俺を優しいと言ってくれたお前。
俺を本当は優しい奴だと。誰も。
誰もそんな事は言ってくれなかった。
兄貴がいたから。優しい兄貴がいたから。
何時も俺は比較され、そして。
そして乱暴モノ、素直じゃないと烙印を押されて。
でもそれでよかった。そんなもんだと思っていた。
俺達は双子だから、わざと。わざと違う風にならなければ、と。
そうしなければ一人の人間として、認識されないんじゃないかと思ったから。
――――でも…そんな俺をお前はちゃんと…見てくれた…俺を…見て、くれた……
「…私は…穢れて…いるの……」
零れ落ちる涙。震える細い肩。揺れる長い髪。
「…そんな…私は…いや?……」
無表情で何を考えているのか分からなくて。
「…いや?……」
何時も俺は分からなくて、どうしていいのか。
「…いや?…レイ?……」
でも今は。今は、分かるから。今はちゃんと分かるから。
「嫌だったら…嫌だったら…そばにいねーよっ!」
好きだって思った。本当に好きなんだって。こんなガキが何言っているんだろうといわれるかもしれない。
でも俺。俺はお前が、好きだ。
「…レイ……」
弱そうなのに強くて。強そうなのに弱くて。一人で生きてゆけそうなのに、こうやって。こうやって護ってやらないと。護って、やらないと。
「ソフィーヤ…俺は……」
護ってやらないと本当は。本当は今にも壊れてしまう程で。こうやって壊れてしまう程で。
「…俺は…お前…好きだ……」
だから俺が。俺がずっと。ずっとお前護るから。
まだガキだけど…頼りないかもしれないけれど。でも俺。俺一生懸命に護るから。だからお前の傷を。
「…私も…レイ…貴方が……」
お前の傷を、俺が。俺が全部、癒せるように…いや俺が、癒してやるから。だから。
――――だから…微笑ってくれ……
手が、そっと頬に重なる。微かに震えるその手が、重なって。
そっと。そっと私の唇に貴方の唇が、触れた。
それは不器用なキスで、ぎこちないキスで。でも。
でも私にとっては何よりも大切なキスで。大事なキスで。
…涙が零れるのを…止められなかった……
唇が離れて、そっと。そっとレイはソフィーヤの身体を横たえさせた。背中に草の感触を感じてソフィーヤは少しだけくすぐったそうに身体を捩った。
「…あ、その…俺…初めてで…その……」
そんなソフィーヤにどうしていいのか戸惑いながら聴いてくるレイにひとつ、微笑った。その顔は多分ずっと。ずっとレイが見たかったもの、だった。
「…レイ…触って……」
ソフィーヤの細い指がレイの手に重なりそのまま自らの胸の膨らみへと導く。レイの指に柔らかい乳房の感触が、触れた。
「…柔らかい……」
思わず口に出して恥ずかしくなってレイは俯いた。けれども意識は指に集中してしまう。柔らかいその胸の膨らみに。
「…好きにして…いいよ……」
触れている手にソフィーヤは自らの手を重ねて、そのままぎゅっと上から掴んだ。そうする事でレイの手がソフィーヤの胸を揉む形になる。
「…あっ……」
その手の感触に唇から甘い声が、漏れた。それはレイの知らなかった彼女の声だった。知らない声だった。だから、知りたくて。知りたくてレイは、今度は自らの意思でその胸を揉んだ。
「…あぁっ…はぁっ……」
指に力を込めるたびに、柔らかい胸に指が埋め込まれてゆく。けれどもまたそれを跳ね返す弾力さを、その乳房は持っていて。
「…あぁんっ…ぁ……」
不器用な手だから力の加減も分からずに試すように、それでも懸命にレイは胸を這わす。どのくらい力を込めていいのか分からなくて。分からなかったから、ソフィーヤの顔を見ていた。その表情を、見ていた。
「…あぁんっ…あっ……」
睫毛が、揺れる。髪もふわりと揺れる。肢体がうっすらと汗ばみ、白い肌が朱に染まる。それはとても。とても綺麗に、見えた。
「…ソフィーヤ…俺……」
「…ああんっ!」
ぷくりと立ち上がった乳首をレイはそのまま口に含んだ。まるで赤ちゃんが母親の母乳を飲むように吸い上げる。それはレイの記憶にはないもの、だった。孤児である自分には、母親の胸の感触など知らないものだった。
だからこそこの少女が与える柔らかさが、何よりも今。今彼にとっての…ぬくもりになる。
「…あぁ…あっ…んっ…はぁぁ……」
柔らかい胸に顔を埋めて、そのまま夢中になって乳首を吸った。ぷくりと立ち上がった桜色の突起を。それはひどくレイの心をざわつかせた。
込み上げて来る懐かしいような感覚と、それ以上に身体を熱くさせるものが。ソレが同時に襲ってきて、どうしていいのか分からなくなって。分からないからただ夢中になって胸をしゃぶり続けた。
「…あ…あぁ…レイ……」
ソフィーヤの腕が、伸びる。そしてそのままレイを抱きしめる。ソレを感じながらレイは胸を吸っていた口の動きを止めた。そして。そして目を閉じ柔らかい胸に顔を埋める。
それは知らなかったぬくもり。知らなかった、もの。柔らかく、暖かいもの。
「…ソフィーヤ…俺……」
何故だか、泣きたくなった。ひどく泣きたくなった。
「…何か…俺…お前に護られているみたいだ……」
柔らかい感触が。暖かいぬくもりが、ひどく。
「…こうしてお前の心臓の音、聴いていると」
