私の好きな人は、とっても不器用で照れ屋なのです。
不器用で、上手い言葉なんてひとつも言えないけれど。
でも、伝わるの。言葉にしなくても、伝わるの。
暖かい気持ち、とか。見えない優しさ、とか。
いっぱい、いっぱい、伝わるから。
―――だから私も貴方に伝えたい…いっぱいの大好きを……
本当はね、少しだけ不安だったの。少し…ううん本当はもっといっぱい。
「ねえ、ガロ…私の事好き?」
背中からぎゅっと抱きついて、冗談交じりに聴いてみた。本当は物凄くどきどきしているけれど。それを悟られないように、明るく聴いた。
「…あ、あう…俺は……」
抱き付いたら頭から耳までかぁぁっと赤くなっているのが分かる。そんな所がね、そんな所が私大好きなの。とっても大好き、だから。
「…私はね、ガロが大好きよ」
とっても。とっても大好きだから。貴方から好きって…聴きたいな。
大きな背中。広くて大きな、その背中が。
ずっと。ずっと私を護ってくれた。無言で、けれども。
けれども誰よりも優しく。見えない優しさで。
けれども伝わる…優しさで…私を護ってくれる背中。
―――大好きな、貴方の背中。
どきどきが、聴こえる。手のひらから貴方の心臓の音が、聴こえる。でもね。でも私も今貴方と同じ音を、しているんだよ。同じ心臓の音を、しているんだよ。
どきどきって。いっぱい、いっぱい、しているんだよ。
「…ジュリア…俺は…その…」
困ったように言ってくる貴方。耳まで真っ赤な、貴方。大好き。凄くね、大好きだから。
「その、何?」
少しだけ困らせてみたくて聴き返したら、益々真っ赤になって。そして。そして手のひらから伝わる心臓の鼓動もどんどん激しくなっていったから。だから、私は。
「―――好きって、ガロの口から聴きたいな……」
そっと貴方から手を離して、そして。そして貴方に向かい合って、その顔を見上げた。一見怖そうに見えるけど、誰よりも優しい瞳を持った貴方を。そんな貴方を、見つめた。
貴方がどんなに優しい人か、私は知っているから。
貴方がどんなにも暖かい人か、私は知っているから。
いっぱい誤解される貴方だけど。
無口で、怖そうに見えて、そして不器用だから。
だからたくさん誤解されちゃうけど。
でもね。でも全ての人が貴方を誤解したとしても。
―――私だけは…貴方をずっと信じてゆくからね……
「…聴きたいな、ダメ?……」
大きな瞳。俺を真っ直ぐに見上げるその瞳が。
「…あ、その…えっと……」
反らされることなく、何時も。何時も俺だけを見つめて。
「…俺はその……」
一途にずっと。ずっと見つめていてくれた。
「…好き…だ…ジュリア……」
「私も大好きっ!!」
迷わず飛びこんだ。貴方の腕に飛び込んだ。
少しだけ戸惑いながら、それでもそっと。
そっと貴方の手が私の背中に廻って。廻ってそして。
そしてきゅっと抱きしめてくれたから。
私を、抱きしめてくれたから。
―――その優しい腕が、私を抱きしめてくれたから……
「大好きガロ。世界で一番大好きよ」
「…あ、……」
「…貴方が、好き……」
拒まない唇に私からキスをした。
爪先立ちになって、背中に手を廻しながら。
触れるだけの、キス。でもね。
でもそれだけでも、凄くしあわせになれるから。
―――いっぱいの、大好きを…貴方に込めて……
「…俺も…だよ……」
不器用に、けれども精一杯に。
精一杯に答えてくれる、貴方が。
…そんな貴方が、大好きだから……
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