First Love




―――― 一生懸命に追い着くから…私を連れて行ってね……


好きだから、それだけだから。
好きだから一緒にいたいの。
好きだからそばにいたいの。
ただそれだけが。それだけが、私の想い。

早く大人に、なりたいな。
貴方に相手にして貰えるくらい。
貴方の役に立つくらい。
大人になって、私。


―――私…ミンツの隣に…立ちたい……


大きくて力強くて、でも優しい手。その手が私の頭を撫でてくれる瞬間が何よりも好きで、そして何よりも嫌だった。
貴方に触れられるのは嬉しい。貴方に子供扱いされるのは哀しい。
それがどっちも本当の気持ちだったから。本当の想いだったから、私はどんな顔をすればいいのか分からなかったの。
「…ミンツ…」
「どーした?レニー。腹でも痛いのか?」
「違う、痛くない。私」
優しい笑顔が大好き。微笑うと目がなくなるくらいになるその笑顔が好き。ずっと見ていて、そして。そして何時しかその笑顔に同じ位置で返せるくらいになりたい。
「…私が痛いのは…こころだもん……」
どうしたらいいのか分からないの。どうしたらいいのか知りたいの。どうしたら私はミンツに追い着けるの?どうしたら独りの女の子として私を見てもらえるの?どうしたら。どうしたら、いいの?
「―――レニー………」
困った顔で私を見下ろす貴方。こんな困った顔を私はさせたい訳じゃないの。ミンツには何時も微笑っていてほしいの。でも。でも私は何時もミンツを困らせる事しか出来なくて。
――――どうして…私…何も、出来ないの?……


ミンツの笑顔が大好きだから。
ずっとずっと見ていたいから。
私本当は『子供』でいないといけないの。
でもでも、それ以上に。
私はミンツに『女』として見てもらいたいと願っている。
貴方に向き合って欲しいと想っている。

こんな事を思う事事態が、子供なのかな?
こんな事を考える事態が、我が侭なのかな?

どうしてもっと。
もっと早く生まれなかったのかな?
どうして、もっと。
もっと大人になれなかったのかな?


「お前は騙されてんだ」
「どうして?」
「生まれたばかりの雛は初めて見た生物を親だと思う…それと同じだ」
「…同じじゃない…だって私…」

「私ちゃんと自分の意思でミンツが…好きだもの……」




―――愛しいと…想っている。
大事だと、想っている。
何時しか俺にとってかけがえのない存在だと想っている。
だからこそ、俺は。俺はお前に人並みのしあわせを与えたい。
こんな中年男なんかじゃなく、もっと。
もっとお前に相応しい男に、お前を。
お前を護って、もらいたいから。

ごく当たり前の普通の少女としての、しあわせを。


気侭に、生きてきた俺に。
自分勝手に生きてきた俺に。
そんな俺なんかよりも、もっと。
もっとお前には相応しい男が。
きっと現れるはずだから。


「俺は大人の女しか、愛せないんだ」


口許だけで笑って、ぽんっとお前の頭を撫でた。それですら愛しさが込み上げてくる。ひたむきな瞳。一途な瞳。本当はきっと俺はこの腕で、抱きしめたいのだろう。抱きしめて、口付けて、そして。そして、この腕の中に閉じ込めたいのだろう。
でもそれは、出来ない。でもそれは、してはいけない事だから。


必ず俺の方が年老い、そして先に死んで行く。
ずっと独りだったお前をまた。
また何時か独りぼっちにしてしまう。そんな事は。
そんな事は、俺には出来ないから。
だから、俺はお前を抱きしめる事は出来ない。



―――そんな愛は…きっと一生お前には分からないだろう。いや、分かって欲しくはない。


気付かないで、永遠に。
気付く事無く、お前は。
お前は誰かの腕で。
お前を独りにはしない腕を、探してほしい。




「私一生懸命に大人になるから…だから……」
「―――レニー……」
「…私…ミンツに追い着くから……」



「…だから…待っていて…ください……」



精一杯のお前の言葉に、俺ははぐらかす事しか出来なかった。でも、もしも。もしも本当にお前が大人になってそして。そしてその言葉を真っ直ぐに俺に告げたならば。


―――その時俺は、お前を拒む事が出来るのだろうか?




連れて行って。
一生懸命に、私。
私貴方に追い着くから。


―――それまで、待っていて……

 

 


BACK  HOME

  プロフィール  PR:無料HP  合宿免許  請求書買取 口コミ 埼玉  製菓 専門学校  夏タイヤを格安ゲット  タイヤ 価格  タイヤ 小型セダン  建築監督 専門学校  テールレンズ  水晶アクセの専門ショップ  保育士 短期大学  トリプルエー投資顧問   中古タイヤ 札幌  バイアグラ 評判