キミと、ボク

本当に世の中ってどう転ぶか分からない。はっきり言ってボクはこのタイプはだいっきらいだったんだ。カッコ良くて頭よくて女にモテモテで…でも寄って来る女の子をおもちゃ程度にしか思っていなくて…そんな奴最低だって思っていた。思っていたから…こんな事になるなんて…ボクは全然、信じられないんだ。


「桜井さんは何時も元気だね」
くすくすと笑いながら見上げて来るこの綺麗な顔に…不覚にもボクはどきどきしてしまう。美形とか、そう言うタイプは全然興味なかったのに…どうしてこんなにボクはどきどきしてしまうんだろう。
「き、如月クンは…何時も静かだね……」
公園のベンチに座ってボクを見上げる如月クンの顔は、何時も涼しげであまり表情が変わらない。怒ったり泣いたり笑ったり、すぐに顔に出るボクとは正反対だ。全然ボクとは、違う。そしてボクの廻りにはいなかったタイプ。
「そう?そんな事は本当はないんだよ」
くすっと一つ笑って、如月クンは立ち上がる。そしてそっとボクの肩に手を掛けるとそのまま引き寄せた。不覚にはボクはそれだけで…それだけでどうしようもなくドキドキしてしまう。
「こうやって、どうしたら君に触れられるかそんな事を考えていたりするからね」
「もう、如月クンっ!」
どうしていいのか分からずに怒ってみると、キミは優しい笑顔をボクに向けてくれる。その笑顔が凄く、ボクは…好き、なんだ。
「やっぱりいいな、桜井さんは…そんな所が大好きだよ」
そう言うとそっとボクの唇にキス。甘くて蕩けそうなそのキスについボクは腕の中に凭れ掛かってしまう。ここが公園で公共の場だと言うにも関わらず。
「…如月クンも…そう言うトコ…ボク…好きだよ……」
消え入りそうな小さな声で言ったのに、きゃんとキミは聴いていてくれた…そんな所がやっぱり、好きなんだと思う。


『桜井さんって、イイね』

その言葉が始まりだったと思う。ただの仲間だった。仲間でしかなかったキミを意識し始めるようになったのは。ボクにとってキミは実は苦手なタイプだった。かっこよくって頭がよくて、女にモテるタイプ。黙っていても女が寄って来る…そして誰にでも平等に優しいけど、誰にでも平等に冷たい。多分ボクが近付いても軽くあしらわれると思ったから。
仲間だから、他の皆とも仲良くなりたいと思っているボクを、きっと簡単にあしらわれると思ったから。それなのに。それなのにキミの方から…近付いてきてくれた。
「君の瞳は真っ直ぐで嘘がない…羨ましいな」
「如月、クン?」
「僕の廻りには嘘の塊のような人間しかいなかったから、君はひどく新鮮だよ」
そう言ってキミは、微笑う。その笑顔がひどく、ひどく優しかったから。ボクは不覚にもその瞬間ドキッとしてしまったんだ。
――――大嫌いなタイプ、だったのに……。
「目が離せない」
その一言で、ボクはキミを見る目が代わっていったんだ。


「だ、ダメだよ…如月クン…こんな所で…」
公園の草むらでボクは押し倒されてしまった。如月クンとはもう何度かこう言った事をしているけど…流石に外では恥かしい。幾ら人がいないと言っても…ここは公共の場なんだから。
「―――君が僕を『好き』だって言ってくれたから」
「…き、如月クン?…」
「君の口から聴いたのは、初めてだから」
柔らかく笑って、甘いキスをくれる。蕩けるような甘いキスが、意識をぼーっとさせてゆく。このまま…ここでも…いいかな?って……。
「…初めて…だったけ?……」
何時もの癖で背中に腕を廻して、ボクは聴いた。無意識に腕を引き寄せたのは…やっぱりキミとこうしていたいからなのかもしれない。
「初めてだよ、君は中々言ってくれないから…本当は僕よりも醍醐君や龍麻の方がいいのかと思っていた」
「もう、何言ってんだよっ!ボクはキミが好きなのっ!でなきゃ」
「でなきゃ?」
「…こんなコト…しないぞ…」
その言葉にキミはまた、微笑った。ひどく優しく、そして暖かく。ボクはその笑顔が。その笑顔がひどく嬉しくて。
―――何時しかボクから、キスを…していた……。


ころころとよく代わる表情。
好きなモノは好きでと、嫌いなモノは嫌いだと。
君は言葉で表情で告げていた。
だからすぐに分かったよ。君が僕を苦手としていた事もね。
それでも。それでも僕は君に近付きたかったんだ。
―――初めてだったから。
僕の周りにいる女の子は何時も。何時も僕に媚びている。
何時も僕に好かれたくて、見え透いた嘘を付いている。
真実しか映さない僕の瞳にはそんなものは容易く見破られるのに。
それなのに君は、何一つ嘘がない。
何時でも真っ直ぐで、正直で。何時でも、一生懸命で。
そんな君が僕はどうしようもない程に好きになったんだ。

