―――貴方のそばに、いたかったから。
神様に赦されなくても。
誰からも赦されなくても、私は。私はただ。
ただ貴方のそばにいたかっただけなのです。
誰よりも優しくそして強い、貴方のそばに。
「―――メル、すまない……」
抱きしめられて、そして。そして謝る貴方の声は苦しいほどに切ない。貴方が私に詫びる理由なんて何一つないのに。何も、ないのに。
「君には全てを捨てさせてしまった…家族も…全て……」
「謝らないで、ロジャー…謝ったなら私が…間違っているみたい」
「…メル?……」
「貴方を好きな私の気持ちが間違えみたいだもの」
微笑った。全ての想いを込めて、微笑った。これは私が選んだ道。私が選択した道。
―――私が選んだ事だから、貴方が謝る事は何一つないの。
「私は貴方のそばにいたかった。ただそれだけ」
「…メル……」
「家族よりも…何よりも…貴方が一番大切で、そして…」
そして、と言う前にそっと。そっと貴方の唇が私の唇に触れた。触れるだけの優しいキス。でもそこには全ての優しさと全ての想いが注がれているから。
「その先は私に言わせてくれ、メル―――愛している」
「ずるいわ、ロジャー。私だって貴方を愛しているの…だから言わせて」
「もう言っているよ」
「でももっと言いたいの…いっぱい、いっぱい言いたいの…愛しているわ」
「言葉なんかでは足りないくらい…愛しているの……」
腕を伸ばして、ぎゅっと抱き付いた。子供みたい貴方の背中に抱きついた。広い背中、誰よりも何よりも安心出来る、貴方の背中。何よりも、大切な…私の場所。
「…メル…私も……」
ゆっくりと瞼を開いて見上げれば貴方の優しい瞳にかち合う。この瞳を瞼の裏に焼き付けてそっと目を閉じれば、貴方の唇が降って来た。
「…んっ…んん……」
私は唇を薄く開いて、貴方の舌を迎え入れた。忍び込む舌に自ら積極的に絡めた。貴方が、欲しかったから。何よりも欲しかった、から。
「…んんっ…ふぅっん……」
神様よりも、貴方が好き。誰よりも貴方が好き。私は神官で、そして神に仕える身だった。神にこの身を捧げた身分だった。けれども。けれども私はそんな身分よりも家族よりも、貴方を選んだ。
「…ロジャー…愛しているわ……」
「…メル…私の…メル……」
それが許されない事ならば、私は線の槍に身体を貫かれても構わない。それでもこの想いは止められないのだから。貴方への想いを止める事は出来ないのだから。
―――私は、貴方を好きだと云う気持ちを…否定なんてしたくない…こんなにも好きだから。
「―――私だけの……」
パサリと乾いた音と共に、私の身体がシーツの上に押し倒される。ひんやりとした感触が…心地よかった。
ただ、貴方を好きになっただけ。
優しく強い、貴方を好きになっただけ。
それだけで罪だと言うなら。
それだけで赦されないと言うのならば。
―――私は幾らでも、罪人になります……
「…ああっ……」
生まれたままの姿になった私に貴方の指先がそっと触れる。胸の二つのふくらみに指を這わせれば、私は耐えきれずに甘い声を零した。
「…あぁんっ…ロジャー……」
初めは柔らかく揉んでいた手も次第に力が込められる。乳房が押し潰されるように強く揉まれ、私は耐えきれずにシーツをぎゅっと掴んだ。それでも胸は指を押し戻すような弾力で、ふさっと揺れる。
「…あぁんっ…あん……」
外側を転がすように指で掬われながら、果実を口の中に包まれた。生暖かい舌が、ピンク色の乳首を朱に染めてゆく。ちろちろと舌先で舐められて、歯を軽く立てられる。その痛みを伴う刺激に、私の身体は反応した。
「…ああんっ…あ…ロジャー…ああん……」
「かわいいよ、メルのココは。こんなに張り詰めて…痛くない?」
「…あん…ロジャー…そんな事…言わないで…恥ずかしい……」
「どうして?私はメルのココは大好きだよ。勿論、コッチも」
「ひゃんっ!」
胸を弄っていた筈の手が、私の秘所に辿り付くとその入り口をなぞった。それだけでそこからはじわりと甘い蜜が零れて来る。
