――――私は、私の意思で…貴方を選んだの……
決めるのは、私。自分の未来を、自分の運命を。
決めるのはただ一人、私だけだから。
だって、未来は。だって、運命は。私だけのものだから。
私は貴方が好きよ。ずっと、ずっと、好きなのよ。
「…マーテル……」
長い髪に指を絡め、そのまま自分の胸へと引き寄せた。剥き出しの白い胸の谷間に、貴方の顔が埋まる。それが。それが、しあわせ。
「…リシュエル…吸って…ねぇ…ココ……」
開いた方の手で自らの胸を持ち上げ、トガッタ乳首を貴方の口許へと持っていった。貴方は一度私の胸に手を掛けて、そのまま。そのまま言葉通りに乳房を口に含む。それが。それが何よりも、気持ちよくて。
「…あぁっ…あん…リシュエル…イイ…あんっ……」
ちろちろと舌を動かしながら、唾液でねっとりとするまでソコを嬲る。慣れた舌使いが、れと正反対に妙にぎこちない手つきが、私の身体を燃えさせる。
「…マーテル…私は……」
見上げてくる瞳が真剣で、そして。そして少しだけ戸惑っていて。それが切なくてイヤだったから、私は睫毛にキスをした。戸惑わないで欲しいの。私を選んだのなら…私だけを見て欲しいから。
「―――リシュエル…もしも…」
紅い、髪。さらさらの髪。私の髪はくせっ毛で、幼い頃その髪がひどく羨ましかった。手のひらから、指先から、こうして零れてゆくさらさらの髪が。
こうして今指先が貴方の髪を独占していても、羨ましいと言う思いはやっぱり消えることはなくて。
「…もしも迷いがあるなら、私を抱かないで。今でもメーヴェを想っているならば」
多分その答えを聞くのが、私の方が怖い。私の方が、震えている。それでも。それでも聴かなくては、このまま。このまま立ち止まったままでしかならないから。
何処にも行けず、何処にも進めない。そんなの、私にも貴方にも似合わないでしょう?
「メーヴェの事は、想っているよ。きっとずっと、大事だ。護りたいと思っている。でも君は」
「でも、私は?」
「君は護りたいとは想わない。君は強いから。でも…でも一番そばにいて欲しい」
「身勝手ね。でもそうかもしれない。貴方のメーヴェの想いが『罪悪』ならば、そう思うでしょう?」
「だから、君が好きなんだ」
「…リシュエル……」
「君だけが私を分かってくれる。私がメーヴェに向ける想いが…『恋愛』はないけど大切だと…君だけは分かってくれるから」
「――バカね…リシュエル……」
それが貴方の真実なら…悔しいくらいに貴方は純粋ね。純粋で卑怯で…でも。でも大切な人。大切よ、愛しているわ。貴方を私は、愛しているわ。
「君だけが分かってくれればいい。君だけが信じてくれればいい…どう思われても、私は君を愛している。君だけが、私の隣に並べる人だ」
「ええ、その言葉だけで十分よ…愛しているわ…リシュエル……」
可愛い人。大事な人。この腕に抱きしめて、私が。私が貴方を護るわ。本当は不器用で、本当は誰よりも優しい貴方を。私が、ずっと。
白い、肌。女の私よりも白いその素肌に口付けた。余す所なく口付けて、そのまま下半身へと手と舌を滑らせる。
「――――っ」
貴方の分身に辿り着くと、先端にひとつキスをした。その途端ぴくんと貴方の身体が反応する。それがひどく嬉しかった。
「…マーテル……」
「…んっ…ふぅっ……」
そのまま勃ち上がり始めたソレを口に含むと、そのまま先端を舌で舐めた。割れ目の部分を舌先で突つき、側面を舐め上げる。ラインを辿りながら、袋の部分に指を這わした。軽く握ると、先端からとろりと先走りの雫が零れてくる。
「…ふぅん…んんんっ…ふむっ……」
口の中で膨らんでゆく、貴方が愛しい。私の舌で、私の口で、私の手で、感じてくれる貴方が。他の誰でもない私自身で感じてくれる、貴方が。
「―――マーテル……私は……」
「…リシュエル…もっと、私で…感じて……」
