硝子の花飾り




恋をしたら女の子は、誰でもその頭上に花飾りが飾ってあるの。
女の子の頭上には。頭上にはね、小さな花飾りがね。

―――貴女の頭上にも…ほら、沢山の花びらが降ってきているわ…


悲鳴が、聴こえる。耳を裂けんばかりの悲鳴。あたしはその声を聴くのが怖くて、必死に両手で耳を塞いだ。それでも。それでも、悲鳴は消えなくて…。


「いやああああっ!!助けてっ!!助けてぇぇーーーっ!!!」


小さな妹の身体がふわりと宙に浮いて、そして。そしてそのまま火の中へと投げ込まれて行った。まるで玩具のように、ぽいっと。まるで人形のように、その炎の中に。
「止めてっ止めてくださいっ!!!」
泣きながら必死に男に縋る母を、男たちはニタニタ笑いながら見下ろしている。あたしはその小さな身体を震わせながら、ただ。ただ机の下に隠れるしか出来なかった。
「ヘヘヘ、助けて欲しかったらなぁ…分かっているだろう」
「イヤですっ!!止めてっ止めてくださいっ!!子供たちを…いやあああっ!!!」
「やああああっお母さんーーーっ!!!!!あああ………」
これで残っているのはあたしとお母さんだけになってしまった。妹達は皆…皆炎の中へと消えていってしまった。それだもあたしは唇を噛み締めて必死で零れそうになる悲鳴を堪えた。今声を上げてしまったら…あたしもあの中に投げ込まれてしまう。
「ああああああ…ああああ…ヒャハハハハハハハハハハっ!!!!!!」
お母さんの悲鳴が途中で笑い声へと変わっていった。それは耳を劈く程の、大きな笑い声。あたしはもう…もう耐えられなかった。あたしもあんな風に大声で…大声で……。
「ケッ気が触れちまったか…どうする?殺っちまうか?」
「その前に、イイッすか?」
「け、悪趣味な奴だ、好きにしな。さてと…他にはもう誰もいねぇかなあ?」
「ああああっ…あああああああ……」
目を、閉じた。耳を、塞いだ。そうでもしないと、あたしは壊れてしまいそうだった。


花の、飾り。恋をした女の子なら誰でも持っているもの。
―――ユニも…貴女の頭にも、何時かきっと咲くわ…
たくさんの花びら。たくさんのしあわせ。
―――もう十三歳になったんだもの。たくさんの花が咲くわ。
たくさんの、光。たくさんの、優しさ。

…それが一瞬にして、奪われた。一瞬にして…散ってゆく……



「いやあああああっ!!!!」



どうしてっ?!どうして、どうしてっ?!!
どうしてこんな事に。こんな事になってしまったの?
ただ皆で暖かく、幸せに。そして。
そしてずっとずっと、一緒に。一緒に皆で。
皆で、楽しく。ずっとずっと。


「―――お、まだガキがいやがったな」


耐えきれず机の下から飛び出したあたしを大きな手が、捕まえた。そしてそのまま床に投げ飛ばす。
「ケケケ、ガキとは言え…さっきの奴らよりはマシかな?…」
「…い、いや…助けて……」
大きな男がじりじりとあたしににじり寄って来る。もう何がなんだか分からなかった。怖くて。ただ怖くて、怖くて。あたしもあの火の中に投げ込まれてしまうの?あたしも人形みたいに投げ込まれてしまうの?いや。いやいや、そんなのはイヤ。だってあたしまだ…まだ…。まだ花の飾りを頭に飾っていないもの。
「…た、助けて…助けて…助けて……」
歯ががちがちと当たっているのが分かる。がくがくと身体が震えているのが分かる。喉がからからで、舌がもつれて。もつれて上手く、声が出なくて。
「助けて欲しいか?え?」
「…助けて…助けて…お願い…だから…助けて……」
「クク、そこまで言うんじゃあ仕方ねーな…ガキ、服を脱ぎな」
男の言葉の意味が一瞬分からなかった。けれどもそれはすぐに理解した。その言葉と同時に…母の悲鳴のような声が、室内を埋めたから……


服を無残に破かれ、数人の男たちが母に群がっている。
肌蹴た胸に手が何本も触れ、大きな男が母に圧し掛かっている。
男が腰を振るたびに母の口から悲鳴が零れて。
…零れて、そして……


