かけら



指の隙間からさらさらと。さらさらと零れてゆくかけらは。
それは私が『少女』だった、ただひとつの想い。
一番綺麗な場所に閉じ込めて、そして。そしてそっと。
そっとさよならしたもの、だったから。


―――愛しているのと、伝えればよかった?


「…どうして…リチャード……」
綺麗な瞳が、哀しみながら俺を見ている。それが。それが許せなかった。哀しみと憐れみと、そして。そして何処か淋しげな瞳が、許せなかった。
「―――お前が俺のものに、ならないからだ」
腕を、縛りつけた。何処にも逃げないように。この部屋に閉じ込めて、そして。そして誰にも見られないように。誰にも、見せないように。
「…物って…私はものではありません……」
服を脱がせて、裸にさせて。そうしたらもう。もうお前は何処にも逃げられないだろう?アイツの元のへも…行けないだろう?
「ものだ。お前は俺のものだ。誰にも渡さないっ!」
耐えきれなくて噛みつくように口付けた。舌を噛み切られる前に、それを絡めて。絡めて、逃れないようにする。深く、根元から。
「…んんんっ…んんっ!」
それでもお前は必死に抵抗した。腕が縛られているから、身体を捩るくらいしか抵抗は出来なかったが。けれどもそうする事で裸の胸が、剥き出しになった胸が俺の身体に当たる。
―――その感触が俺を…狂わせる……


愛している、愛しているんだお前だけを。
お前だけが欲しくて、お前だけが欲しくて俺は。
今までこんな想いしたことがなかった。
何時でも俺は常に上位にいた。上から見下ろしていた。
なのに、今。今俺は跪いてでも、お前が欲しい。

―――愛しているんだ…ティーエ…俺は……


「…いやっ…止めてっ!リチャードっ!!」
唇を離して、そのまま剥き出しになった胸を掴んだ。乱暴とも言える動作でぎゅっと胸を掴む。形よい胸が俺の手のひらで押しつぶされてゆく。
「…いやあっ…あぁっ…痛いっ…リチャードっ……」
首を左右に振って俺の愛撫から逃れようとする。けれども俺は止めなかった。もう、戻れないのならば。戻れないのならば後はこのまま。このまま自分の想いを全てお前に注ぎ込む以外にはないのだから。
「…いや…止めて…こんな…こんなの…いや…あぁ……」
胸が赤く腫れ上がるほどに強く揉み、そのまま乳首を口に含んだ。尖ったソレを舌で転がせば、嫌がおうでもソコは反応を寄越す。唇から零れる吐息が自然と甘くなってゆく。
「…いやぁ…止め…あぁ…ん……」
ちろちろと舌で嬲ってから、軽く歯を立てた。その途端にぷくりと立ち上がる胸の果実を舌先でつつく。その途端ぴくんっとその身体が跳ねた。
「…やめ…お願い…リチャー…ド…あぁ……」
「止めない。お前が俺のものになるまで…お前がアイツを忘れるまで」
「…何を…言って…リチャード……」
「あいつにだってこうされたんだろう?あの王子様に抱かれたんだろう?」
「――――!」
「あんな奴に…お前を渡すものかっ!」
そう言って力の限り抱きしめたら、お前は。お前はただ呆然と俺を、見ていた。


「…どうして、そんな事を…言うの?……」


呆然としたまま俺を見つめて。そして。そして、何処か俺を。俺を責めるような瞳。それが嫌で。嫌だったから…俺は強引にお前の唇を塞いだ。
「…んんんっ…ふぅ…んっ……」
唇を塞いだまま、舌を絡めながら、お前の身体を指で辿る。白い肌。真っ白な肌。まるで生まれたての雪のような肌を、強引に指で辿り朱に染める。俺の手で、染めたかった。俺の手でお前を。お前を。
「…んんっ…んんん……」
目尻から零れ落ちる涙は、苦しいからだろうか?それとも俺に触れられるのが嫌だからだろうか?俺に触れられるのは、嫌か?
こんなにも俺はお前を愛しているのに。こんなにもお前だけを愛しているのに。お前は。お前は…アイツが、いいのか?
「…はぁっ…はっ…あぁっ……」
やっと唇を開放してやれば、顎先からとろりと飲みきれない唾液が伝う。それすらも、綺麗だった。お前は綺麗、だった。どんなに俺がこの手でお前に触れても、お前のその気高さと気品は決して失われることはなくて。それが。それが俺には。