どくどくと脈打つソコから唇を離した。そしてそのまま私は両の胸でソレを包み込む。その途端ぴくんと自らの乳首が痛いほどに張り詰めた。
「…あぁっ…あんっ…リシュ…エル……」
そのまま胸に手を当てて、上下に揺すった。柔らかい肉に挟まれて、貴方の分身は益々固くなる。それが乳房から伝わって、私の下半身を熱くした。柔らかい肉と硬い肉が擦れ合うたびに、じゅんっと子宮が鳴るのが分かる。
「…あぁんっ…はっぁっ…ふむっ……」
胸で挟んだまま、口に咥えた。それだけで、先走りの液体がじわりと口に零れてくる。
「…マーテル…駄目だ…もう私は……」
「…んんんっ…はぁっ…ふっ…イイよ…出しても…リシュエル……あ…」
「…駄目だ…我慢…が……」
「…ねぇ…出して…私に…掛けて…いっぱい…ね……」
感じたい、から。貴方をいっぱい、感じたいから。私を求めているって。私が欲しいって、感じたいから。だから、ねえ。ねぇ、リシュエル……。
「駄目だ―――っ!!」
―――ドピュッ………
ぽたり、ぽたりと、白い液体が落ちてくる。顔に掛かった液体が。額から、頬、顎先へと。それがとろりと垂れて、白い胸の谷間に零れてゆく。
―――それが。それがひどく、何故だろう?ひどく綺麗に見えた。
「…マーテル……」
君の蒼い、髪。君の蒼い、瞳。綺麗だ。凄く、綺麗だ。メーヴェよりもずっと、透き通った色をしているその蒼が。その蒼が、とても綺麗。
「…リシュエル……」
手を伸ばし、君に触れる。柔らかい、君。ふわふわとしている君。抱きしめれば本当はずっと。ずっと私よりも細くて小さい君。愛している。
「…あっ……」
君に掛かる精液を指で舌で舐めた。そのままでも扇情的だったけれども、やっぱり君は。君は何もない方が綺麗だから。雪のように白い肌も、空よりも透き通った瞳も。
「…君を…愛しているよ……」
綺麗に拭って、そのままきつく抱きしめた。君がいてくれて、よかった。君が私のそばにいてくれて。他の誰でも駄目だと、今更ながらに実感する。君が、いいんだと。
私が、選ぶ。私が君を、選ぶ。それは私の意思。私の想い。誰のせいでもない、全てが。全てが、私のためだから。私の気持ちが、君を選んだ。
「―――君の全てが欲しい…マーテル……」
「ええ…リシュエル…それが……」
重なり合う手。そこにあるぬくもりが。ただひとつのぬくもりが、きっと本当のことだから。
「…それが…私の…夢だったわ……」
「――――あああああっ!!!」
繋がる、身体。脚を広げさせて、そのまま深く貫いた。細い腰を抱き寄せて、一番奥へと。一番深い場所へと。
「…あああんっ…ああんっ!」
私を飲み込む、熱い媚肉。淫らに絡み付き、きつく私を締め付ける。けれどもそれこそが。それこそが私を。私を求めてくれている証拠だから。
「…マーテル……」
「…ああんっ…リシュエル…あああんっ…あんっあっ……」
「―――君の中は熱いね、溶けちゃいそうだよ」
「…だってぇ…貴方が…中に…中に…いるんだものぉ…はぁぁっ……」
「うん、君の中気持ちイイよ。熱くて…キツくて……」
「…もっと…ねぇ…もっと奥まで…ねぇ…あぁんっ……」
爪を立てられる。その痛みすら、今は。今は愛しくて。ただ、愛していると言う想いだけが全身を支配して。ただ、それだけが私を。
「ああ、もっと奥まで…君を…」
「…ああんっ…あんっあんっあんっ……」
――――それだけが、私を支配した。
君の髪に指を絡める。
柔らかい君の髪に。
そこからは、ふわりと。
ふわりと、空の匂いがした。
…君の蒼い、髪からは……
「…リシュエル…やっと……」
「―――マーテル……」
「…貴方を一番近くに感じる……」
「…うん、私も…君が……」
「…君が誰よりも…私にとって…一番近くに……」
たくさんの絡み合う、螺旋の糸の先にあったのは、ただひとつの蒼だったから。
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