指の隙間から零れ落ちる銀の砂が…さらさらと、流れていった。
『貴方の為ならば…僕はどんな事でも出来るんです』
記憶が途切れる寸前に見せたその笑顔がひどく。ひどく綺麗で哀しく見えた。その先の言葉を聴こうとして意識が途切れて。途切れてそして。そして目覚めた瞬間に、私の指から零れたのは。零れたのは銀の砂、だった。
「…ここは…っ!」
呟いて起き上がった瞬間に、胸に鋭い痛みが走る。思わず蹲り痛みを過ぎ去るのを待つ。ズキンズキンと痛む個所に手を当てれば、鮮やかな紺色の布が巻かれていた。そこからは紅い血が染み込み一部変色していたが、丁寧に巻かれたそれはちゃんと止血の役目を果たしていた。
「――――私は……」
この布の色を自分はよく知っている。この服の持ち主を自分は良く知っている。さっきまで共に敵と戦ってきた相手。そう、さっきまで……。
「…クレ…イン?……」
名前を、呼ぶ。けれども返事はなかった。もう一度名前を呼んだが人の気配は全くなかった。返って来るのはただ。ただ波の音だけ。寄せては返す、波の音だけ。
「―――――」
夜の闇が沈められた真っ黒な海は、まるで自分を呑み込むようだった。全てを、呑みこむような深い闇。その海岸の隅に小さく存在する廃家。海の潮にぼろぼろになりかろうじて、こうして自分寝かせるだけのスペースしかないこの場所に。この場所に傷の手当てをされ、そして寝かされていた自分。そして。そしてそんな自分を介抱した筈の相手は何処にも、いない。何処にも、見当たらない。
「クレイン…何処だ…何処にいる?」
痛みを堪え立ち上がった瞬間。その瞬間、蘇ったものはただひとつ。ただ、ひとつ。
――――何よりも綺麗に、そして哀しく微笑うお前の顔、だった。
どんな事でも、出来るんです。僕は貴方の為ならば、どんな事だって。
怖いものは貴方を失う事だけ。怯える事は貴方のいない世界に僕がいることだけ。
だから僕は、何も怖くない。貴方が生きて、そして。そして微笑ってくれるなら。
―――怖いものなんて、何もないんです……
恋を、した。ずっと恋を、していた。馬鹿みたいに貴方だけを追いかけていた。
貴方のそばにいたくて、貴方の役に立ちたくて。僕はそれだけの為にこの弓を握り、軍に身を置いた。両親はそんな事をしなくてもよいと言ったけれど…それでも僕は戦いに身を置いた。
貴方がいたから。貴方が戦い続けるから。
追いつきたかった。貴方のそばにいきたかった。貴方の隣に立ちたかった。
貴方が例え王子の騎士であろうとも。貴方が王子のためだけに生きていても。
それでも僕は貴方のそばにいたかった。少しでも貴方の役に立ちたかった。
だから追い掛け続けた。振り向かないと分かっている背中を。ずっと、追いかけた。
好きなんです。ずっと、好きなんです。
貴方だけがずっと。ずっと好きでした。
言葉じゃ足りない気持ちが。溢れる気持ちが。
ずっとずっと僕の中にあって。それを。
それを閉じ込める事に精一杯で。
貴方にとって重荷しかならない想いは、永遠に閉じ込めるつもりだった。
それでもそばに。そばに、いたかったんです。
貴方のそばに、いたかったんです。
ずっと見ていたかったから。ずっと貴方だけを。
どんな時も、どんな瞬間も。僕は貴方だけを。
――――僕はずっと貴方だけを、見ていたかったから。
夜襲を掛けた戦闘で仲間に合流する為に僕達は海沿いの雑木林を駆け抜けていた。敵はほとんど倒し、後は合流すれば任務は完結する。そんな時だった。僕の中に微かな油断が生まれ、背後から忍び寄ってきたならず者達に気付かず…飛んで来た矢に……。
「パーシバル将軍っ!!」
僕の身体は突き飛ばされ、貴方の胸に矢が突き刺さる。逃げろと合図する貴方を僕は。僕は…。
そんな貴方の手を強引に取り、雑木林を掛け抜けた。その間もならず者達の僕らを捜す声と音が聴こえたが、必死で逃げた。この人を、安全な場所へと移すために。
雑木林を抜け廃屋を見つけた瞬間、僕は貴方の急所を叩いて気絶させた。そうでもしなければ貴方はその剣を取り、僕を護るために戦うだろう。接近戦の出来ない、僕の為に。
