A DAY FOR YOU


―――目を閉じたら真っ先に、お前の笑顔が浮かんできた。

ごく、自然に。ごく、普通に。
それは俺の瞼の裏に焼きついていた。
当たり前のように自然に。
自然にお前の笑顔が、焼き付いている。

―――ひどく優しい、笑顔が……


「…俺すげー夢、見ちゃった……」
目覚めた瞬間に飛び込んできたのは、煙草の煙の匂い。完璧なスポーツマンのお前の、唯一の『悪』な部分。俺だけが知っている、唯一の欠点。
「どんなの?」
相変わらず無表情で、煙草をぷかぷかと吹かしている。けれどもその横顔は眠気が吹っ飛ぶ程に綺麗で。綺麗だったから、つい俺は見惚れてしまった。
…ってこれは惚れた弱みってヤツだろうか……。
「お前が、にこにこと笑っている夢」
わざと楽しそうに言ってその口許から煙草を取り上げた。目覚めの一服ってのはやっぱり上手い。更に不健全な運動の後には。
「………」
予想通りの不機嫌そうな顔…と言ってもやっぱり無表情だからそんなに変化は分からないけれども。それでも形いい眉が少しだけ上がっているのが何よりもの証拠。
「すげーびっくりした。でも可愛かったよ、流川クン」
くすくすと笑いながら言ったらお返しと言わんばかりに煙草を取り上げられた。それをベッドサイドの灰皿に入れられると俺は。俺はそのまま圧し掛かられた。
「わっ!おめーよっ!!」
「うるさい、あんたが悪い」
「悪いったってお前なぁ…俺はさっき散々お前にヤラれて身体中痛てーんだよっ!」
「そんなに口が利けるだろう」
「ってわーーっ何処触ってんだよーーっ!!まだヤんのかよーーっ!!」
「うるさい、黙ってろ」
そう言ったかと思うと、唇を塞がれた。目覚めたばかりの神経にこのキスは辛い。まだ身体の奥は快楽の火種がくすぶっているのに。
「―――カワイイって言った事…後悔させてやるよ」
と言って俺の身体を再びお前の長い指が滑ってゆく。駄目だ…お前上手いんだもの…俺は押し寄せてくる快楽の波に抵抗出来なかった…。


―――お前の笑顔。
普段笑う事のないお前の笑顔。
それは多分。
多分お前自身ですら気付いていない。
ふとした瞬間に見せるその笑顔を。

…そのひどく優しい笑顔を……


「…あっ…あぁ……」
俺の中に熱い塊が挿ってくる。それはさっきまで何度も俺を貫いていたのに、硬度は全然落ちてはいなかった。相変わらず熱くて、そして膨いソレが俺の中で脈打っている。
「…あぁ…あん……」
どくどくとした音が敏感になっている俺の身体中から響いてくる。お前の音。俺を求めて脈打っているその音が。
「…る…かわ…ああ……」
何時しかその音に同化して、俺は再び意識を真っ白にさせていた。


何時も、不機嫌そうに。
何時も、無表情で。
それでも時々見せる感情の変化。
それは本当に些細なものなのかもしれない。
でも俺は。
俺はそれを決して見逃したりはしないから。

―――自分でも、自覚している…惚れているんだって……


「信じられねーっもう俺立てねーよ明日」
「別に構わないだろ?どうせまともに学校行ってないし」
そう言われればはいそうです、としか言えないのが恨めしいが。でも自分だって学校に行ったって寝ているか、バスケをしているだけのくせに。
「だけどなぁ…お前……」
「恨めしそうな顔するな」
あっさりと言ってのけるこいつがひどく恨めしい。なんで俺…こんなヤツに惚れているんだろう…。
「誰のせいだと思ってるんだっ?!」
「アンタのせいだ」
「だからどーして?」
思いっきり手を握り締めて反論しようとした俺に。そんな俺にお前は微笑った。無意識に。無意識に優しい笑顔で。そして。

「―――アンタの方がカワイイ」
ひどく真剣な瞳で、俺にそう告げた。

「へ?」
「アンタのがカワイイ」
ひどく真面目にお前は俺に言ってきた。と言うよりも真顔だ。相変わらず表情は変わっていないが、それでも俺には分かってしまう。分かってしまったから。
「だからアンタが悪い」
―――そう言って俺に。俺にお前はキスを、した。


ちょっと悔しいと思ったけれど、お前のキスとお前の笑顔で。
…俺は全てを、帳消しにしてしまった……


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