首筋


背後から抱きしめて、その首筋に噛み付くように口付けた。


「―――っ!忍足っ!」
部室のドアに身体を抑えつけ、そのまま内側から鍵を掛けた。そうやって追い詰めなければ、目の前の野獣は手に入れられない。
「捕まえた、跡部」
「捕まえたって…離しやがれっ!」
わざとくすくすと声を立てて笑った。そして逃げられないように身体をドアと自分で挟み込む。そうしながらその身体を後からきつく抱きしめた。その瞬間、髪から甘い匂いが鼻孔をくすぐる。ふわりと、甘い薫りが。
「あかん。こうしてへんとすぐ、あんさんは逃げよるから」
その薫りに誘われるようにぴちゃりとひとつ、首の付け根を舌で舐めた。その瞬間腕の中の身体がびくんっと跳ねる。その様子にくすりとひとつ微笑えば、腕の中のぬくもりが微かに温度を上げる。
「俺から逃げないで、な」
もう一度首の付け根を舐めながら、頬を撫でた。綺麗な顔のラインをなぞり、そのまま唇の輪郭を指で辿る。そのたびに腕の中の身体が小刻みに揺れて…そして。
「…は、離せ…忍足……」
そして口から零れる声が微かに震え、吐息が落ちてくる。逃れようと捩った身体は何処か力なく、扉についた手がずり落ちてくる。それを眼鏡越しに見つめて。見つめ、ながら。
「あかん、逃がさへん」
ぺろりとひとつ自らの唇を舐めて、目の前の獣を狩る事だけに集中した。


綺麗な獣。しなやかな野獣。何時も人を見下し、常に人の上に立つ。
そんな彼だからこそ。そんな彼だからこそ、堕としたい。
何処までも何処までも這いつくばらせ、その口から呼ばせたい。


――――俺の名前だけを…呼ばせたい……


ひんやりと冷たい手が、ウェアーの中に忍びこんできた。その感触に跡部の肩が跳ねる。けれども構わずに忍足はそのまま行為を進めてゆく。汗がほんのりと浮かぶ肌の上に指を滑らせ、辿り着いた胸の果実をぎゅっと摘んだ。
「…っ…くっ……」
部室の鍵は掛けられている。部員達はもう帰宅している筈だから、ここにやってくる人間はいないはずだ。そう自分の心に言い聞かせても、誰が来ないとは限らない。ここはそういう場所なのだから。
けれども今それを訴えたとしても、忍足の行為は止められる事はないだろう。いやむしろここだから。部室という場所だから、彼は自分を犯そうとしているのだから。
「…止めっ…忍足っ…ぁっ……」
じわじわと這い上がってくる快感から逃れようと跡部は首を左右に振った。けれども胸を弄る手が止まる訳ではない。その手はウェアーの下で、一層淫らに跡部のソレを弄んでいる。
「何時も跡部はそうや。最初は嫌やと言うけれど…結局は」
その後のセリフは言わずにくすりとひとつ微笑って、耳に息を吹きかける。そのまま口に含み、軽く歯で耳たぶを噛んだ。その途端びくんっと跳ねる身体を、腕の中で感じながら。
「…止め…やめろっ…あぁ……」
服の上からもう一方の胸が指で弄られる。布越しに擦られる胸の突起と、じかに摘まれる胸の突起。両の性感帯を支配され、耐えきれずに跡部の口から甘い吐息が零れた。その吐息が悔しくて唇を噛み締められる前に、忍足は自らの唇でそれを奪ってしまう。
「…んっ…んんんっ!……」
きつく閉じられる前に舌を絡めた。逃げられないようにきつく絡め取った。にゅちゃにゅちゃとわざと音を立てながら、口内を攻め立てた。彼が『音』に弱い事を知っているから。
「…はぁっんっ…んんっ…ふっ……」
そうして堕としてゆく。プライドの高い誰にも媚びる事のない、綺麗な獣を堕落させてゆく。