―――大好きだよ、桜井さん。


「…あんっ……」
セーラー服の上から胸を揉まれる。布越しに触れられているのにボクは、甘い声を押さえ切れない。
「桜井さん、立ってるよ」
「やんっ!そんなコト言うなよ…あん…」
ブラジャーもちゃんと付けているのに、ボクの胸の突起はぴんと張り詰めていた。セーラーの上からなのに分かるそれがひどく恥かしい。けれどもキミは必要以上にソコに指を這わす。
「こっちはどうかな?」
「――ああんっ!」
スカートの下に指が偲び込んだと思ったら、下着ごと秘所に触れられた。指が触れられるだけで身体がぴくんと跳ねるのを止められない。
「本当桜井さんは敏感だね」
「…く、口で言うなよ…恥かしいだろう?…」
「くす、可愛い」
そう言ってボクの瞼にキス。ああダメだ…そうされるとボクは本当に意識がとろんとしてしまう。如月クンのキスは本当に気持ちがイイから…。
「…あぁ…ん…はぁ……」
セーラーをまくり上げられて、そのままブラのホックを外される。―――わざわざ後ろに手を廻さなくていいから、いいよね…と前に言われてからフロントホックのブラをしているボクは…ちょっとバカなのかな?
「…あんっ…如月クンっ……」
眼下に曝された胸を揉みながら、乳首を吸われた。軽く歯を立てられて絶え切れずにボクはワイシャツを握り締める。ピンとしているシャツ。如月クンは何時も制服がピンとしている。乱れる事なんてない…でも…ボクはキミの制服が乱れる時を知っている。それって凄く嬉しいコトだったりする。
「…可愛いよ、桜井さん…」
「…あぁ…如月…クン…はぁっ……」
胸を舌で嬲られながら、下を指でいじられる。何時しか下着はぐしょぐしょに濡れていた。
「もういらないね」
「あんっ」
いとも簡単に下着が降ろされると、そのまま膝を立てられられた。そしてゆっくりと舌が胸からソコへと移動する。
「…ああんっ…ダメ…き、汚いよぉ…如月クン……」
「どうして?」
「…だって…ボクのソコ…濡れて……」
「大丈夫だよ、綺麗だよ桜井さん。綺麗で可愛いよ」
「…あぁ…ああ……」
生暖かい舌が生き物のようにボクのそれを舐める。廻りの柔らかい肉の部分をなぞり、そして次第に奥へと侵入して来る。
「…あ…はぁ…あぁん……」
どろりとしたボクの愛液を舐めながら、剥き出しになったクリトリスに軽く歯を立てる。それが。それがボクにとっては…。
「――あああんっ!!」
堪えきれずにボクは、達してしまった……。


「あああっ!!」
最初のエクスタシーを迎えたと同時にキミのソレが侵入してくる。大きくて硬くて熱いソレが。
「…あああんっ…あんっ…はぁっ……」
腰を抱きかかえられながら、ズンズンと奥へと貫いてゆくソレにボクは何度も意識が飛びそうになる。
「桜井さんの中、とっても熱いよ」
耳元で囁かれた言葉に、ボクは全身が真っ赤になるのを止められなかった。それと同時に子宮がキュンっと疼くのが分かる。多分ボクの中のキミを今、締め付けている。
「…ああ…きさらぎ…クン…ボク…あんっ…ああん……」
堪えきれずに背中にぎゅっとしがみつく。こうすると不思議に安心出来るのはどうしてかな?キミの背中に安心出来るのは…。
「…ああん…はぁんっ…はぁ…」
「桜井さん、こっち向いて」
「…きさ…らぎ…ク…ン……」
「可愛いよ、桜井さん」
「―――んっ…んんんんっ……」
唇を塞がれ、舌を絡められる。そしてそのままキミはボクの奥深くを貫いた。


気が、ついた。
キミの優しさ。見えない優しさに。
ボクは気がついたから。
多分他の誰も気付いていない。
そっとした優しさをボクは気付いたから。
だから、ボクは。

―――ボクはキミが好きなんだ…如月クン……。


「…やっぱり外は…恥かしいゾ……」
「でもたまにはいいだろう?」
「もうっどうしてキミはっ!!」
「だって、桜井さん」

「凄く気持ちよさそうな顔、していただろう?」


そんなキミの頭をひとつこつんと叩いて。
叩いてそして、ボクらは見つめ合った。
見つめ合って、そして笑い合う。

―――大好きだよ、如月クン………


End

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