ひどく、懐かしく、優しい。それは、何処から来るのか。
「…レイ…私…貴方を…護りたい……」
今はまだ分からない。これから先も分からないかもしれない。
「…護りたい……」
でも俺は。俺はお前の腕の中が切ないほどに暖かいのを知っている。
聴こえてくる、貴方の心の声が。貴方の、声が。
そっと私のこころに降って来る。そっと、降って来る。
母親を知らない貴方。護られる事を知らない貴方。
ちっぽけな私に何が出来るか分からない。でも、護りたい。
私が出来る全てで、貴方の綺麗なこころを私は護りたい。
もう一度ふたりは見つめあって、そして唇を重ねた。ぎこちない口付けを繰り返しながら、レイはソフィーヤの茂みへと手を忍ばせた。女のソコに触れるのは初めてだった。入り口をなぞりながら指を埋めてゆく。
「…あっ…レイ…そこは…違う……」
その指を遮るようにソフィーヤの手が重なり、別の場所へと指を導いた。小さな秘所へと辿りつかせ、そのまま指を当てさせる。
「―――わ、悪い……」
「…違う…ここ……あっ……」
言われた場所に指を埋め込めば、びくんっとソフィーヤの身体が跳ねた。その様子を確認しながら、レイは奥へ奥へと指を埋めこんでゆく。きつく狭いその場所は、指が挿いるたびにきさく締め付けてきた。
「…くふっ…はぁっ……」
「…ソフィーヤ……」
こんなに狭い場所に自分のソレが本当に入るのかレイには不思議だった。けれどもソコだとソフィーヤが言った以上、そうなのだろう。けれども媚肉は指をきつく締め付け、先へと進ませないとでも言うようだった。
「―――ひゃっ!!」
不意に指が突起のようなモノに当たる。当たった瞬間、ソフィーヤの身体が今までにないほどに、跳ねた。
「ひぁっ…あぁ…っ!」
そのぷくりとした個所に指が触れるたびに、ソフィーヤは甘い悲鳴を上げた。ソコが彼女の一番感じる個所だとレイは初めて知った。指先がじわりと濡れてくるのも、感じた。
「…ぁぁっ…あぁぁっ…レイっ…あぁっ……」
「…ソフィーヤ…ここ?…ここが…いいのか?」
こくこくと頷く彼女の姿がその問いの答えだった。剥き出しになってぷくりと張り詰めているソコをレイは何度も何度も指で触れる。そうしている間にも自分の分身が熱く息づいているのを感じた。どくどくと脈打っているのも。
それが密着しているソフィーヤの脚に当たる。レイが自分を感じて熱く硬くなっていてくれる事が、何よりもソフィーヤには嬉しかった。嬉しかった、から。
「…レイ…来て……」
「…ソフィーヤ……」
「…私は…平気…だから……」
手を伸ばして、レイ自身にソフィーヤの手が触れた。それだけでびくびくとレイの若い分身は震える。指先の感触だけで。
「…貴方が…欲しいの……」
その声に小さく頷くと、中に埋めていた指を引き抜いた。そんなレイを助けるようにソフィーヤは自ら脚を開いて、レイを受け入れる態勢を取る。
「…ソフィーヤ…その……」
広げた脚の間に身体を埋めて、レイは滾った自分自身を入り口に当てた。さっきまで指を埋めていた入り口に。そして。
「…痛かったら…ごめんな……」
そしてぽつりと呟いた言葉にソフィーヤは微笑った。それはどんな顔よりも綺麗、だった。
「―――あああっ!!!」
レイのソレがソフィーヤの中へと挿ってゆく。奥へと埋めこむたびにソフィーヤの熱く狭い媚肉はソレをきつく締め付ける。その感覚が全身に広がり、レイは意識すら飛びそうになった。
「…ああっ…あああっ!」
腰を進めるたびに自身がソフィーヤの中に挿ってゆくのが分かる。あんなに狭い場所に、自分の膨らんだソレが。ずぶずぶと音を立てながら、自分のソレを飲みこんでゆく。
「…レイっ…レイ…ああんっ!」
悲鳴のような声がひっきりなしに口から零れ、レイの背中に廻された腕の力は強くなる。そして。そしてレイ自身を飲み込む媚肉の締め付けも。
「…ソフィーヤ…俺…っ……」
締め付けに、耐えられない。自身は限界まで膨れ上がり、彼女の膣内で存在を主張する。どくどくと熱く脈を打ちながら。
「…あぁっ…レイ…レイっ…あぁぁっ……」
「…俺…もう…くっ…」
「―――あああああっ!!!」
ぎゅっとソフィーヤの肉がレイを締め付けた。その強さに耐えきれず、レイはソフィーヤの中に自らの欲望を吐き出した。
注がれる液体の熱さを感じながら、ソフィーヤは快楽ではない涙を零す。
ぽたりと、その白い頬に涙が伝う。それこそが、彼女の浄化の涙、だった。
ひかりが、こぼれてくる。
やみのなかのひかり。てんではない。
ちじょうの、ひかり。ちのひかり。
それはあなたから。あなた、から。
――――地上に光が、注がれる。貴方から、そっと私に注がれる。
繋がったままで、レイはソフィーヤの胸に顔を埋める。子供のようにその胸に。
それこそが彼にとって初めて与えられたぬくもりであり、そして。
そしてそれこそが彼女にとって初めて与えられた、癒しだった。
「…ソフィーヤ…俺はガキだけど…でもお前…護るから……」
レイの言葉にソフィーヤは微笑う。そっと微笑む。
それは何よりもレイの見たかったものであり。
そしてソフィーヤがしたくても出来なかった、笑顔だった。
ただ俯く事しか出来なかった自分にとっての。
――――こころからの、笑顔、だった。