君の声が、聴こえるから。
言葉にしなくても、声に出さなくても。
僕は決して君の声だけは…聞き逃したりはしないから。
だから、泣かないで。
夢を、見た。
小さな女の子が膝を抱えて泣いていた。何に泣いているのかは分からない。ただただ淋しそうに独りで泣いていたから。だから、僕は。
ずっと傍にいて、頭を撫でていた。その瞳が微笑みに変わるまで、ずっと。
君の笑顔が、見たいから。
「だーりんっ!」
後ろから抱き付いてきた彼女に苦笑を隠し切れない。でもこんな彼女の子供のような所が自分は大好き、だった。
「どうしたの?舞子」
「へへ、ダーリンこんにちわー」
「はいはい、こんにちわ」
振り返って自分よりも頭一つ小さい彼女を見下ろす。ふわふわの茶色い巻き毛が風に靡いく。それが彼女を妙に色っぽく見せて、少しどきりとした。
「ダーリンに逢いたいなあー、何て思って歩いてたら本当にいるんだもん。舞子嬉しい」
「僕も舞子に逢えて、嬉しいよ」
「へへ」
少しだけ照れくさそうにして、彼女は笑った。まるで大輪のひまわりのような笑顔。この笑顔にどれだけの人間が勇気づけられてきたか。彼女の変わらない明るい笑顔と、そしてそのふと見せる優しさに。
普段の明るさで見落とされそうになるが、彼女の本当の優しさに自分がどれだけ勇気づけられてきたか。そしてどれだけそんな彼女が…。
「舞子」
「ん?なあに、ダーリン?」
舌ったらずな甘い、声。その独特の喋り方が、何時しか自分にとってかけがえのものになってゆく。何よりも、大切なものに。
「これから、暇?」
「うん舞子、暇だよ」
「じゃあ僕とデートしよう」
ちょっとだけびっくりした顔をして、そして次に彼女は微笑った。凄く嬉しそうに。その笑顔が嘘ではないと、信じられるほど幸せそうに。
ただ君が隣に居てくれるだけで。それだけで、いいと思える瞬間。
「へへへーダーリンとデートだぁ」
子供みたいに喜ぶ彼女に愛しさを隠し切れない。この戦いの最中で沢山の人達と出会った。そして仲間と呼べる信頼できる友が出来た。傷つきながらもぼろぼろになりながらも、それでも出会ってそして助け合った大切な仲間たち。大切な、人達。そして…。
「舞子、手…繋いでもいい?」
「えっ?!」
「駄目?」
びっくりした顔で自分を見上げてくる彼女が、少し意外だった。そんなリアクションをされるとは思わなかったので。平気で抱き着いてくる癖に、手を握る事にこんなに驚くとは思わなかった。
「…あ、いいよ…ダーリンなら……」
おずおずと差し出した手をそっと握る。少し緊張しているのか汗ばんでいた。そんな彼女の動作がひどく、新鮮だった。
「…何だか本当の恋人同士みたいだね…」
俯きながら言ったのでどんな表情で言ったのかは、見る事は叶わなかった。でもその声で何となく分かる気が、した。
「…本当に、なる?……」
「……え?………」
「僕とじゃ、嫌?」
出来るだけ軽く言ってみたけど、本当は真剣だった。この戦いで確かに沢山の仲間が出来た。親友と呼べる友達も出来た。でも。でも、本当に自分が心からほしかったものは。
「僕は舞子が、いいな」
君が、ほしかった。本当はその笑顔を独りいじめしたかった。皆に向けられるその優しさが嬉しい反面、嫉妬していた。誰にでも明るく優しい彼女が、自分以外の誰かに向けられるそれに嫉妬していた。
「舞子も…ダーリンが…いい……」
「本当に?」
「うん、本当だよ」
「本当に、本当?」
「うん、本当に本当に本当だよ」
真剣な顔で自分を見つめてくる彼女が、可愛くて仕方ない。本当にこんな風に一生懸命な彼女が何よりも大好きだから。
「舞子、好きだよ」
「舞子もダーリンが、好き」
「大好きだよ、舞子」
「舞子もダーリンが、大好き」
「僕が好きな気持ちと舞子が好きな気持ちが同じだと、いいね」
「おんなしじゃ、ないの?」
「きっと僕の方が舞子が好きだよ」
流石に町中じゃ抱きしめる事が出来ないので、ちょっとだけ握った手に力を込めてみた。それだけで彼女の顔がほんのりと赤く染まる。
「…そんな、こと…ないもん……舞子もダーリンの事…大好きだもん…」
頬を染めながら答える彼女を、どうしようもない程愛しいとそう思った。
君の裸の声が、聴こえるから。
何をする訳でもなく、ただ。ただ一緒に手を繋いで街中を歩いた。それだけなのに。それだけなのにひどく、緊張した。
「ねえ、ダーリン」
「何?」
自分を見上げてくる大きな瞳が、少しだけ戸惑っている。そんな瞳をさせたくなくて、思わず彼女を抱きしめた。
「…ダ、ダーリン?……」
一瞬だけびくりと震えたが、そのまま彼女は全身を自分に預けてきた。それがどうしようもなく、愛しくて。
「…ダーリン…暖ったかいね……」
「舞子は、柔らかい」
髪にそっと口付けながら囁くと、耳が真っ赤になった。きっとその可愛い顔も同じ状態になっているのだろう。
「で、何?舞子」
「…あのね…」
予想通りの真っ赤な顔が自分を見上げてくる。そんな彼女に自分は優しく微笑む。その瞳が綺麗に笑ってくれるように。
「…昨日ね、夢を見たの…」
「夢?」
「うん、舞子が子供の頃の夢。舞子ね、ちっちゃい頃から…『見えて』いたの……」
彼女は見えない者と語る。見えない者を癒す。その笑顔で。その優しさで。でもそれは普通の人間には理解されない事。
彼女がどんなに優しいか、誰にも分かってもらえない事。
「でそれを皆に話すとね…皆…舞子から離れてゆくの…。皆変な目で舞子を見て…そして怖がるの…」
「…舞子……」
「お父さんもお母さんもみーんな、舞子が変だって言うの。だから…舞子…独りぼっちだった…」
泣き笑いの瞳で見上げる彼女の瞼にそっと、口付けた。そしてその瞳を閉じさせる。次に開けた時には、笑ってもらいたいと思いながら。
「…でね、小さい舞子が夢で泣いてるの。独りで泣いてるの。でもね……」
そっと瞼を開けて、彼女は微笑った。それはさっきの泣き笑いの瞳ではなくて。それは…。
「頭を撫でてくれる人がいるの。泣いている舞子に…ずーっとず
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