―――お前がアイツを想っているように思えたから…穢してしまいたかった……


「いやぁっ!リチャードっ!いやっ!!」
足首を掴んで強引に脚を広げさせた。茂みの中から覗く一番恥ずかしい個所を眼下に暴く。そこは薄いピンク色をしていて、まるで花びらのようだった。
「止めてっお願いだからっ!」
脚を閉じようと力を込めるが、俺はそれを封じた。身体を中へと割り込み、閉じられないようにする。そうしておいてお前のソコを、嬲るように視線を這わした。
「相当アイツを咥えこんでいたんだろう?それなのに随分と綺麗な色をしているな」
「…な、何を…リチャード…あっ!」
指を突き入れた瞬間、身体がぴくんっと跳ねた。それと同時に蕾が異物を排除しようと、入り口が硬く閉じられる。ぎゅっと指が媚肉によって締め付けられる。
「…いやぁ…痛…止め……」
「今更何を言っている…初めてじゃあるまいし…それなのに随分とキツイな…。アイツは相当喜んだだろうな」
「…止め…お願い…痛っ…痛いっ…あぁ……」
首を左右に振って、身体を捻って抵抗するが、俺は許さなかった。指を奥へ奥へと侵入させながら、廻りの柔らかい媚肉を舌で嬲った。ぴちゃぴちゃと濡れた音を立てながら。
「…いやぁっ…あぁ…あ……」
何時しかそれを繰り返すうちにじわりと指先が濡れてくる。どんなに抵抗しようとも、女の身体は自分を護る為に、ソコから愛液が分泌するのを止めなれない。どんなに望まないセックスであろうとも。
「…いや…止めて…お願い…あぁっ!」
ピクンっとお前の肩が、跳ねた。俺の指先がお前の一番感じる個所に辿りついたからだ。探り当てたクリトリスを指の腹でなぞって、そのままかりりと爪を立てた。
「いやぁんっ!!」
その刺激にお前の身体が弓なりに跳ねる。綺麗な喉が仰け反って、背中がカーブを描いた。広げられているお前の脚ががくがくと震えて、そして花びらからは蜜が蕩け出してくる。
「…いやぁ…ああんっ…あんっ!……」
首をイヤイヤと振りながらも、剥き出しになったクリトリスは痛い程に張り詰めている。それを指でぎゅっと摘んだら、耐えきれずに大にと蜜が溢れた。じっとりと指先を濡らすほどに。
「あああんっ!」
そしてお前は身体をがくがくと震わせながら、イッた。


「…はぁ…はぁ…もぉ…許し…て……」
「駄目だ。お前は俺のものだ。俺だけのものだ」
「…あっ!……」
「ココも、ココも全部。全部俺だけのものだ」


指と舌で、全身に触れる。胸も脚も指も全て。全て触れる。余す所なく、紅いシルシを付けて、お前が俺のものだと。俺だのものだ、と。
「…愛しているんだ…ティーエ…俺だけのものに……」
誰にも渡したくない。誰にも渡したくはないんだ。こんなにも愛してしまった。こんなにもお前を愛してしまった。だから。だから、俺は。俺は誰にも。
「…お前だけを…愛しているんだ……」
―――誰にもお前を…渡したくはないんだ……



私はずるい女なのかもしれない。
貴方の想いを聴きながら、私は。
私はどうして、ただ一言を告げられないのかと。
告げることが出来ないのかと、思った。

…ただ一言を貴方に告げれば…貴方は開放されるのに……


でも、言わない。その言葉は言わない。
だって貴方は私を信じていない。私を、信じていない。
だって今私が愛していると言っても。
貴方だけを愛していると言っても…私の心が彼にあると思うのでしょう?