小屋の中に貴方を寝かせ咄嗟に止血をした。自らの服の裾を破り、貴方の傷を縛った。それでも中々血が止まらず、僕は不安に捕らわれた。けれども。けれどもここで僕が押し潰される訳にはいかない。そうしたら貴方が…貴方が助からなくなってしまうかもしれない。
「…パーシバル将軍……」
顔に付いた埃を指で拭って、意識のない唇に一つ口付けた。そこから感じるぬくもりがひどく。ひどく苦しかった。けれども、もしかしたらこれが最期のキスかも…しれないから…。
「…どんなになっても僕は…貴方だけは…護ります……」
綺麗な金色の髪にそっと触れた。触れたくても触れられなかったその髪に。そしてもう一度だけキスをした。全ての想いを込めて。ただひとつの想いを、込めて。
壊れかけた木の床に手を置けば、しゃりっと音がして指に砂が絡まる。銀色の砂、だった。闇に光る銀色の砂。それがひどく目に鮮やかに、見えた。
そして僕は小屋から飛び出し、元の場所へと向かった。
貴方が決して奴らに見つからないようにと願いながら。
僕はわざと彼らに気付かれるように雑木林の中へと向かった。
どんな事でも出来た。どんな事でも出来る。
貴方のためならば、僕は。僕はこの命すらいらない。
貴方がいない世界ならば、僕は自分が消える方がいい。
――――貴方が生きていなければ…僕は自分が生きてる意味がないから……
カサリとわざと音を立てて、奴らに存在を示した。海へと、小屋へと、向かわないようにと。そんな僕の誘いに奴らは見事に引っかかった。
「へぇ、これはこれは…随分とべっぴんな獲物じゃねーかよ、ケケ」
僕の廻りを取り囲んだ男たちの数は四人…その中に弓を使う奴が一人いた。そいつが貴方に傷を付けた奴だろう。それ以外は三人とも斧使いだった。いかにも力任せの攻撃しか出来ないような、太い腕と身体を持つ大男たちだった。
「私をどうするつもりだ?金目のものを奪って殺すのか?」
僕の言葉に男たちは下品な笑いを浮かべた。そしてその中の男の一人が僕の背後に立つと、そのまま後ろから羽交い締めにする。そして別の男が近づき僕の顎を捕らえて。
「殺して欲しいのか?でもあんたみたいなぺっぴんさんなら…殺すよりももっと違う目的があるんだぜ」
「そうそう、別の目的がな、へへへへ」
男の顔が近づき臭い息が顔に当たる。それに耐えきれず顔を横に背ければ、その途端腹部を思いっきり殴られた。その痛みに意識が跳び、そして。そして僕は……。
――――何でも出来る。どんな事でも、出来る。貴方の為ならば僕は、どんな事でも出来るから。
飛び掛けた意識を必死で戻すと、クレインはその腕から逃れようと身体を捩った。けれども力強い腕に背後から捕らえられ身動きすら出来なかった。その間にも自分を殴った男の手がクレインの衣服に掛かると、そのままビリリと音ともに服が引き裂かれた。
「―――なっ…止めろっ!!」
その時になってクレインが、彼らが言っていた『別の目的』の意味に気付く。その恐怖に身体を動かして逃れようとしたが、抑えつけられ無残にも服がビリビリに破られてゆく。
「男にしちゃー色が白れーな。ケケケたまんねーな、こりゃ」
「止めろっ!離せ!離せっ!!」
「離せと言われてはいそうですとは言えねーんだよ」
「止めろっ!!」
辛うじて上半身の皮膚に辛うじて布が残っているだけの状態になり、クレインの白い肌がならず者達の前に露わにされる。無駄な肉の付いていない、華奢とすら言えるその白い肌が。
「へへ、いい眺めだぜ。騎士さんよ。ほら」
「うわっ!」
男の無骨な指がクレインの胸の突起を摘んだ。薄く桜色をしていたソレを、ぎゅっと力任せに摘む。その痛みにクレインの目尻から生理的な涙が零れて来た。けれどもその苦痛に歪む顔こそが、目の前の男たちの欲望に逆に火を付ける結果となって。
「痛いっ止めろっ…止めっ…くっ…」
「イイ顔だねぇ、ソソるね。もっと見せろよ、ほら」
「やぁぁっ!!」
胸の突起が潰れるほどに男の指が力任せにソレを押す。その痛みにクレインは思わず細い悲鳴を上げた。けれどもまだこれは、これから行われる行為の序の口でしかない。