―――あたしはもう…この先の事は…覚えていなかった……




震える指先でユニは自らの服のボタンを外していった。けれども指先は上手く動かず、兵士の男を苛立たせるだけだった。
「ケ、つかえねーガキだぜっ!」
「あっ!!」
我慢できずに男はユニの服を乱暴に引き裂いた。ピリリーっと無残な音が室内に響く。それが逆に男の加虐心を増幅させた。
ビリビリと、わざと音を立てて布を引き裂く。そのたびにユニの白い素肌が露わになってくる。まだ幼さを残す瑞々しい白い肌が。
「い、いやっ!」
今まで知らない男に見せた事のない場所が暴かれて耐えきれずにユニは両手で胸を覆う。けれども男は当然それを許すはずもなく、強引に手を外させた。そしてまだ微かに膨らみ始めた小さな胸が、男の視線の下に暴かれる。
「…いや…止めて……」
「発育がイマイチだな…まあいいか。たまにはいいかもな」
「いやあっ!!」
男の手が忍び寄ると、むんずと胸を掴んだ。それは優しく触れるのではなく、力任せにきつく揉んで来た。その痛みにユニの顔が苦痛に歪む。
「いやっ痛いっ痛いっ!!」
「へへへ、小さいってのも悪くねぇなあ。クク」
「いやあっいやぁぁっ!!痛いっ!!」
口から零れるのは悲鳴だけ。ただひたすら苦痛以外の何物でもない声。けれども今の男にとってはそれが何よりも気持ち良かった。小さな女が必死に命乞いをして、そして乱暴な扱いをされながらも逃げれずにいる。自分から、逃げる事が出来ない。
「ああっ!!」
揉んでいた手が離れたと思ったら、今度は唇がその突起を吸ってきた。ぷくりと立ち上がった小さな飾りを、舌がちろちろと嬲る。そしてそのまま何度も何度も吸われた。
「…ああっ…イヤだ…いや…いやぁぁっ……」
先ほどの痛みとは違う何かがユニを襲う。それは今まで知らないモノだった。今まで自分の身体が経験した事のないものだった。けれどもそれは断続的にしかユニには与えられなかった。舐められしゃぶられその感覚が来たかと思うと、次の瞬間には痛い程に胸の突起を歯で噛まれている。その痛みに目から涙が滲んできた。
「…痛い…痛い…ああ……」
痛みと、快楽と。交互に押し寄せる感覚に、次第にユニの神経が犯されてゆく。何がなんだか分からなくなって。けれども分からなくなった瞬間にまた、痛みが駆け巡ってきて。
「ああ…やだっ…やだよぉ……」
ぽたりと頬に涙が零れ落ちてくる。それが男の欲望に更に火を付けた。胸への愛撫を止めると、そのまま強引に脚を開かせる。そして最後の砦だった薄い布をビリリと引き裂いた。
「いやぁっ!!」
誰にも見せたことのない、自分すらも見た事のない個所が男の前に暴かれる。まだ薄い茂みの下に息づく器官が、そのピンク色の花びらが男を喜ばせた。
「やっぱり違うな…男を知らないってのは…色が違うぜ…」
ねっととした視線がユニのソコに絡み付く。上から下から、そして中を嬲るように見つめるる視線に、耐えきれずにユニは顔を横に反らした。ぎゅっと目を瞑りながら。
「――いやああっ!!」
冷たいモノが、ソコに触れる。それが指だと気付くのには、中を捏ね繰りまわされた時だった。男の無骨な指がユニの狭い器官を犯してゆく。まだ硬いままの媚肉を押し広げ、乾いたままのソコを嬲った。
「…痛い…痛い…ヤダ…いたいよぉ…抜いて…抜いてぇ……」
ぽたぽたと大粒の涙が零れて来る。それでも当然男の指は止まる事はなかった。それと所か益々中に指の動きが激しくなってゆく。
「―――あっ!!」
ピクンっと大きくユニの身体が、跳ねた。男の指がユニの一番敏感な部分に辿り着いたのだ。まだ何も知らないソコを男は集中的に攻め立てた。
「…いやぁ…いやぁぁ…あぁ……」
「クク、イヤイヤと口は言ってても、ここは濡れてきたぞ。所詮ガキでも…女って事だな」
「…いやぁぁ…ああん……」
男の言葉通りソコはしっとりと濡れてきた。そしてユニの口からも悲鳴以外のものが混じってくる。どこか甘い、ものが。
「…ぁぁ…はぁぁ…いやぁ…いやいや…あぁ……」
変な、感じだった。さっきはただ痛いだけだったのに、触れられているところがジンっと熱くなってきている。そして時々身体に電流が走ったように、ピクンっと跳ねるのだ。それが次第に感覚が短くなって、そして。そして何時しかユニは無意識に腰を振っていた。
「…ああっ…ん…あぁ…ぁぁ……」
指が、当たる。指が、引っかく。その痛い程の刺激ですら、ひどく。ひどく……
「そんな腰を振って…淫乱なガキだな…指じゃ、満足しねーか?」
「…あぁ…ん…はぁっん……」
もう男の言葉などユニには届かなかった。ただ。ただ、その刺激が。その刺激が欲しかったから。―――けれども。
「――あっ……」
何かが来る前に、指がソコから引き抜かれる。そしてその代わりにジィーと金具の音がした。男がベルトを外し、自身を取り出したのだ。
「―――っ!!」
初めて見る男のソレに、ユニははっと我を取り戻す。大きくてグロテスクなモノがユニの前に差し出されていた。
「男のコレを見るのは始めてか?今からお前のソコにこれが入るんだぜ。裂けないようにしっかり銜え込めよ」
「…い…いや……」
ガクガクとユニの身体が震え出す。そんな大きなモノが自分の中になんて入るはずがない。こんな大きなモノが…。
「諦めなっ!」
「いやああっ!!!」
両の足首を捕まえられ大きく広げさせられる。そして硬くて熱いモノがユニの入り口に当てられる。それだけでビクンっとユニの身体が震えた。それを男はせせら笑いながら、足首を引っ張って自らに引き寄せた。