…だから、言わないわ。貴方を愛していると……


零れてゆくかけら。
そっと零れてゆくもの。
大切なものなの。
なによりも大切なものだったの。
だからこうして、指の隙間から。
隙間からそっと、零してゆくの。

…この想いを…彼への綺麗な思いを…そして…そしてリチャード…私は……


貴方の背中に手を廻したいと思ったけれど。
…この手首が塞がっているから…抱きしめられないわね…



「―――愛している…俺だけのティーエ……」
俺は限界まで膨れ上がった自身を取り出すと、濡れぼそったお前の入り口に当てた。その途端か身体が恐怖のあまりにピクンっと震えた。
「…い、いや…リチャード……」
そうだろう、愛してもいない男に犯されようとしているのだからな。身体がすくみ上がっているのが分かる。震えているのが分かる。
「誰にも渡さない。俺だけのものだ」
それでも俺はそのまま細い腰を掴むと一気にお前の中へと侵入した。


「いやあああああっ!!!!」


悲鳴のような、声。そして。そして繋がった個所から零れる、血。貫いた瞬間何かが破れた、音。まさか…まさか……
「…いやああ…痛いっ…痛い…ああああっ!!」
苦痛に歪む顔。零れ落ちる涙。白い太ももから流れる紅い血。その全てが。その、全てが。
「…ティーエ…お前…まさか……」
「…いやぁ…あぁ…痛い…リチャード…お願い…抜いて…抜いて…あああ……」
「…初めて…だったのか?……」
その言葉にお前は小さく頷いた。お前の身体は穢れてはいなかった。あいつに抱かれてはいなかった。俺が。俺が初めてお前を…お前を犯した男……。
「…ティーエ…俺は……俺は……」
「…あぁ…あぁぁ…いやぁ…リチャード…動か…ないで…あぁ……」
そのまま。そのまま身体を抱きしめた。そのせいでお前の中の俺が動いて、お前を苦しめることになったが。それでも。それでも今は。今はこの身体を抱きしめたくて。抱きしめたかったから。
「…愛している…愛しているんだティーエ…お前だけをだから…俺は……」
ぽたりと、雫が零れる。それは汗じゃない。俺の瞳から。俺の瞳から、零れたもの。ああ、俺は。俺はこんなにも情けない。情けないほどにお前を。お前だけを。
「…リチャード…手を…お願い…この手を…離して……」
「―――ティーエ……」
「…お願い…だから……」
そう言って差し出された手首の紐を…俺はそっと外した。外さずには…いられなかった…。



手を、伸ばして。そして。そしてその背中に。
その背中に廻して。廻して、そして。そして……。



「…ティーエ……」
「…リチャード…私は……」
「…どうして俺を突き飛ばさない?…」
「…私は…貴方を……」


――――愛しているのよ…リチャード………


言葉にする変わりに私から。私から口付けた。
それで。それだけで伝わると。伝わると。
言葉に告げるよりも、言葉にするよりも伝わると。
伝わるとそう、思ったから。


「…ティーエ…俺の…俺だけの……」
「…あああっ…ああああ……」
「誰にも渡さない、俺だけのものだ」
「…ああんっ…ああっ…ああああ……」
「――――愛している、ティーエ……」


「――――あああああっ!!!」


背中に深く爪を立てた瞬間、私の中に熱い液体が注がれる。
その瞬間意識が真っ白になって。真っ白になって、私は。


…私はゆっくりと…意識を手放した……



貴方を愛しているの、リチャード。
それは本当の事なのよ。本当の事なの。
でもその想いとは別の場所で。
もっと綺麗な場所に、彼はいるの。
そこにあるのは欲も、本能も何もない綺麗な場所なの。
誰も手を触れることは出来ない…もう私にも触れられない場所に…。


だって私は女だから。女だから貴方が欲しいの。
綺麗な想いだけでは、生きてゆけないもの。
女として貴方を求めたの。女として貴方を愛したの。
それは全然綺麗じゃない。それは欲望と本能に塗れている。
でもね、リチャードそれが。

―――それが本当の事なのよ…貴方を愛しているのは本当の事なのよ……



「…ティーエ…俺は……」
気を失ったその細い身体を抱きしめて。きつく、抱きしめて。
「…俺は…お前だけを…もう……」
その髪にそっと、口付けて。そして。
「…もう誰にも渡さない…お前だけを、愛している……」
そして、この腕の中に閉じ込める。


愛している。愛している、それだけが本当の事だから。



指の隙間から零れていったかけらは何時しか、星になる。
そっと夜空に浮かび、私の手の届かない場所へと運ばれてゆく。
そして。そして私の手の中に残ったものは。



―――ただひとつの貴方の愛、だった。





 

 


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