「へへ、もっとイイ声上げな」
「やぁんっ!」
後ろから抱えていた男がもう一方の胸に触れた。それは前から自分を嬲っている手とは違い、クレインの性感帯を刺激するための愛撫だった。指の腹で胸の果実を転がし、廻りをなぞる。そうしてクレインの欲望に火を付けようとしていた。
「アニキ…お、おいらにも……」
「しゃあねぇな、ほら」
「―――ああっ!」
前に立っていた男に別の男が声を掛けると、胸を潰していた指先が離れた。痛みから解放されてクレインがほっとした瞬間、今度はその真っ赤に充血した乳首を別の男の口によって吸われたのだ。
「…あぁ…止め…いやっ…止めろ…あぁぁ……」
ちゅうちゅうと音を立てながら乳首が吸われる。舌先で嬲られ歯を立てられながら、何度も何度も。その間にももう一方の胸は背後の男の手で嬲られ続けている。
「しかし本当にイイ顔するぜ…今日は楽しめそうだな」
別の男の言葉に他の男達がケケケと笑い出す。その声がねっとりと欲望に塗れている。まるで声ですらクレインを犯しているようだった。
「おい、そろそろいいだろ?代われよ」
「ち、分かったよ。その代わり後でたっぷりとヤラせてくれよ…アニキ」
胸をしゃぶっていた男が離れ、先ほどの男がもう一度クレインの前に立つ。そしてその顎に太い手を掛けると、噛み付くように唇を奪った。
「…んんっ…んんんっ!」
頭を振り逃れようとするが男の力強い腕で顎が固定されてしまう。そして臭い息とともに生き物のような舌がクレインの口中を弄り、そのまま強く舌を絡め取られた。
「…やぁ…んっ…んん…はふっ……」
飲みきれなくなった唾液がクレインの口許から零れ、顎につううと伝う。その感触の気持ち悪さにクレインの肩が竦んだ。その様子を男は目を細めながら見下ろすと、やっとの事で唇を解放する。そしてそのままクレインのズボンを下着ごと一気に引き降ろした。
「やだ…止めろっ!!」
白い脚が剥き出しになり、男たちの欲望を更に増徴させた。脚を閉じようとクレインはもがくが別の男の手がその足首を抑えつけ、男たちの前に自身を暴かせた。まだ恐怖で竦み上がっているソコを。
「なーんだ全然感じてねーのかよ」
「ああっ!!」
先ほどまでクレインの口中を蹂躙していた男が自身をすっと撫でる。その刺激にびくんっとクレインの身体が跳ねた。その様子に後ろから見ていた男たちがニヤニヤと笑い出す。
「いげー色っぺー…たまんねーすよ、アニキ」
「早くぶちこみてーぜ」
「って待ちなお前ら。突っ込む前に準備が必要だろうが」
男は卑猥な笑いを浮かべると脚を掴んでいた男に命じさせて、脚を限界まで開かせた。そして背後の男に腰を持ち上げさせると、クレインの一番恥ずかしい部分を剥き出しにさせた。
「さてと、具合を確かめてやるぜ」
「…なっ…何を……ひっ!」
剥き出しになった秘所に男の手が掛かる。双丘を掴むとぐいっと引っ張り、入り口の肉を暴いた。その痛みにクレインの口から悲鳴が零れる。けれどもそれで男の手が止まる訳ではなかった。乾いた蕾を指で剥き出しにするとそのまま生暖かい舌が忍び込んで来る。その感触が気持ち悪くてクレインは首を左右に振って、逃れようとする。
「…止め…そんな所…やだっ!……」
腰を引き舌から逃れようとしても背後の男の手はがっちりとクレインの腰を掴み、逃れる事は出来なかった。ぴちゃぴちゃとわざと音を立てながら男は秘所を蹂躙した。
「…やぁ…止め…止め…あぁっ……」
気持ち悪いはずの感覚が何時しか別のものへと摩り替わってくる。嫌だと必死で抵抗しても、その声には微かに甘いものが含まれてくる。そして。
「アニキ、こいつ感じてますぜ。ケツの穴舐められて」
「…違っ…あっ!…あぁぁ……」
背後の男の手がクレイン自身の先端をぴんっと指で弾いた。それは確かに男の言葉通りに震えながらも微かに立ち上がり始めていた。
「前よりもコッチのがいいのか?こりゃ生まれつきのスキモノかい?」
「ひぁっ!」
舌が離れたと思ったら次の瞬間、ソコに指が埋められる。幾ら唾液で濡らされたとはいえ、異物など受け入れた事のないソレは、初めての刺激に苦痛を訴えた。
