様っ!」
顔にキスの雨を降らせながら、如月は白い着物の上から胸に指を這わせる。この年頃の女の子の胸にしては掴みごこちは小さかったが、感触は悪くなかった。
「…や、止めてくださいっ如月様っ!」
如月の手が自分の胸に触れている事に気付いて、雛乃は抵抗を始める。けれどもその抵抗はキスの雨のせいで弱々しいものだった。
如月は胸元の合わせの部分から手を滑らせて、じかに胸に触れた。着物の下は下着を付けていなかった。
「…あぁっ……」
初めて男の人の手に胸を触れられて、雛乃の頬が紅潮する。それは恥かしさと、そして恥かしさ以外の何かが背中からじわじわと押し寄せてきて。
「…だ、ダメです…こんな…こんな…如月様……」
「どうして?君は僕を好きなんだろう?」
その言葉に雛乃の耳がかぁぁっと赤くなる。自分の気持ちを見透かされていた事にどうしようもない羞恥心が芽生えて来る。
「…イヤですっ如月様…こ、こんな所で……」
それでも話題を擦り変えようと場所の事を告げた。場所…そうここは境内で幾ら普段ほとんど人通りがないと言っても、公共の場なのだ。ましてや神様が見ている前で、こんな自分の恥かしい姿を見せる事になるなんて…。雛乃はそれに堪えきれずにイヤイヤと何度も首を振った。
「どうして?君の可愛い姿を神様にも見せてあげようよ」
「あっ!」
上着の合わせの部分を広げられて、両の胸が太陽の下に暴かれる。その胸はまだ小ぶりだが、綺麗な形をしていた。その白い胸元に如月はひとつキスを、する。
「勿体無いよ、こんなに綺麗なのに」
「…あっ…止めて…止めてください…如月様……」
柔らかく胸を揉みながら、乳首に指を這わした。その途端身体に電流が走ったような感触が走った。
「…ああっ!……」
「雛乃君は、ここが弱いんだね」
くすりと笑うと如月は小さな乳首を胸に含んだ。そのピンク色の乳首は、雛乃を処女だと現しているようで、如月の笑みを益々深くさせた。
「…ああんっ…やぁ…はぁっ……」
唾液で濡れるほどに、胸の突起を如月はしゃぶった。巧みな舌使いに、雛乃は抵抗する事も出来なかった。無理も無い。男の手を知らない彼女が、百戦錬磨の如月のテクニックに溺れるのは時間の問題だった。
「…あぁ…んっ…如月…様…ダメです…如月様……」
言葉だけの抵抗が、雛乃の口から零れて来る。けれども如月は構わずに乳首を舌でなぞり続けた。
そしてそのまま紅い袴の裾を上げる。ズボンのようになっていたかと思っていたそれは、如月の予想に反してスカート上になっていた。更に。更に…
「くす、こっちの下着も付けていないんだ」
「…やあんっ……」
袴をたくし上げた瞬間に、如月の視界に飛び込んだのは白い両脚と、そしてその狭間に揺れる薄い黒い波。如月はその恥毛を掻き分けて、雛乃の一番大切な場所に触れた。
「…ああっ!!」
びくんっと雛乃の身体が揺れる。それを合図に如月の指は奥へ、奥へと忍び込んでゆく。指など受け入れた事の無い場所が、異物を排除しようと蠢く。けれどもそれが逆に如月の指を締め付ける結果になっているにも関わらずに。
「こうされるのは、初めてかい?」
耳元で囁かれてかぁぁっと雛乃の身体が朱に染まる。それが何よりも如月の問いを明確に返答していた。
―――やっぱり処女か…僕がいただいちゃっても…いいのかな?
そんな事を一瞬思ったが、如月の手は止まらなかった。抵抗する肉を掻き分けて、雛乃のヴァギナを刺激する。それは未知の感触。雛乃が知らなかったモノ。
「…ああっ…止めて…止めてください……」
本能的に知らないという行為が雛乃に恐怖を呼び起こす。けれども言葉とは裏腹に雛乃のソコからは何時しか蜜が零れ始めていた。甘い。甘い、蜜が。
「口ではそう言っても君のココはぐしょぐしょだよ」
「やあ…如月様…そんな事…そんな事言わないでくださいませ……」
「でも本当だよ。ほら、こんなに」
雛乃の秘所から指を引き抜いて、如月は濡れた指先を見せた。それは言葉通りにてらてらと愛液で濡れていた。
「…止めてください…如月様…雛乃…雛乃は恥かしゅうございます……」
「こんな事で恥かしいの?これからもっと恥かしい事するのに」
「…き、如月様…あ…あの……」
戸惑っている雛乃の顔にひとつキスをすると。如月はズボンのファスナーを降ろしてその眼下に逞しい自身を曝け出した。
「これから君のココに、コレが入るのに」
「…あ…そ、そんな…如月様…そんな大きなモノ…む、無理です…雛乃には無理でございます……」
「どうして?女の子はいずれ皆経験する事だよ」
「…で、でも…雛乃は……」
「雛乃は僕が好きなんだろう?」
「…如月様……」
「だったら…ひとつになろうよ……」
そう言いながら何よりも優しい顔をする如月に…雛乃は首を横に振る事が出来なかった……。
「あああ―――っ!!!」
ずぶりと入ってきた異物に雛乃の顔が歪む。今まで受け入れた事のない箇所に突然大きな塊を突っ込まれ、堪えきれずにそこからは血が零れてきた。
「くす、やっぱり初めてだったんだね」
「…あぁ…痛い…痛いですぅ…如月様っ………」
ピキっと音がするのが分かる。雛乃の処女膜が破れた音だった。それによってまた血が流れ出したが、如月はあえて止めなかった。その血の力を借りて、そのまま一気に全てを埋めこむ。
―――ズズズ……
一端全てを埋め込むとしばらくその衝撃が収まるまで如月は動きを止めた。しばらくすると雛乃の顔からは、痛み以外のものが交じり合ってくる。
「…痛い…いたぁ…ああん……」
声が、吐息が。甘くなるのを感じて如月はその細い腰に手を掛けた。
「…あああっ!!……」
がくがくと腰を揺さぶってやる。その振動で雛乃の小ぶりの胸が震えた。それが如月にはひどく。ひどく可愛く思えて。
「雛乃、可愛いよ」
「…あああんっ…はぁ…あああ……」
「可愛いよ、雛乃」
「…あああああっ!!!……」
血を流しながらも、雛乃は自ら快楽を求めて腰を振り始めた。その瞳はもう何も映してはいない。その視線は何時しか如月の作り出す快楽を追って、追って……。
熱い液体が身体に注ぎ込まれるのと同時に、雛乃は意識を失った。
何の疑問も持たずに、僕を好きだと言う君。
可愛いね。僕はそんな君が大好きだよ。
「…如月様……」
目が醒めてうっとりとしたような目で僕の名を呼ぶ君に。
そんな君に僕は何よりも甘いキスを、して。
「―――好きだよ、雛乃」
君の大好きであろう優しい笑顔を向けた。
君が大好きな、僕の偽善者の笑顔を……
End