眩暈がする程の快楽。背筋が震えるほどの快楽。


がくがくと扉についた手が震えているのが分かる。それを見下ろしながら忍足は口許だけで微笑った。腕に抱いた身体は耐えきれずに自分に体重を預けてきている。
何時も思う。この瞬間は跡部にとって何よりもの屈辱なのだろうと。自分から望んだ訳でもないのにこうして肌を愛撫され、こうして男の腕に堕ちてゆくのは。
けれどもそれこそが。それこそが自分にとってはぞくりとする程の快感だった。身体を貪る瞬間よりも、快感だった。
「気持ちええ?跡部」
「…あっ…やぁっ…あぁ……」
ズボンの上から形を変化させ始めた跡部自身を撫でた。それだけで耐えきれずに口からは甘い息が零れて来る。そのまま形を指先でなぞってやれば、両の膝が震えるのが伝わってきた。
「気持ちええんなら正直にゆうた方がええで、そうしないと意地悪になるさかい」
「…だ…誰が…っ……」
「全く強情なお人や。まあそこがあんさんの可愛い所なんやけれど」
「―――っ!」
一瞬息を飲むのが伝わった。けれども構わずに忍足はズボンの中に手を入れて、じかに跡部自身に触れた。既に形を変化させているソレは忍足の手の中でどくどくと脈を打っている。
「ココはこんなん正直やのに」
「…はぁっ…あぁぁっ…止め…あっ……」
先端の割れ目を爪で抉り、縊れた部分を指でなぞった。それだけでとろりとした先走りの雫が零れて来る。そのまま柔らかい愛撫を与えると忍足は指で出口を塞いだ。
「――――あっ!」
「素直にならへんから、罰や。正直にゆうてみたら離してやるで」
「…やっ…止め…止めろっ…忍足っ……」
首を左右に振りながらイヤイヤをする跡部を背後から見下ろしながら、忍足はもう一度胸の果実を指で弄った。痛いほどに張り詰めたソレを、爪でぴんっと弾く。それだけで敏感になっている跡部の身体には十分だった。
身体が大きく跳ね、自身は痛いほどに昇り詰める。けれども塞がれた出口のせいで、くっきりと筋が浮き上がるだけだった。
「…止め…忍足っ…あ…ひぁっ……」
ぽたぽたと目尻から生理的な涙が零れて来る。それが身体を伝い忍足の手の甲に落ちてきた。それを感じると一端忍足は胸から手を離し、ぺろりとその雫を舐めた。しょっぱいその透明な雫を。
「何を止めればええんか?ちゃんと言うてや、跡部」
彼は常に帝王だった。常に一番だった。コートの上ではどんなに戦っても勝てはしない。どんなに戦っても手に入れられない。でも。でも今は。今は。
「言うんや、跡部」
今は自分のものだ。自分だけのものだ。自分の愛撫に感じ、自分にイカされるのを望む。誰よりもプライドの高い男が、無意識とはいえ腰を振って解放をねだっている。自分の手に自身を擦りつけ、強い刺激を求めている。あれだけ他人を見下し、見下ろしてきた男が。
「…言える…か…そんな事…俺がっ…言え……」
「言わんとずっとこのままやで」
「…言えな…あっ!…やぁっ…止めっ…ひぁぁっ!!」
先端を塞いだまま忍足は跡部の袋の部分を強く握った。その痛みに跡部の身体が竦み上がる。そのせいで限界まで膨らんでいた自身も、萎んでしまった。けれどもそれを許さないとでもいうように、再び忍足の手が跡部自身を愛撫する。もどかしいほどの快楽を与えるために。
「…ひぁっ…ぁぁ…やぁっ…やっ……」
痛みと快楽とごちゃごちゃに混ざったものが跡部に襲いかかる。それがうねりとなって跡部の脳味噌を神経を侵してゆく。ぐちゃぐちゃになって、何もかもが分からなくなるくらいに。
「言うんや。ちゃんと口に出して言うんや。そうすれば許したる」
「…あっ…あぁ…あ…もう……」
「―――もう、どうして欲しいんや?」
囁かれるように言われた言葉は、ひどく優しい響きを持っていた。まるで全てを蕩かすような甘い響き。このまま全て溶けてしまったら楽になれる?プライドも理性も何もかもをなくしたら。このまま快楽に溺れられたら。
「…もう…俺を…」
楽に、なれる?何もかもを忘れて、与えられる快楽に溺れたならば?