「…やめ…痛い…痛っ…くぅっ……」
「って処女かい…って当たり前だよな。へへこんな美人のお初を頂けるなんてたまんねーな」
「…いや…止め…抜いて…くれ…痛いっ…ああっ…」
異物を排除しようと締め付ける媚肉を容赦なく男の指は奥へ奥へと埋められてゆく。その痛みにクレインの綺麗な眉が歪んだが、その表情すらも男たちの欲望を煽るだけでしかない。現に我慢できなくなった背後の男の一人は自身の欲望を下界に曝け出すと、クレインの様子を眺めながら自慰を始めるほどだった。
「痛いって言われてもなぁ…これからもっとぶっといモンがお前のココに入るんだぜ」
「…くふっ…はぁ…嫌だ…ぁ……」
指を根元まで埋めて、そのまま中を掻き乱す。ぐちゅぐちゅと音を立てながら、何度も媚肉を押し広げた。そうしなければ狭すぎるソコに自分らの欲望を埋め込むのは不可能だと判断したからだ。まあ入らなければそのまま引き裂いてしまえばいいだけの話だが。
「そろそろか?」
「―――あっ……」
ずぷりと音ともに指がクレインの中から引き抜かれる。異物の抜けた安心感で一瞬身体が緩んだが、直にそれは緊張で強張った。前に立っていた男がグロテスクな自分自身をクレインの前に曝け出したからだ。
それは既に充分な角度と硬さを持ち、クレインの蕾を求めて黒光りをしていた。
「諦めな。これからお前のココにこれをぶちこんでやるぜ」
「…い、いやだ…止め……」
拡張した男のソレがクレインの入り口に当てられると、そのままソレで入り口をなぞった。その感触にびくんっとクレインの身体が震える。その様子に男の加虐心に火が付いた。
「へへへ、行くぜ。たっぷりと味わいな」
そして怯えるクレインの顔をたっぷりと味わいながら、その細い腰を引き寄せ一気に貫いた。
「ひあああああっ!!!」
――――ピキッと言う音ともにクレインの中が引き裂かれる。白い太腿に真っ赤な血がどろりと伝った。
「―――っキツいな…これじゃあ俺の引き千切れちまうぜ」
「…ひっ…あああ…ああああっ!!」
男はクレインの脚を自らの肩に乗せ、ぐいぐいと腰を押しつけた。そのたびに男の凶器がクレインの中を引き裂き、媚肉を傷つけてゆく。その間にも背後の男がクレインの尖った胸を嬲り、誇張した自身をその背中へと擦り合せた。
「…痛い…痛い…抜いて…抜いて…ああ……」
その様子を見ていた背後の男たちも自身を取りだし自らの手で解放を促す。先ほどから自慰行為をしていた男は既に一度欲望を放ち、再び熱さを取り戻しているほどだった。
「ああ、たまんねー気持ちいい…こんなにイイのは久々だぜ」
クレインの中に凶器を突っ込んだ男が顔を高潮させながら呟いた。ハアハアと荒い息を漏らしながら、激しく腰を揺する。そのたびにクレインの内壁が傷つけられ、血が何度も滴った。けれども皮肉にもその血のぬめりこそが潤滑油となって、クレインの中の楔を自由にさせていたのだ。
「…アニキ…早く…早く俺達にも……」
「待てよ、後でたっぷり楽しませてやるからよ。一発出させてもらうぜ」
「…いやっ…いやぁ…っ…止め…ああああっ!!」
「ふぅ…取り合えず一発目だぜ。たーんと飲み干せよ」
言葉通りにドクンっと弾けるような音ともにクレインの中に熱い液体が注ぎ込まれる。けれども中に埋められたソレは収まる事無く、クレインの中で存在を強く主張している。
「…やだ…もう…抜いて…お願いだから…もうっ……」
「何言ってんだよ。これからだぜお楽しみはよ、ほらっ!」
「ああああっ!!」
ぐいっと腰を引き寄せられて再び中が抉られる。先ほどの性急な動きとは違い、今度はじっくりと味わうために、男の動きは緩やかだった。けれどもそれは最初だけで、次第に打ちつける腰の動きは加速してゆく。
「…あああ…やだ…やだ…もう…止めて…ああ……」
腰を揺さぶられている間にも背後の男の自身がクレインの背中に押し付けられ、白い欲望をぶちまけられていた。そしてそれでは飽き足りなくなった背後の男がクレインを貫いている男に合図を送る。
「ケ、しゃーねえな。ほらよ」