何時か、王子様がね。
王子様が現れて、貴女の頭に。
貴女の頭に、花の飾りを。
花の飾りをきっと。

―――きっと、くれるから……



「ひあああああああっ!!!!!!」



ピキイっと音がして、中が引き裂かれる。それでも男はずぶずぶと自らの欲望をその中に埋めていった。繋がった個所から真っ赤な血が流れてくる。それがユニの太ももにどろりと、伝った。
「あああっ!!ああああっ!!!!」
ぐちゅぐちゅと接合部分が淫らな音を立てている。皮肉にも血が潤滑油となって、男の凶器を奥まで迎え入れる結果となった。
「…ああああっ…あああ…痛いっ痛いっ…痛いっ!!ああああっ!!!」
身体を真っ二つに引き裂く痛み。そこにあるのはただの暴力でしかなかった。ただの痛みでしかなかった。女として成熟されていない幼い身体が、男の理不尽な暴力によって犯されていく。今ここにある現実はそれだけだった。
罪のない子供が、男たちの身勝手な暴力で蹂躙されている。それが。それが、戦争。男たちの、力ある者が、力ある者が弱者を好き勝手して家畜のように、奴隷のように、人形のように…身勝手に支配するのが、戦争。
「あああああ…あああ…助けてっ…助けて…あぁぁ……」
少女は、ただ。ただしあわせになりたかった。ただ小さなしあわせを護りたかっただけ。両親と幼い妹とそして。そして小さな自身の幸せが。ただそれが欲しかっただけ。それを願っただけ。戦争も権力も、力も地位も。そんなものは何も望まない。何もいらない。ただ。ただしあわせになれたらと。そんな些細な願いすらも。それすらも、踏みにじり、そして。
「ああああああ――――っ!!!!」
…ユニの小さな花飾りすらも…奪ってゆく……


王子様、ごめんなさい。
あたしは…あたしにはもう。
もう花の飾りは頭にはないの。
あたしは…お姫様にはなれないの。

―――ごめんなさい…王子様……


どくんっと何かが弾ける音がして、ユニの中に熱い液体が注ぎ込まれる。けれどもそれはまだ序章でしかなかった。ユニを支配していたものが引き抜かれたかと思ったら、次の瞬間には別の男が圧し掛かっていた。そして。そして引き裂かれままのソコに、男の凶器が捻じ込まれる。まだ血が乾ききっていない、どろどろのソコに。


「じゃあ俺は後ろの穴を貰おうかな」
「じゃあ俺はその可愛い口で奉仕してもらおうかな?」


悲鳴を上げる前に口に大きな塊が捻じ込まれ、後ろの穴も塞がれる。空いていた筈の手に、凶器が握らされ、身体にも擦り付けられる。穴という穴を塞がれて、そして。
そしてユニの身体には大量の精液が浴びせられた。真っ白になるほどに、大量に。



しあわせに、なりたいね。
あたしと妹達と、お父さん、お母さん。
皆でずっと一緒に。一緒にいたいね。
仲良く、ずっと。ずっと、ずっと。


…しあわせに…なりたかった………



「中々良かったぜ、ガキ。約束だから命だけは助けてやんよ…命だけはな、ハハハ」



意識すらももう分からなくなった頃、お腹があふれそうになった頃やっと。やっとユニは開放された。全身に精液を浴びてどろどろになって、そして。そして雄の匂いが全身に消えないほどに染み付いた頃に。


「…お母さん…お父さん……」


呟いた言葉が、去ってゆく兵士に聞えようと聞えまいと、彼らにはどうでもいい事だろう。ちっぽけな少女など、こんなちっぽけな少女など彼らの記憶にすら…残らないのだから……。




…こうやって、精一杯生きている…小さな綺麗な華の存在に……

 


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