「…イカせろっ!……」


こんな時にまで命令口調な跡部に苦笑しつつ、忍足は解放させる為に強い刺激を跡部の先端に与える。それだけでソコから白濁した液体が一気に飛び出した。
「跡部、こっち向きや」
はあはあと荒い息をついたままドアに凭れかかる跡部を、強引に忍足は自分へと向かせた。そしてそのまま身体を抱き寄せると、自分を下にして身体を倒した。自分の身体の上に跨がせる格好にすると、精液で濡れた指をするりと跡部の秘所に滑りこませる。
「―――くっ!」
長い指が跡部の中を掻き乱す。くちゅくちゅと濡れた音を立てながら。それが部室内に響いて、跡部の身体を朱に染まらせた。
「…ふっ…はっ…くふっ……」
無意識に跡部の指が自らの唇に運ばれると、そのまま噛んだ。少しでも、声を押し殺そうとするように。けれどもその仕草は逆に忍足の欲情をそそる結果にしかならなかった。
「ほんまあんさんは無意識でやっとるんやけど…天然で淫乱なお人や」
忍足の言葉は跡部に届かなかった。快楽のせいでぼんやりと白味ががった思考では、言葉をちゃんと理解するまでは出来なくなっていた。今はただ。ただ与えられる刺激を追う事しか、分からない。
「…ふあっ…あっ…あ……」
指の本数を増やされそれぞれが勝手に中を掻き乱す。それに耐えきれず跡部は口に持っていった手を何時しか忍足の胸の上に置いていた。けれどもその手も、もう小刻みに震えている。
「あかん、もう限界や。挿れてええ?」
ずぷりと音ともに指が引き抜かれる。それと同時に囁くような声が跡部の耳に降ってくる。けれどももう、その言葉すら跡部には理解できていなかった。けれども構わずに忍足はズボンの前だけを開いて自身を取り出すと、そのまま跡部の腰を浮かせて一気に引き寄せた。


「――――あああっ!!!」


埋め込まれた楔の大きさと硬さに、跡部の目が大きく見開かれる。その目尻からは大粒の涙を零しながら。けれども引き裂くような痛みもすぐに違うものへと摩り替わってゆく。背筋から這い上がる快感に、飲まれてゆく。
「…あっ…あああっ…あぁぁっ!」
綺麗な喉が仰け反って、唇からは紅い舌が覗く。それを見上げながら、忍足は腰を二三度揺さぶると動きを止めた。そして。
「動いてや、あんさんから」
「…あぁっ…ぁ…忍…足っ……」
ぽたりぽたりと雫が忍足のシャツに落ちてくる。それが涙なのか唾液なのか汗なのかは、もうどうでもよかった。ただ動かないのに焦れて腰をくねらす跡部の姿の方が、今の自分には重要だったから。
「腰振るんや、自分から。出来るやろう?」
言われた言葉の意味は理解できなくても、本能的に首を横に振るのは可笑しかった。そんな所が彼らしかった。けれどもそんな彼だからこそ、こうやって。こうやって、自分から求めさせたい。求め、させたい。
「さあ、やるんや」
「…忍…足…おした…り…あっ……」
一度だけ軽く下から突き上げてやった。それだけで刺激を逃さないようにと跡部の内壁はきつく締め付けてくる。それだけ、彼は刺激を求めている。自分を、求めている。
「…あっ…あぁ…あああっ!!」
ゆっくりと跡部は腰を動かし始めた。もしも理性が残っているならばプライドの高い彼は絶対にこんな事をしないだろう。でも今は飲みこまれた意識と、快楽だけを求める身体が、目の前の欲求を堪える事が出来なくなっていた。
出来ないから、腰を振った。夢中で振った。出し入れする楔の熱さを感じたくて。擦れ合う肉の感触を感じたくて。
「…あああっ…あぁぁっ…ああああっ!」
白い喉が、仰け反る。髪が、乱れる。そこから零れる雫がひどく綺麗だった。ぽたぽたと零れ落ちる雫が、綺麗だった。そしてくっきりと浮かび上がる首筋が。その白い喉元が。
「―――跡部…俺のもんや……」
「あああっ!!ああああんっ!!!」
ぐいっと身体を起こすと、そのまま首筋に噛み付いた。きつく噛み付きながら、突き上げた。一番深い場所まで、突き上げた。
逃さない。絶対に逃さない。何よりも綺麗な獣。何よりも綺麗な野獣。誰のものにもならならないと不遜な笑みを浮かべ、全てを見下している獣。でも。でも今は。今は…。
「…もぉっ…イクっ…イ…ああああああっ!!」
今は自分だけのものだ。他の誰のものでもない。自分だけの、ものだ。



「…俺のや…俺だけのもんや……」
快楽に溺れ、淫らに喘ぎ。女のように腰を振る。
「…誰にも渡せへん…誰にも渡さない……」
こんなお前を知っているのは、俺だけだ。俺、だけだ。
「…俺だけの……」
お前が堕ちていいのは、俺だけだ。



首筋から血が滲んでいる。それでも忍足は歯を立てるのを、止めなかった。止められ、なかった。

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