「…やぁんっ…ロジャー…あぁ……」
「イヤなのかい?こんなに濡れているのに」
「…はぁぁっ…あんあんっ……」
入り口の柔らかい肉を指でなぞられてから、ゆっくりと内部へと侵入される。くいっと指を中で折り曲げられ媚肉を広げられれば、一番感じる個所が剥き出しにされた。
「…あぁん…やぁ…ん…ロジャー…ぁぁ……」
執拗に指がソコを攻めてくる。指の腹で転がされたと思ったら、かりりと爪で引っかかれる。その刺激に耐えきれず、ソコからは大量の蜜が零れてきた。ぐしょぐしょに濡れたソコを、それでも指の動きは止まらずに攻め立てる。私の意識が、おかしくなるほどに。
「…ああん…もぉ…ロジャー…やめ…私…私―――あっ!!」
脚を広げられたと思ったら、貴方の逞しい身体が私の間に割り込んできた。そして大量に溢れる蜜を舌で掬い上げる。先ほどとは違う刺激が、また私の身体を悩ませた。
「…ああんっ…やぁぁんっ…ダメぇ…ああん……」
ぺちゃぺちゃとわざと音を立てながら、貴方は私の愛液を舐める。けれども後から、後からソコからは蜜が零れて来るのを私は止められなくて。
「――メルの蜜は甘くて美味しいよ。でもこんなに飲みきれないよ」
「…ロジャー…へんな…事…言わないで…あん…あぁんっ……」
貴方はソコから唇を離すと、そのまま私に口付けた。口中に広がるとろりとした液体が私の出したモノだと思うと、ひどく恥ずかしくて堪らなかった。けれども私は舌を絡めて、自らの愛液を飲み干した。
「…んんん…んん……」
飲みきれない液体が口許を伝う。それを合図に貴方は口付けを開放した。そしてそのまま零れた液体を舌で掬い上げる。そのざらついた舌の感触にすら、敏感になっている私の身体はぴくんっと震えた。同時に両の胸も波打つのが分かる。痛い程乳首を尖らせながら。
「――メル…いいかい?」
それすらも開放されて、貴方は私を見つめた。その瞳の色はどんな時でも変わらない。私を見つめるその優しい瞳は。私は、そんな貴方の瞳が何よりも好き。一番、好き。
「…ええ…ロジャー…来て…私の…中に……」
私達は指を絡めあった。そして脚を絡めあって…貴方が私の中に、入ってきた……。
何が正しくて、何が間違っているか。
何が真実で、何が嘘なのか。
そう言ったことはもう、私達には関係なくて。
私達はただ。ただ誰よりも。
―――誰よりもお互いを、愛していただけなのだから……
「―――あああっ!!!」
深く突き入れられて、私は背中を弓なりに仰け反らせた。宙に二つの胸が浮く。貫かれる振動で、そのふたつの膨らみが揺れた。
「…あああっ…あああんっ!!!」
手は、離さなかった。指は、絡めたままだった。そのまま貴方は私を何度も突き上げて、媚肉を引き裂いてゆく。締め付けようとする肉の抵抗を掻き分けて、熱く硬い貴方の楔が私の中を蹂躙する。その肉の擦れ合う感触が、私を狂わせて。
「…あああっ…ああああ…もぉ…ああ……」
「…メル…メル……」
「…だめぇ…あああああっ!!!!」
狂わせて、そして私の意識は真っ白になった。感じたのは、身体の中に注がれる液体の熱さだけだった。
そばに、いたいから。
貴方の傍に。貴方の傍にずっと。
ずっと、ずっといたかったから。
貴方が死ぬまで。貴方が死んでも。
―――私はずっと…貴方の傍に…いたかったから……。
神様が、赦してくれなくてもいい。
誰にも、赦されなくてもいい。
私が貴方を望み、貴方が私を望んだ。それ以上何を、願う事があるの?
「―――メル……」
瞼を開けば、貴方の笑顔。優しい、笑顔。大好きな、笑顔。
「…ロジャー……」
手を伸ばせばそこに貴方がいて。そしてこの指先は貴方に触れている。
「君だけを、愛しているよ」
ふたりのこころが、触れ合っている。
「…私も…貴方だけを…ロジャー……」
―――ふれあって、いる。
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