「ふぐっ!!」
貫かれたまま身体を地面に落とされて、その口にもう一方の男の欲望が突っ込まれる。一度精液を吐き出したソレは、欲望の匂いがクレインの口中に充満し顔を歪めずにはいられなかった。
「どうだ?そっちはよ」
「イイ具合だぜ。ほらっ気合入れてしゃぶれよ」
「…ふっ…んんん…んんんっ!……」
口いっぱいに拡張した自身を突っ込まれ、クレインは噎せ返りそうになった。けれども喉まで届く大きさが口の動きを自由にしてくれない。今この苦痛から逃れるには、この男のソレを解放させる以外に手段はなかった。けれども同時に貫かれている個所の痛みが、クレインの思考を奪いどうする事も出来なくなっていた。
――――ただ男たちの動きに蹂躙される以外には。
弾けるような音とともにクレインの体内に、口中に男たちの欲望が注がれる。けれどもそれで決して終わりではなかった。背後に控えていた二人が同時にクレインに襲いかかってきたのだ。耐えきれずにクレインの手を掴むと自身を握らせ腰を振ってくる。もう一方の男は痛いほどに張り詰めた胸の突起に自身を擦り付け、欲望を吐き出した。その間にも最初からクレインを犯していた男たちの欲望が回復し、また体内に、そして口の中に液体が注がれる。
「アニキ、そろそろ代わってくださいよ」
「しゃーねえな、ほら」
圧し掛かっていた男のソレが引き抜かれたと思ったら、次の瞬間には別の男の凶器が突き刺さっていた。充血するほどに膨れ上がったソレはニ、三度腰を揺さぶっただけでクレインの中で果てる。そして直に回復をして再び内部を蹂躙するのだ。
ぐちゅぐちゅと濡れた音が途切れる事無く響き渡る。クレインの脚は血と精液が交じり合いぐちゃぐちゃに濡れていた。それでも解放される事はなくて。
「…ああ…もぉ…許し…て…もう…壊れ……」
声が枯れるほどに喘がされ、感覚が麻痺するほどに犯される。意識が途切れそうになりながらも、貫かれる痛みがそれを許してはくれない。それでも。それでもクレインは必死で意識を取り戻した。もしもこのまま犯され死ぬにしても自分には、どうしてもしなければならない事があったから。
もうどのくらい自分の中に男たちの欲望が注がれたのか分からなくなるほどになって。それでも終わる事のない蹂躙の中で、クレインの口の中に滾る欲望が突っ込まれる。その相手を確認してクレインは、力の限り男の楔を食い千切った。
「ひやああああっ!!」
犯されながらもずっと。ずっとこの瞬間を待っていた。弓を持っていた男…あの人を傷つけた男が自分の口を犯す瞬間まで。そしてその時には必ず噛み切ってやろうと、そう。そう思ったから。
食い千切る事は不可能だったが男のソレから血が吹き出し、股間を抑えながら男が離れてゆく。その様子を見ていた他の男たちがクレインの身体を再び殴りつけた。
「へ、最期になって強かなマネしてくれるじゃねーかよ」
アニキと呼ばれていた男がもう一度クレインの中に欲望を吐き出すと、そのまま地面に身体を転がして脚で何度も踏みつけた。
身体中が精液と血と泥でぐちゃぐちゃになる。そしてクレインは意識を手放した。
――――股間を噛み砕かれ蹲る男の悲鳴を…確認しながら……
何でも、出来るんです。貴方のためならばどんな事でも出来るんです。
この身体も、この命も全部。全部、僕は貴方のためになら。貴方のためになら捧げられるから。
ずっと、好きでした。ずっと、ずっと、好きでした。
貴方の役に立ちたいと願っていたのに、僕は貴方を傷つけてしまった。
綺麗な貴方の身体に深い傷を負わせてしまったから。貴方の命を危険に晒してしまった。
…だから、僕は…だから…僕は……
「…パーシバル…将…軍……」
クレインの呟きは男たちには届く事はなかった。気を失いぼろぼろになった彼に止めを刺す事はしなかったからだ。いや止めなど刺さなくとも、このまま放っておけば何時か死体になって土に返るだろうから。わざわざ労力を使って殺すまでもなかった。散々嬲り犯しそのまま放置して、男たちは夜が開ける前にその場を去っていった。
血と精液と泥でぼろぼろになった肢体を、あざ笑いながら。